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政治家が「切手」を大量購入することは、実際にありえるのか?【政務活動費問題】

日々のこと

野々村号泣県議の事件を引き金に、全国の地方議会で火を噴いた
われわれ地方議員たちの「政務活動費」問題ですが、年末にも事件が勃発中です。

参考:ありえない事態!!兵庫県議会議員、野々村竜太郎氏の政務活動費について
http://otokitashun.com/blog/togikai/3724/
【その他の政務活動費関連の過去記事はこちら↓】
http://otokitashun.com/tag/%E6%94%BF%E5%8B%99%E6%B4%BB%E5%8B%95%E8%B2%BB/

現在進行形で舞台となっているのは、千葉県の市川市議会。
今回の係争点は「政務活動費による切手の大量購入」です。

市川市議会に百条委2つ 政務活動費不正調査
http://www.sankei.com/region/news/141225/rgn1412250046-n1.html

まあ正直…地方議会ではお恥ずかしながら良くあることなんですけど、
とある会派の議員たちによる、政務活動費での切手の大量購入が発覚しました。

ここまではよくある話ですが、市川市ではここから住民が監査請求を実施します。
住民監査請求は却下されてしまったものの、監査委員は「疑惑が残る」旨の報告書を提出。

これを問題視した心ある議員のグループが、議会内で法的権限を持って
調査を行うことができる委員会である「百条委員会」を立ち上げ、
切手購入の是非と使用用途について審議をしようとしたところ、

1.
調査委員会が立ち上がることを恐れた議長・副議長がバックレて議会が流会になる


議長・副議長がいないと本会議は開会できない。
しかし、市長が権限で議会を招集することができる(後述)。

2.
市長権限で収集された次の臨時議会では、
切手を大量購入していたグループが逆ギレして、

「おまえらの政務活動費の使い道もおかしい!」

と、もう一つ別の調査委員会を立ち上げる動議を提出する。

3.
どちらも調査委員会の立ち上げも可決、二つの百条委員会が設置され、
全議員の大半が調査対象となってお互いをディスりあう前代未聞の事態に。

4.
調査する側が調査されたり、また逆の事態も生じるわかりづらさに、
見かねた市長が介入して再び外部監査を入れることを提案。
市長提案が受け入れられ、これから調査が始まる予定。←イマココ!

5.
なおこのドサクサの中、議長が「混乱の責任を取る」となぜか辞任(逃亡)

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とまあ、なかなか香ばしい展開になっております…。

結論については調査結果が待たれるわけですが、そもそも実際に
政治家が切手を大量購入することなんてあり得るのでしょうか?
数十万円分の切手を購入ということは、数千部の郵送物がなければいけません。

確かに、大量に郵送することは政治事務所としてあり得ます。
私レベルでも区内の名簿は2000件以上ありますし、新しいチラシやレポートができたら、
一斉に郵送することも考えられるでしょう。

しかし数千部にもなる場合、
郵便局に持ち込んで「料金別納」にする方が効率的です。
というか、切手をすべて手で貼るってどんだけマゾだよという感じです。

学生インターンやボランティアが有り余っていて、
切手を貼って郵送させるくらいしかやることがない事務所でない限り、
わざわざ切手を買って貼ることは極めて想像しがたいのが実状ではないでしょうか。

私の事務所も切手は買いますが、
ちょっとした返信やお知らせを送るときに使う分、
数千円分くらいのストックがあれば充分だと思います。

そんなわけで、限りなく黒に近いグレーと申しますか、
完全にアウト=換金疑惑のある政治家による切手の大量購入ですが、
これに切り込むためにはなかなか難しい点もあります。

それは…不正を立証するのが極めて難しいこと。

「俺は全部手で貼って出したんだ!出したからもう手元には残ってない!文句あるか?」
「料金別納のやり方がわからなかったんだよ!そっちのがめんどくさいし。」

こう言われてしまえば、為すすべはほとんどありません。
というか、それがわかってるから政治家たちは平然と大量に切手を買うわけです。
(まあ野々村問題以前には、そんなこと注目すらされないと思っていたでしょうけど)

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(写真は石崎市川市議会議員のFacebookより)

今回の市川市議会の場合、

・政務活動費の締め日である3月末の直前に購入されている
・金額が封筒を郵送する80円で割り切れない

という疑惑まであるにも関わらず、
監査委員は疑惑は残ると付帯意見はつけながらも、
不正の証拠がないため住民監査請求は却下せざる得なかったわけです。

市川市議会の調査結果がどうなるかは不透明ですが、
結局はやはり、有権者の皆さまの監視・審判を仰ぐしかありません。

ちなみに政務活動費のチェックが日本でたぶんもっとも厳しい東京都議会でも、
実は切手の購入については規定が甘く、わりと簡単に大量購入できちゃったりします
(実際にできることは自分自身で確認済み。もちろん買ってませんが)

都議会議員の政務活動費の使用用途も「切手」という観点で見ると、
また何か疑義が出てくるかもしれませんね。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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