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国会議員の給料は本当に高いのか?

政治コラム

野田内閣発足から2週間持たずして閣僚が一人辞任する今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。

もうここまで大臣がコロコロ変わると、それをいちいち認証官任命式で認証する天皇陛下も大変でしょうがないでしょう。そういう観点からも、この人たちは国民として失格ですね!プンプン。

まあそんな感じで政治家が不甲斐ないわけですから、いつの世も

「政治家の給料が高すぎる!」「まず国会議員が身を削れ!」

という議論が繰り返されるわけですが、本当に国会議員の給料って高いんでしょうか。

事実から申し上げますと、単純計算で日本の国会議員の収入は年間約4000万程度と言われています。内訳としては歳費(月々の給与)が月々130万、期末手当(ボーナス)が年間計635万、文書交通費が月々100万円、立法事務費が月々65万円といったところです。

この金額だけを見ると世界最高水準なのは確かで、米国で約1700万円、イギリスやフランス、ドイツは1000万円前後だそうです。けしからん!日本の政治家も給料は半分にするべきだー!!

…と言いたいところですが、まあお待ち下さい。
こういうものは、単純な金額だけでは比較できないものです。

結論から申し上げますと、僕は日本の国会議員の給料はまったく高いと思いません。その理由は大きく以下の3点です。

・雇える秘書が少ない(経費の支出が多い)

日本の法律では、公費で雇える公設秘書は3名までです。何度も申し上げているように国会議員の最たる役割は「法律を作ること」ですが、複雑怪奇な立法業務を議員活動の傍らに行うのに、3名程度のスタッフで足りるはずがありません。

そこで国会議員の先生たちは「私設秘書」というものを雇うわけですが、当然これは上記の収入から出すわけですね。大物議員ともなると数十人もの私設秘書を抱えていますが、一般にふつうの議員の私設秘書(スタッフ)は5~10名と言われています。

私設秘書を雇用する経費を、まあ少なく見積もって一人あたり年間400万(社会保障費のコスト含む)として、最低人数の5名だと考えてもこれだけで年間2000万円。収入の半分くらいはぶっ飛びますよね。

その他、政治家の人がよく配っているチラシなんかも自費ですし、文字通り「カネがかかる」政治活動はすべて歳費から捻出されています。よく言われるように政治家自身の「JRなどの交通機関はタダ」かもしれませんが、イベントや政治活動で移動するのは議員さん本人だけじゃないですよね?秘書やスタッフの分はもちろん自腹で支出です。

このあたりを諸々勘案すると、よっぽどうまく立ち回っている議員さんでも手元に残る年収は1千万円程度ではないでしょうか。

・選挙にカネがかかりすぎる

はい出ました、日本政治最大の問題点!

建前上、選挙にかかる費用は国から出ることになっていますが、事実上選挙前から始まっている「政治活動」には莫大なお金がかかります。

選挙のやり方にも因りますから一概には言えませんが、一千万以下の費用で国会議員に当選できる人はごくわずかでしょう。まあしかし、ここでは仮に1回の選挙費用に一千万かかるとして、次に話しを進めましょう。

・限りなく不安定な職業である

同じく「給料が高い!」と批判される公務員との最大の違いは、この点です。一度なればほぼ一生の雇用が保証される公務員と違い、政治家は落ちたら単なる人です。衆議院なら4年後、もし途中で解散したら1年か2年で無職になるリスクがあるのです。

というわけで、以上の3点を鑑みて計算してみましょう。

1千万かけて衆議院に当選し、運良く解散もなく4年間の任期を全うしたとします。
そして次の選挙で同じく1千万かけたものの、次は敢え無く落選してしまいました。

するとこの人の4年間の収入は

1千万×4年で4000万。ここから選挙費用2000万を引いて2000万。
これを4年間で割ると…

年収、500万!

これが国会議員の現実です。
(しかもかなり甘めの見積もり)

国民の代表、国家を舵取りを担う職業がこの程度の収入で良いと、僕は思いません。「政治家は志で食っていけ!」というのはその通りですが、実際問題稼ぎの良い仕事に優秀な人が集まるのは事実で、現状では賢い若者が政治家を目指すことはまずないと言っていいでしょう。

しかも日本は、一度サラリーマンの道から外れて政治家を志した人間が、また同じレールに戻ってこれることは非常に難しい社会です。仮に政治家を志し、一期で落選するようなハメになれば、その人の生涯所得は著しく低いものになってしまいます。こんな状況で正社員という地位を捨ててまでチャレンジできるのでしょうか。

政治家のレベルをアップさせるためには、

1.そもそも選挙にお金がかからなくても良いようにする
2.政治にチャレンジしても、企業勤めに戻れってこれる風土を作る
3.さらに給料を上げることで、優秀な人材を集める

こうした課題のクリアが必要なのは自明です。
自明なことが改善されないのが日本社会の摩訶不思議なところなのですが。。

では、具体的にはどのようにこの課題をクリアしていけば良いのでしょう?
社会の根幹に関わる根が深い問題に単純な処方箋はありませんが、まず次回はこのシリーズの続きとして

「国会議員の数は本当に多いのか?」

を検証してみたいと思います。
次週を待て!(おや、新しい展開)

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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