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日本の憲法改正は、裁判官の「国民審査」方法の改善あたりからやればいいと思う

選挙の話

「入れたい政党も候補者もいないし、選挙で投票に行くのはスパっとやめとくか!」

と考えている皆さまに朗報です。
な、なんと衆議員選挙には、皆さまにもう一つ大事な役割があります!
それが

「最高裁判所裁判官国民審査」

です。

衆議員選挙の投票所に行くと、見知らぬ人々の名前が記載された
投票用紙を渡されます。これは最高裁判所の裁判官の皆さまで、
私たち国民がその働きをジャッジすることができます。

これらの名前の上に「×」をつけると不信任票が入り、
それが過半数を超えると問答無用で罷免されるというガチンコな制度なのですが、
これまでの歴史上、不信任を受けた最高裁判所裁判官はおりません。

まあ、そりゃそうですよね。

・×をつけずに空白で出すと、「信任」でカウントされる
・×しるし以外のものを記載すると無効票になる
・そもそも信任、不信任を判断する材料が国民側にない

などの理由によって、
歴代の投票の中でも不信任率は最高15%程度となっています。

形骸化しているとも批判されるこの制度ですが、
最高権力の一つである裁判所に緊張感を与える意味では
一定の効果があるとされています。

では我々は、何を基準に判断すればいいんでしょうね?

一応、最高裁判所HPで判例の一覧と担当裁判官の名前は見れますが、
これを一つ一つ見ていくのは現実的ではありません。

最高裁判例
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/list2?page=1&filter%5Brecent%5D=true
(各党の政策を比較する方がよっぽどラクだ!)

そこで今回、皆様にチェックポイントとしてオススメしたいのが、
「一票の格差」「現行の選挙制度」に対する裁判官たちの態度です。

現在の日本の国政選挙は、地域によって有権者と議員の数が適正比になっておらず、
参院選で約5倍、衆院選で約2.4倍の「一票の格差」が生まれています。

参考:今、そこにある格差 -あなたの一票は、何票?-
http://otokitashun.com/blog/column/3927/

これを本来、政治家たちは定数の削減や是正で
真っ先に改善しなければならないものの、

「うちの選挙区から人数を減らされたら困る!」
「こっちを減らすくらいなら、あっちから減らせ」

という議席にしがみつく議員たちの醜い執着によって、
一向に改善されないまま今に至っているわけですね。

平等な選挙を行うことは憲法に規定されていることですから、
司法はこの立法府の怠慢に対して、「選挙結果の無効判決」を出すことができます。

ところが日本の最高裁判所は、
「確かに違法ではあるが、無効にするほどではない」
という日和見的な態度を続けています。

つまり、最高裁判所の裁判官の中に、
一票の格差を容認する、既得権益の味方がいるわけです。

20141211001

これに警鐘を鳴らしているのが、
「一人一票実現国民会議」というNPOです。
http://www.ippyo.org/index.html

上記の画像のように、今回審査の対象となる5名の裁判官のうち、
現在の違憲状態の選挙を容認する裁判官たちを不信任するように呼びかけています。

これはこれで一つの切り口でしかありませんが、
政治家たちが自分たちの立場にしがみつき、立法府が自浄作用を働かせない以上、
三権分立に基づき司法から厳しい審判を下してもらわねばならないことも確かです。

司法が現在のおかしな選挙に対して「No!」を突きつけるように、
私たちの貴重な「国民審査権」を行使してみるというのも、
一つの考え方ではないでしょうか。

なおこの国民審査、非常に問題が多いことでも知られています。

まず、最高裁判所裁判官に就任して初めて衆院選挙が行われる時が
その裁判官にとっての最初の審査となるのですが、これはタイミングによっては
就任直後で実績が何もない状況で行われる可能性があります。

事実、以前にそうした事態も発生しました。
そしてこの審査はなんと、一度受けると10年間は再審査がないので、
ここをクリアすると次に我々国民が裁判官をジャッジできるのは10年後。

そして裁判官の定年は70歳。最高裁判所裁判官に上り詰めるのは
60歳を超えてからというのが慣例になっており、一度この審査をクリアすれば、
退官するまで事実上、二度と国民審査を受けなくて済むということになります。

また先に出てきた、「×をつけなれければ自動的に信任になる」という投票システムは、
なぜかソ連の仕組みを採用したもので、審査を受ける裁判官側(権力者側)に有利な仕組みです。

その他にも海外から投票できない、期日前投票の期間が衆院選挙と異なるなど、
細かな点でも修正すべき点が目白押しなのが、この国民審査という制度なのです。

なぜそんな明白な問題点があるのに、改善できないのかというと…
この改定には、憲法改正(第79条2項)が必要だから。
(しなくても改定できる部分や、憲法改正は不要という学説もある)

日本国憲法は、誕生以来一度も改正されたことがない「不磨の大典」です。

参考:
ドイツ:59回、フランス:27回、アメリカ:6回、日本:0回…「憲法改正」を考える
http://otokitashun.com/blog/daily/3251/

これを憲法9条から改定しようとすればアレルギーが爆発すること確実なので、
個人的にはこういう明白な問題点から改善してみるのも一つの手かな、と思います。

まあ、この「一票の格差(=組織票が強い)」状態のままでいたい与党勢力が、
そんな自分たちに不利を招く可能性があることをするわけないんですけどね。。

なおこの国民審査、「棄権」することもできますので、覚えておきましょう。
棄権したい場合は、投票用紙を渡されるときに

「私は棄権します」

といって投票用紙を返却することができるそうです。
前述の通り、この用紙は白紙で提出すると「信任」扱いになってしまうため、
棄権するには投票用紙を返却するか無駄に落書きするしかないわけですね。

この「国民審査」も、投票と並ぶ立派な参政権の一つです。
衆院選だけではなく、もう一つの大事な役割を果たすために、
ぜひとも日曜日は投票所に足を運んでくださいませ。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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