こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日17時、小池百合子氏が自民党都連の推薦を得ないまま出馬表明に踏み切ったわけですが、
そこで掲げた公約(宣言?)が予想外過ぎてぶっ飛びました。
1.(都議会の)冒頭解散
2.利権追及チーム
3.舛添問題の第三者委員会設置
2番と3番はわかりますが、議会を解散!!
これはすごい球を投げてきました。
彼女が伝えたい意図は明白です。
舛添問題の追求姿勢といい、その後のリオ海外視察を巡るゴタゴタといい、
五輪に関わる利権漁りといい、都議会に対する都民の不満は鬱積しています。
今回、当初は自民党都連(=都議会自民党)に推薦を求めた小池百合子氏ですが、
それが難しいとわかると一転して対決姿勢に転じ、
「今の東京都議会は、都民の気持ちからかけ離れている」
「都議会を変えないかぎり、これまで(猪瀬・舛添)の繰り返しになる」
「都政の抜本的改革には、議会の刷新が必要だ!」
ということを有権者に訴えかけていく作戦なのでしょう。
まさに機を見るに敏な、小泉純一郎ばりの「劇場型政治」…!
2番の「利権追及チーム」の対象には当然、都議会議員も入っているものと思われますし、
本当にこれが実現すれば高い注目度の下、都議会にもかつてないメスが入る可能性があります。
小泉元首相の「最近は女も度胸がある」の真意を表面的にしかわからない人が多い。小泉さんの思想は既得権益への斬り込みなのだ。自民党都連に挑んだ小池百合子氏をその意味で評価している。
NewsPicsで…https://t.co/imKF2PTwtI #NewsPicks— 猪瀬直樹/inosenaoki (@inosenaoki) 2016年7月5日
猪瀬前知事が核心をついたコメントを各種SNSに残していますが、
内田茂氏を筆頭とする都議会の権力構造はまさに「伏魔殿」と称するにふさわしいもので、
私自身も「都知事をどれだけ変えたところで、都政は変わらない」と繰り返し訴えてきました。
参考:
「都知事が変われば東京は変わる」は幻想。本命は、日本一旧態依然とした東京都議会だ
自民党都連にフラれた結果論とはいえ(ボソッ)、
都議会との対決姿勢を鮮明にした小池百合子氏の方向性は
正しいものだと思いますし、一定の民意を受けるものと予想されます。
■
とはいえ。
都知事に「議会を解散」って、そもそもできるんでしたっけ?
はい、できません。
常時解散権を持つ国政の内閣と異なり、地方地自体の首長は
「議会に不信任案を出された時」のカウンターとしてしか、議会を解散することができません。
記者会見では、
「自ら解散をすることができないのは存じている」
「議会が私をダメだと判断すれば、不信任案が出ますよね?」
ということをおっしゃっていましたが、
議会は首長をやめさせるために不信任案を出すわけで、
自分たちが解散させられるとわかっていて不信任案を出す議会はありません。
特に都議会は、今回小池百合子氏が「ケンカを売った」自民党と友党の公明党が
ほぼ3分の2の議席を確保しているわけで、不信任案を出してくれるとは考えづらい状態です。
現実的に、不信任案を出させる方法があるとすれば…。
議会が嫌がるような条例案、例えば
「議員報酬・議員定数9割カット条例」
みたいなものを出しまくって、議会と激しく対立。
ほとんどの条例案がマトモに採決されないような状態を自ら作り出して、
「都政を停滞させているのは、旧態依然とした都議会だ!!」
と世論を劇場型で煽り、ニッチもサッチもいかない膠着状態の中で、
都議会が不信任案を出さざる得ない状況をつくる…とかでしょうか。
極めてハードルも高いし時間もかかりますが、
これが実現すれば
「知事を支持する新興勢力VS守旧派の現職議員」
という構図が明確な都議選に突入し、
民意の爆発で都議会が刷新される可能性があります。
また、仮に解散が実現できないとしても、
実は小池百合子氏にそれほどデメリットはありません。
これまた
「民意は解散を望んでいるのに、不信任案を出さない議会こそが改革の敵だ!」
という構図を見せ続けて、都民の支持をキープすることができるからです。
そして時間切れで解散ができずに来年6月の都議選に突入しても、公約違反にはなるものの、
結局上記と同じ構図での選挙が行えることになるわけですね。
■
このように様々な可能性はゼロではありませんが、
小池百合子氏の「冒頭議会解散」公約は、極めて実現可能性の低いものと言えるでしょう。
なのでこれは要するに、彼女の師匠の一人である小泉純一郎氏が、
「自民党をぶっこわす!!」と言って一世を風靡したことと同じなのではないでしょうか。
彼自身は実際に、自民党を壊したわけではありません。
ですが、「自民党を壊すくらいの勢いで」改革を進め、
このキャッチフレーズは大きな反響を呼びました。
同様に小池百合子氏も、「議会を解散させるくらいの勢いで」都政の改革、
都政の闇に切り込むという意気込みを示した、と見るのが現時点では妥当な分析であると思います。
それにしても、小池百合子氏の「使える状況はすべて使う」という
勝負師としての動きには、改めて驚嘆せざるを得ません…。
実際に、都議会と先鋭的に対立する都知事が誕生すれば都政は激変すると思いますけど、
この対決姿勢と「解散」発言が果たして凶と出るか吉と出るか。。
これを受けた自民党都連・および野党などの動きも見ながら、
私としても適切な対応を模索していきたいと思います。
なお明日は本件でテレビ朝日「モーニングショー」にスタジオ出演予定です。
出番は朝8時台、お時間のある方はぜひ御覧くださいませ。
それでは、また明日。
※小池百合子氏SV自民党都連の過去記事はコチラから↓
「自民党」と「都議会自民党(自民党都連)」の関係を、小池百合子氏の出馬表明から考えてみる
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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