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平成28年3月16日 総務委員会質問内容(2)

◯おときた委員 私からは、初めに、昨今、大きな話題に上ることもあります、いわゆるJKビジネスへの対応についてお伺いをいたします。
 女子高生あるいは女子高生を模した服装をしている女性が勤務するカフェやマッサージ店において性的なサービスを提供する、いわゆるJKビジネスが広がりを見せているとの指摘を受け、警視庁が有識者会議を開き、規制の強化を検討する有識者会議を開催しているところです。
 既に多くの違法店は摘発され、実際に現役高校生を働かせている事業者は少なくなっているとの声もありますが、こうしたビジネスへの勧誘があるとすればゆゆしき問題です。
 そこで、若年層を統括する青少年・治安対策本部としては、こうしたJKビジネスを取り巻く環境についてどのように認識し、また、今後どのような対策を考えているのか、見解をお伺いいたします。

◯稲葉青少年対策担当部長 いわゆるJKビジネスと称されているものの中には、青少年の保護と健全育成の観点から憂慮すべきものもあると認識してございます。
 東京都青少年の健全な育成に関する条例を所管する当本部といたしましては、現在開催されている警視庁の有識者会議の動向を注視しつつ、必要に応じて警視庁と連携を図ってまいります。

◯おときた委員 まさにこうしたビジネスにかかわるのは、青少年・治安対策本部が担当する若年層ですから、警視庁とも足並みをそろえつつ、具体的な対応を模索していただきたいと思います。
 関連して、性風俗産業に従事する青少年、若年層たちへの支援についてお伺いをいたします。
 JKビジネスなどをきっかけに性風俗へと勧誘される、悪徳業者にだまされて性風俗への道へ進むなど、ネガティブなイメージで語られることも多い性風俗産業の従事者たちですが、必ずしもこうしたケースばかりとは限りません。実際に性風俗産業に従事する、主に女性たちを支援する民間団体の調査によりますと、七割以上の方々は、自分たちの意思や考えで職業選択をしているとのデータもあるそうです。
 しかしながら、自分たちの選択で職業を選んでいるからといって、何ら支援が必要ないというわけではありません。やはり性風俗産業の従事者たちは、その慣習や偏見からか、セカンドキャリアの形成に非常に悩むことが多く、こうした方々への相談、支援は、現在、ほとんど民間のNPOや社団法人などが担っているのが実情です。
 性風俗産業に従事する方々は、まさに青少年へと分類される年齢層の方々が中心で、セカンドキャリアに悩む時期とも重なります。こうした方々への支援体制につきまして、青少年・治安対策本部の現状を伺います。

◯稲葉青少年対策担当部長 都は、社会的自立に困難を有する若者向けの無料相談窓口として、若者総合相談、若ナビを運営し、相談内容を限定することなく、幅広く若者の悩みや不安に対応しております。
 寄せられる相談内容は、就職への不安、心身の健康面の不調、職場環境への不満、対人関係などさまざまでございます。
 相談者の早期の社会的自立を図る観点から、相談内容を的確に受けとめ、課題に応じて適切な支援を提供できる支援機関を紹介してございます。

◯おときた委員 総合相談機関である若ナビで、さまざまな立場にある方々からの相談を受け付け、対応しているということですが、では、実際に、こうした性風俗産業の従事者の方々から相談の入電が入ったケースはどれぐらいあるのでしょうか。また、あるとすれば、どのような対応をとられるのが一般的なのでしょうか、伺います。

◯稲葉青少年対策担当部長 平成二十六年度の若ナビの相談件数は四千九百三十四件でございました。このうち、性風俗産業に従事している女性からと思われる相談は、メールが一件、電話が二件の計三件ございました。
 通常、相談を受けた場合には、経済的自立や家族関係の問題等、相談者が直面する課題に即して、女性相談センターや生活福祉、就労支援の窓口など、適切な支援を提供できる機関を紹介するなどの対応をしてございます。

◯おときた委員 若ナビから、相談内容によって女性相談センターや生活福祉、就労支援の窓口におつなぎすることで対応されているということでありましたが、実績がまだ三件のみということで、これはNPO団体などの活動量と比較すると、非常に少ない数にとどまっているものと思われます。潜在的な支援のニーズに対して、まだ行政、東京都が対応し切れていない現実があるのかもしれません。
 東京都のみならず、我が国の行政支援では、性風俗産業などに入らせないための施策は多々見受けられるものの、一旦そちらに入られた人々への施策というのが非常に手薄です。そもそも風営法などの曖昧な区分により、性風俗産業の従事者に明確な定義すらなく、見方によっては存在がないものにされているともいえます。こうした背景もあって、性風俗産業に従事する方々の多くは孤立しがちで、行政のサポートの網からこぼれ落ちてしまうことが少なくありません。
 しかし、繰り返しになりますが、実態としては、民間の事業者がその相談、支援を担っているように、そこにはニーズが確実に存在をしています。東京都には、あらゆる悩みを抱える若年層を対象とする青少年・治安対策本部がせっかくございますから、我々はあなた方と向き合う気持ちと体制があるのだということをしっかりと示していく必要があるのではないでしょうか。
 よろず相談である若ナビは、リーフレットの配布など広報活動も積極的に行っているようですが、ぜひこうした性風俗産業に従事する若年層、青少年の方々にも届くような広報活動を行うことを要望いたします。
 また、すぐには難しいものと思いますが、行政そのものが支援機能を持つことが難しければ、将来的には民間事業者に助成や委託をして取り組むことも一案かと思います。性風俗産業という、ともすれば目を背けられがちな部分にもしっかりと対応することを期待いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、不健全図書の指定についてお伺いいたします。
 青少年健全育成条例に基づき不健全図書に指定された作品は、ゾーニングや閲覧規制を受けるなど厳しい措置をとられることから、表現の自由との兼ね合いもあり、極めて繊細な運用が求められます。
 まずは、不健全図書の指定について、この該当図書の発見はどのような方法で行われているのかをお伺いいたします。

◯稲葉青少年対策担当部長 職員が年間を通して都内ほぼ全域の一般書店等を計画的に巡回しまして、区分陳列されていない図書類で青少年が手にとりやすいところに置かれたものを調査し、抽出してございます。

◯おときた委員 職員の方々がみずからの足で書店などを回り、ピックアップをして調査するということですが、さすがに東京中で新規に発売される全ての図書を調査することは困難であろうと思います。
 毎月、どれぐらいの数量を調査対象としているのか、また、その数値に根拠があれば、その理由もあわせて教えてください。

◯稲葉青少年対策担当部長 巡回先の一般書店等におきまして、青少年が手にとりやすいところに置かれた図書類を調査した上で、青少年の健全な育成を阻害するおそれのあるものを精査対象として購入した結果、平均して月百三十冊前後の購入実績がございます。

◯おときた委員 簡潔にご答弁いただきましたが、いわゆる不健全図書が置かれる可能性が高いゾーンを見きわめて、職員が知識と経験に基づいて精査を行う結果として、毎月百三十冊前後の本を購入していると、こういう意味であると理解をいたしました。
 このやり方は、全数調査ではなくて、一部のみを調べる抜き取り調査、標本調査に近いものですから、同レベルの内容でも、たまたま調査職員の目にとまったために不健全図書に指定された、あるいは逆に、目にとまらなかったために指定されなかった、こういった事態が生じる可能性も完全には否定することができません。
 近年では、表現の自由に対する権利意識も高まり、東京都の不健全図書指定は注目を集めております。調査を担当する職員の方々の責任は非常に重大なものがありますから、ぜひとも慎重かつ的確な対応を続けていただきたいと思います。
 最後に、不健全図書の選定を審議する東京都青少年健全育成審議会の情報公開についてお伺いをいたします。
 こちらの審議会の議事録では、従来は委員の名前が塗り潰された完全な匿名でしたが、平成二十七年六月の審議会での議論の結果、アルファベット表記に改善をされ、それぞれの発言の関連性がわかりやすいように改善がなされました。しかしながら、審議会そのものはいまだ傍聴不可の非公開であるなど、まだまだ情報公開に対する消極的な姿勢が否めません。審議会の傍聴、議事録は、個人情報などにかかわらない限り原則公開であり、委員として責任ある立場で発言される以上、公開されることが望ましいことはいうまでもありません。
 東京都青少年健全育成審議会における議事録や傍聴などの積極的な公開について、都の見解を伺います。

◯稲葉青少年対策担当部長 東京都青少年健全育成審議会運営要領におきまして、審議会は公開で行うこととしておりますが、審議会の決定により非公開とすることができるとされています。この規定に基づきまして、本審議会は、不健全図書類としての指定が決定する前の段階でその図書類の名前が公開されることによりまして、出版社に不利益をもたらすおそれがあるため、非公開としてございます。
 また、議事録の委員の氏名につきましては、委員が自由に発言できる環境を担保した上で審議する必要があるため、氏名を一部非公開としてございますが、審議内容につきましては、議事録を公開していることで、透明性は十分に確保してございます。

◯おときた委員 確かに、運営要領にのっとって非公開にされているとのことで、ルール違反をしているわけではありません。ですが、これは多くの附属機関についても、再三、同様の指摘をしているところなんですが、そもそも、みずからの決定で非公開にできるというこのルール自体に欠陥がありまして、結果として、非常に多くの附属機関が非公開で行われるという情報閉鎖体質を招いています。また、その理由もやはり似通っておりまして、委員たちが自由な発言をするため、自由闊達な意見交換を妨げないためなどとされているわけですけれども、どうして公開の空間では自由闊達な意見交換ができないのか、その部分を改めてもう一度考え直さなければいけない時期に差しかかってきているのではないでしょうか。
 情報化社会の発展によって、開かれた政府、開かれた行政というのは世界の潮流になっており、公開されていないこと自体が既に不信を招きかねません。
 不健全図書指定前の図書類の名前が出てしまうことで不利益が生じる可能性があるという点については一定の理解をするところではありますが、では、決着がついていない裁判は全て傍聴が不可能なのかといえば、そういうわけでもないわけですし、また、これ私、きょう、ちょっと幾つか出版社に聞いてみたのですけれども、必ずしも出版社側も全てがそうしたことを不利益だと感じるわけではないというコメントもございましたので、こういったことをどこで線引きするかということは改めて考える余地があると思います。
 開かれた都政を目指す舛添都知事のもと、青少年・治安対策本部の附属機関には積極的な情報公開に努めていただきたい旨を要望いたしまして、私の質問を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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