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練馬区長選「3万票差の大波乱」——公明党・ゴミ問題・相乗り構図が招いたまさかの結末

日々のこと

練馬区長選挙に「まさかの大波乱」が起きました。自民・都民ファースト・国民民主・東京の会という大政党が相乗りで押した尾島公平候補が3万票以上の差をつけられ完敗。

圧倒的「与党有利」とみられていた戦いで、なぜここまで大差がついたのか。いくつかの観点から分析してみます。

4月12日に投開票が行われた練馬区長選挙で、大きな波乱が起きました。

自民党、国民民主党、都民ファーストの会、東京の会という大きな政党が相乗りで推した尾島公平候補が、12万対9万という票差で敗北。

3万票以上の大差での完敗という、当初の大方の予想を大きく覆す結果となりました。

一方、新しい練馬区長は完全無所属という形ながら、共産党や社民党が積極的に応援し、立憲民主党の一部の方々も自主投票ながらサポートするという、いわゆる「革新系」の首長が誕生することとなりました。

まず、今回の選挙戦に臨んだ全ての候補者の皆様に、心から敬意を申し上げます。

私個人は尾島候補を応援しておりましたので、その点は残念ではございますが、ご支援いただいた皆様には感謝申し上げます。ありがとうございました。力不足で申し訳ございません。

その上で、今回はできる限り客観的に「なぜここまで大差がついたのか」を分析してみたいと思います。

■ 公明党票の動きという「誤算」

1つ目の要因として考えられるのが、公明党の票の動きです。

これまでの選挙では「自民・公明相乗り推薦」が与党系・保守系首長の鉄板ルートでした。しかし今回、公明党は尾島候補への推薦を出しませんでした。自民・都民ファーストの会との相乗り推薦を避けたのです。

背景にあるのは、昨秋の衆議院選挙における軋轢です。あの選挙で小池知事は自民党の応援に練馬でも積極的に入った一方、公明党は中道改革連合を組んで立憲民主党を支援していました。両者はガチンコの対立関係に置かれることになった。

都議会の公明党を含めて公明党側は、今後も都政や地方自治体レベルでの関係を維持するため、「接戦となる選挙には応援に入らないでほしい」と小池知事に働きかけていたとも言われています。

ところが小池知事は選挙初日と最終日の2回、自民党の応援に入った。これが公明党サイドとしてはかなりわだかまりとして残り、今回の推薦見送りにつながったのではないでしょうか。

公明党票がそっくりそのまま対抗陣営に流れたかどうかはわかりませんが、本来であれば与党系候補に入っていたはずの票が大きく減ったという可能性は十分あります。

この3万票超という大差が生まれた要因の一つになったのではないかと思います。

■ 「ゴミ有料化」という身近な争点の力

2つ目の要因として、私が注目しているのがゴミ問題です。

小池都政のもと、23区のゴミ回収を有料化する動きが出てきています。多摩地区は有料ですが、23区はこれまで無料のゴミ回収が続いてきました。

持続可能性のために有料化を検討するという方向性は理解できる部分もありますが、私個人はこれには反対です。

尾島候補は小池知事の側近として「着実に前に進める」立場でした。一方、対抗陣営はこのゴミ有料化に対してかなりはっきりとした反対キャンペーンを張り、最後には公営掲示板のポスターに「私はゴミ有料化に反対します」というメッセージを貼るところまで踏み込んだとのことです。

これ、結構響いたのではないかと思っています。

ゴミ回収は、関係しない人が誰一人いない、まさに「日常の最前線」にある争点です。レジ袋も有料化され、物価も上がり、そしてゴミ回収まで有料になるのか——という感覚は、多くの方が持つのではないでしょうか。

特に首長選挙という身近な政治家を選ぶ場において、「あの人を選んだらゴミ代がかかるようになるかもしれない」という分かりやすいメッセージは、無党派層にも届きやすい。

こうした生活に直結する身近な争点をきっちりすくい上げた点は、当選した陣営の「うまさ」だったと感じます。

■ 「大政党・相乗り・有名人」が裏目に出た構図

そして3つ目、ある意味で最も本質的な要因かもしれないのが、「既存政党への嫌悪感」と「有名人効果の逆転現象」です。

今回は大政党が相乗りし、著名な政治家が次々と応援に入るという「絵に描いたような与党選挙」の構図でした。

しかし、自民党・都民ファーストといった既存政党の看板への不信感は、想像以上に人々の中に根付いているように思います。有名議員やSPが並ぶ応援風景が、むしろ「古い政治」を連想させてしまったのではないでしょうか。

さらに、今回の尾島候補は都民ファーストの会のオリジナルメンバーで、幹事長も務めた「キャラクターが確立した」人物でした。SNS上でも尾島氏に対してはかなり批判的な声が多く寄せられていました。

ここで少し気になる現象があります。石破総理や小池知事のような知名度の高い方が応援に入る効果は、候補者本人の個性や認知度が低いほど発揮されやすいのではないでしょうか。

逆に言えば、候補者自身に強いキャラクターや色がついている場合、「いくら有名人が応援しても、あの人自身がな…」となってしまい、応援効果が乗り移りにくいという現象が起きる。

以前の補欠選挙での例なども踏まえると、「悪名は無名に勝る」という選挙の常識が少しずつ崩れてきていて、政党の看板や有名人の風を活かしたい場合は、むしろ「ニュートラルで知名度の低い候補」の方が効果的という逆転現象がちょっと顕著になりつつあるのかもしれません。

■ 「まさかの結果」から何を読み取るか

まとめると、①公明党票の離反、②ゴミ有料化という身近な争点設定、③大政党相乗りへの嫌悪感と有名人効果の限界——この3点が重なって、3万票超という大差につながったのではないかと私は見ています。

高市総理や小池知事の支持基盤を考えれば、本来は「盤石」と思われていた戦いでした。それがこれほどの結果になったことは、選挙の難しさを改めて実感させてくれます。

今回の結果をしっかりと受け止め、次の政治の場に生かしていきたいと考えています。

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音喜多駿

おときた駿
前参議院議員(東京都選挙区) 42歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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