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平成28年3月16日 総務委員会質問内容(1)

◯おときた委員 私からはまず、予算案で、海外出張費としては次年度約三億三千五百万円が計上されております都市外交に関連する項目についてお伺いをいたします。
 先般、舛添知事のパリ、ロンドン海外出張費用が約五千万円にも上ることが大きく報道され、都民からの反響も非常に大きなものがありました。やはり海外視察などの目立つ行動に関しては注目が集まるものですから、こうした費用に関しては透明性を高く保つ必要性があります。
 そこでまず、さきのパリ、ロンドン出張にかかった費用の内訳を伺います。特に、航空券や宿泊費などの一般的な旅費以外に、どのような部分にコストがかかったのかを具体的にお示しください。

◯横山外務部長 パリ、ロンドン出張における費用には、航空券と宿泊費以外に、都政PRのための講演会の会場費用、通訳費用、移動のための車両の費用、その他現地での活動に必要な備品等の費用など、多岐にわたる費用が含まれております。

◯おときた委員 今、具体的な項目を幾つか挙げていただいたわけですけれども、それらの合計を足し上げて五千万円に達するということが、どうも想像がつきがたいように感じます。
 こちらの全ての費用の内訳、そして具体的な金額をお示しいただけますでしょうか。

◯横山外務部長 知事の海外出張費用につきましては、ホームページにおいて総額を公開してございます。
 より詳細な情報につきましては、公文書開示請求をお願いしたいと考えます。

◯おときた委員 ちょっと今、信じがたいご答弁をいただいたのですけれども、公文書開示請求をしてほしいと。議会や委員会の場での議員からの質問に対して、情報があるのに出さない。まして公文書開示請求を執行機関側が依頼するということは前代未聞で、少なくとも私は聞いたことがありません。
 詳細な金額がこの場で説明できない理由は何でしょうか。

◯横山外務部長 知事の海外出張につきましては、ホームページ等で、出張時の主な行動、成果を、出張人数、総経費も含めて、都民への情報提供の観点から公開をしてございます。
 今ご質問いただきました個々の経費の詳細に関するものということでございますが、そうした情報につきましては、正確、適正を期すという観点から、公文書開示制度によりまして適切に開示の対応をしてまいりたいと考えます。

◯おときた委員 何か大きな勘違いをされているようですけれども、公文書開示請求は、都民、市民が情報公開を求めるためにつくられた制度であって、行政側が正確、適正な説明を行うために用いる制度ではございません。公文書開示請求制度によって詳細な説明をするという今のご答弁には、大きな問題があると考えます。
 加えて、正確、適正を期すためとのことですが、この場では正確で適正な答弁はできないということなのでしょうか。委員会での答弁の正確さは公文書請求を下回ることをみずからお認めになるということですから、これは行政答弁の信頼性を根底から覆す問題発言です。
 そして、都議会は都民の代表者たる議員が質問を行う場であり、その質問をこのような形でかわすことは議会軽視であるとともに、この場で金額を説明できないありさまは、みずからこの出張経費の使用用途にやましいことがあったと証明するようなものではないでしょうか。
 今回のご答弁と対応には大きな違和感があり、強く抗議の意を表明するものです。
 総額だけしかお示しいただけませんので、その部分についての質問を続けますと、この総額の五千万円という金額は、比較をしてみれば、舛添知事のこの海外出張費用、歴代知事と比べても、そこまで大きく突出したものではありません。石原都知事時代も猪瀬知事時代も、欧州への視察では大体似たような規模感の出張を行っているのは事実です。
 一方で、今回の二十名という人数は過去最大の規模となっています。そこで、この二十名のメンバーの所属部署、役職などの内訳を教えてください。

◯横山外務部長 出張メンバーは、知事、特別秘書、外務長のほか、政策企画局職員、生活文化局職員、環境局職員、オリンピック・パラリンピック準備局職員の合計二十名でございます。
 知事、特別秘書、外務長以外の十七名につきましては、管理職が十二名、一般職員は五名でございます。

◯おときた委員 ご答弁いただきまして、また私も事前にお調べをして、出張に行かれた方々のリストなども拝見したのですが、そちらを見ると、同一の部署から複数名が随行していたり、役職も近しい方が散見をされます。
 それぞれに役割があるものとは推察されますが、その具体的な役割や、人数が多くならざるを得ない理由について教えてください。

◯横山外務部長 出張メンバーにつきましては、知事を政策面や都市外交において補佐する職員、訪問都市との連絡調整を行う職員、同行プレス対応、報道を担当する職員、訪問都市との政策合意分野を所管する各局職員などで構成されております。
 今回の知事出張では、パリでは、市長と面会し、幅広い分野で政策合意を行うとともに、フランス首相、外務大臣その他の要人とも面会をし、さらには講演会、行政視察等を行いました。また、ロンドンでは、ラグビーワールドカップの視察を行うとともに、スポーツ関係者との面会、講演会を行うなど、活動は多岐にわたりました。
 こうした活動に必要となる体制を組んだものでございます。

◯おときた委員 パリとロンドンという主要都市の二つをめぐり、それぞれに特徴的な活動を行ったということで、担当する分野が多岐にわたったことで、対応する人数もふえたということかと思います。出張中の東京への情報共有などもありますし、スタッフ数を万全に充実させて行きたいという判断には一定の理解はできるところです。
 しかしながら、反面、都民負担で行うこうした活動については、幅広い理解が得られるよう、最大限の努力を行うべきではないでしょうか。
 海外出張中の報告業務のスリム化を行い、できる限り、職責が近い人材はまとめて業務を請け負うなど、随行人数の削減などで経費節減に努めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

◯横山外務部長 都政運営の経費削減の必要性は十分認識しておりまして、海外出張につきましてもコスト意識を持って取り組んでおります。先ほどご指摘がございましたけれども、決して無駄な経費はございませんし、やましいところもございません。
 海外出張中の知事の活動をリアルタイムで都庁と共有するというため、そういった業務もかなりございます。出張のこうしたことは、出張の効果を高めるとともに、スムーズな都政運営を行う上で不可欠のものと考えております。
 引き続き、経費の削減意識を強く持ちながら効果的に都市外交を推進し、成果をしっかりと都民に還元してまいります。

◯おときた委員 行政の業務というのは、よくも悪くも縦割りでございますから、行く場所や役割がふえると人数がふえざるを得ない弊害というものが若干あるのではないかなということを推察しているところです。
 経費削減の必要性は十分に認識されているということですから、ぜひ、以前の海外出張に比べると劇的な改善が見られるなと、そのように思える成果を次回の出張から早速お示しいただけることを期待いたします。
 都民に成果を還元するというのはもちろんのこと、費用の用途を明らかにするのは最低限必要なことです。繰り返しになりますが、それすらも今回の質疑で明らかにならなかったことには、都民に対して大きな不信を植えつけかねないものと、失望を禁じ得ません。やましいことはありませんと最後にご答弁しておりましたが、でしたら、適正な答弁ができない、そういう能力がないということでしょうか。それはそれでまた大きな問題なんじゃないのでしょうか。
 開かれた都政というのは、果たしてどこまで本気で行うものなのかどうか、都市外交に熱心な舛添知事のこちらの方の一挙手一投足にも、厳しく私は注目をしてまいりたいと思います。
 次に、東京都のグランドデザインについて伺います。
 知事の肝いりで策定が進んでいるこちらの計画ですが、まず、今回の予算案で計上されている金額と、その使用用途の詳細についてお伺いをいたします。

◯小室計画部長 東京のグランドデザインの策定に当たりまして、来年度の予算案では、委託料等として約五千五百万円を計上しております。
 グランドデザインは、二〇四〇年代の東京のあるべき将来像を描くものであることから、策定に当たりましては、ハード、ソフトの別なく幅広い分野にわたる検討や、外部の有識者、専門家の知見を活用する必要があります。また、検討の成果につきましては、ビジュアル化も重視いたしまして、都民にわかりやすく示す必要があります。
 こうしたことから、データや参考資料の収集、分析、将来像の検討のサポート、さまざまな分野における将来の姿のイメージ図作成等の委託を予定しております。

◯おときた委員 こちらの五千五百万円という数字は、大体、東京都長期ビジョンを策定されたときのコストを参考に算出されたものかと思いますけれども、決して少なくはない金額です。それにもかかわらず、残念ながら、この計画の予算を審議するに当たって、この計画を説明する企画書すら存在せずに、知事の所信表明演説や記者会見などでその概要がかいま見えるだけで、率直に、その説明が不十分であるように感じております。
 そこで、改めてこちらの計画策定の意義や背景についてお伺いをいたします。

◯小室計画部長 一昨年末に策定いたしました長期ビジョンでは、おおむね十年後の東京の姿を示し、現在、東京二〇二〇大会の成功や、その後の東京の発展に向けた政策を着実に展開しております。
 東京二〇二〇大会の開催を控えた今は、世代を超えて東京を大きく飛躍させるための基礎を固めるときでありまして、将来に向けて進化する東京の方向性を明確に位置づける必要があります。
 こうした考え方のもと、後の時代に活動する人々の目標や活力につながり、都民に夢や希望を与える二〇四〇年代の東京のあるべき将来像をグランドデザインとして描くことといたしました。

◯おときた委員 詳細なご答弁をいただきまして、こちらのグランドデザインについては、既に検討委員会が四回開かれておりまして、進行が進んでおります。この検討委員会が傍聴が不可であるという問題点については、石川委員の方が予算委員会で既に指摘をされたところですけれども、こちらについては私も傍聴可能にすべきであると思います。対応ができればと要望しておきます。
 そして、こちらの経過資料の方を拝見すると、まちづくりから医療福祉、ビジネスに芸術文化と、幅広い有識者を招聘して意見聴取を行っています。こうした多彩な、ややもすると多彩過ぎる意見というのを今後どのように収束していくのか。
 重複する部分もありますが、この具体的なスケジュールなど、今後の展開について教えてください。

◯小室計画部長 東京のグランドデザインの検討に当たりましては、昨年六月以降、検討委員会を計四回開催しております。
 検討委員会では、知事も毎回全ての時間出席し、幅広い分野の有識者、専門家を招いて自由闊達な議論を行い、多くの貴重な提言をいただいております。
 来年度は、こうした検討委員会での有識者、専門家の意見や提案も参考にしながら、将来像の検討に必要なデータや参考資料の収集、分析をさらに行い、平成二十九年度ごろに公表の予定でございます。

◯おときた委員 平成二十九年度ごろ、つまり二年以内をめどにまとめていくということなんですけれども、率直に、二十年以上先の未来を予測するということは極めて困難なことではないかとも思います。二十年前の人々が、インターネットやスマートフォンがここまでライフスタイルを変化させる社会インフラになると予測ができなかったように、二〇四〇年代の生き方や暮らし方、科学技術の発展を予測することは容易ではありません。
 こうした計画を夢物語な計画で終わらせないためには、調査事項は、人口動態など、ある程度正確に予測ができるものに絞り込み、そこから検証できる社会保障制度の設計などの分野に限定して、効率的、低コストで行うべきとの考えもございますが、こちらについての見解をお伺いいたします。

◯小室計画部長 二〇四〇年代の東京のあるべき将来像を描くためには、社会保障だけでなく、まちづくり、ビジネス、芸術文化、働き方など幅広い分野での検討を行い、都民が豊かでゆとりある生活を送っている姿を示していくことが重要でございます。
 検討委員会では、有識者、専門家から、人工知能の進歩や自動運転技術など、近い将来実現可能とされる先進的なアイデア、多くの知見をいただいております。これらのアイデアや知見も参考にしながら、人々の生活にかかわる幅広い分野にわたりまして東京のグランドデザインの検討を進めてまいります。

◯おときた委員 検討委員会で多くの知見をいただいているとのことで、私もこちらの資料にはほとんど全て目を通させていただきましたが、本当に、あらゆる分野について、さまざまな角度からすばらしいご提案が出ています。
 ただ、これらのアイデアがどのような形で行政計画に収束していくのかということについては、正直申し上げて、現時点で私には想像もつかないというのが率直なところです。一見すると、まとまりに欠ける提案をまとめていくというのが腕の見せどころである反面、最終的なアウトプットが突拍子もない夢物語になることは避けなければなりません。
 このグランドデザイン策定には、非常に多くの困難があると感じております。くれぐれも、こうした都民負担をお願いして行う計画策定が無益なものにならない結果が示せるように要望し、また、今後もそのプロセスには注視していくことを意見として申し述べまして、私の発言を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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