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VS共産党さん第二弾!持続不可能な医療制度…高齢者の医療費は、これ以上の助成を続けるべきか?

都議会の話

いよいよ都議会定例会も明日が最終日です。
去年も猪瀬さんの徳洲会問題で、クリスマスまで本会議やってたんだよな。。

さて、本会議に先立ちまして議決が行われた厚生委員会では、
共産党さんが単独で議員提出議案として上程された

「高齢者の医療費の助成に関する条例(案)」

が審議・採決されました。
この条例案に入る前に、日本の医療制度をおさらいしておきましょう。

我が国は国民皆保険制度を導入しておりまして、
医療機関にかかった場合、非常に安価で診療・治療を受けることができます。
その「窓口負担」額は

69歳以下:3割
70歳~74歳:2割(但し、今年4月まで特例で1割)
75歳以上:1割

となっています
※一定の所得がある人は、年齢に関わらず3割負担

じゃあ残りの7割~9割は誰が負担しているかというと、
わたくしたちが納めている社会保険料で…と言いたいところですが、
増え続ける医療費に対して多額の公費(税金)が投下されています。

高齢者の窓口負担を中心に大盤振る舞いを続けた結果、
我が国の医療費はすでに社会保険料だけではカバー不可能になっています。

その公費投入はすでに35%を突破しており、高齢化に伴いさらに年々増え続けます。
政府の財政状況はご案内の通りなので、これはそっくりそのまま将来世代への借金先送りです。

「世界に冠たる国民皆保険制度」

と胸を張っていますが、残念ながら社会保険料だけで本来の運営が
できていない今の仕組みは、持続不可能で破綻状態ともいえるのです。

数字で見ればこんな状態がヤバイことは一目瞭然なので、
さすがに政府もこの制度を改善するために徐々に動き始めました。

さしあたって平成18年の法改正により、平成20年度よりそれまで1割負担になっていた、
70~74歳の医療費窓口負担を2割に引き上げることが決定しました。

ところが、高齢者層からの反発(票の離散)を恐れる政治家たちは、
「負担緩和のための特例措置」として、この2割負担を1割のまま据え置いてきました(怒)。

このいびつな特例がようやく解除され、今年4月より新規に70歳になる方は
法律通り窓口負担が2割へと引き上げられることになったわけですね。

それでも、70歳~74歳の方全員がきちんと2割の窓口負担をするようになるまで
丸4年かかるわけで、「負担をお願いする」ことの政治的難しさの証左となっています。

こんなペースで社会保障制度改革をしていったら、
終わるころにはとっくに日本なんて破綻してるんじゃないでしょうか。。

もちろん、2割負担になったからといって持続可能なほど
医療制度の収支が均衡するわけもなく、さらなる改革が求められています。

前置きが長くなりましたが、
今回都議会で共産党さんから出されたのは

「医療費負担が2割になって高齢者たちは苦しんでいる。
 その差額分の1割を、東京都が支出してカバーしましょう!

という、なんとも景気の良い条例案です。

写真 (1)

医療制度自体については前述のような状態ですし、
これ以上高齢者医療に過剰な手厚さを維持することは、
何より世代間格差の助長につながります。

一定の所得がある方は対象外となるものの、
高齢者の場合は生活実態を所得だけで判断することは困難です。
実際、金融資産の大半は高齢者が保持しているのが我が国の実態ですから。

生活困窮層への支援はもちろん行うべきですが、
こうした一律の政策はもはや、「バラまき」との誹りを免れることはできないでしょう。
私は上記のような理由に加えて、

・受益と負担の観点から、相応の負担をお願いするのは当然であること
・これからは世代間だけではなく、「世代内」で支え合う仕組みを検討するべきこと

などを述べて、反対討論を行いました。
一方で共産党さんの賛成討論では、

「社会福祉はそもそも、世代間格差を考えて行うものではない
「この仕組みで高齢者を支えることは、親世代の負担を減らして若年層の支援にもなる

などと言い切っておられまして、
もはやここまで来るとすがすがしさすら感じました…

本条例案には共産党さんを除くすべての会派が反対し、
委員会で否決され明日の本会議でも否決される見込みになります。

ですが、ぼぼ100%否決されることがわかっていても、
毎定例会自分たちで議員条例案を作ってくる共産党さんは素晴らしいと思います。

都議会では11議席以上あると単独で条例案を提出できまして、
共産党さんは2013年の都議選で始めてこのラインを上回り、
それから活発に条例案の提出をされているのですね。

細かい中身の詰めなど、条例案の作成には非常に労力もかかると思いますし、
ほとんど議員提出議案がない地方議会の中で、注目すべき活動ではないでしょうか。

…と、相変わらずスタンスには一目おきつつも、中身は全否定で臨みます。←
私も任期中にはなんとか、議員条例案を一つくらい共同作成・提出したいものですね。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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