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今、そこにある格差 -あなたの一票は、何票?-

政治コラム

「国政選挙で、あなたの一票は何票ですか?」

なんて質問をされたら、

「はぁ?一票は一票に決まっているだろ?
日本語を勉強しなおしてこい、このオタンコナス!」

と思われる方も多いのではないでしょうか。
ところがどっこい、日本人の大半の方の一票に、一票の価値はありません
これが最近、とみに話題になっている「一票の格差」問題です。

◆一票の格差とは?◆

現在の日本の選挙(ここでは国政を指します)では、「選挙区」というものがあり、
住民票のある場所で選挙区が別れ、選挙区ごとに候補者・投票者がいます。

日本の選挙区は主に都道府県などの自治体が基本になっているため、人口の偏りが生じます。
例えば有権者の最も多い衆議院千葉県4区の有権者は49万人、最も少ない高知県第3区は21万人。
それでも当選者は同じ1名なので、なんと一票に2.3倍もの差がついています(2009年衆議院選挙に拠る)。

完全に都道府県で選挙区が別れる参議院選挙では、この差はもっと顕著になり、
なんと神奈川県民の一票の重みは、鳥取県民の5分の1しかありません。

「一人一票実現国民会議」をされている升永弁護士によると、
現在の衆議院選挙では全有権者の42%を獲得すれば過半数取れるそうです。
つまり、日本は事実上の「少数決」になっています。これが一票の(質的な)格差です。

◆◆

僕は毎回、口を酸っぱくして「選挙に行け」「参政権は、誰もに保証された平等な権利だ」
と述べていますが、実はその投票権は厳密に言えば平等なものではないのです!
なんてことだー!

当然、これは由々しき問題で、すぐにでも是正されるべきだと思います。
しかしながら、僕が一票の格差是正に求める観点は少し違うかもしれません。

前提として憲法に保証された一票の質が保たれてないことは論外だとは思いますが、
だからと言って「少数者によって物事が決められる!」「政策が歪められている!」
という事態になっているかというと、正直、そうでもないと思います。

しかしながら、一票の格差是正は現在の腐敗政治の作り出している
「選挙制度」「多すぎる国会議員の数」を是正する起爆剤として、大きな意味を持っています。

日本の選挙制度の最大の問題点は、地域ごとに選挙区が分けられる点です。

「地域(自治体)の代表として、地域の意見を国政に届ける云々」

という美辞麗句がその根拠として声高に語れますが、
そもそも国会議員の仕事は広域に渡る国政です。地方のことを行うのは、地方議員です。

その住み分けができないから、地元に高速道路や鉄道を作った政治家が持てはやされ、
国会議員の役割が地方住民の御用聞きに矮小化されていくのです。

百歩譲って高度成長期に地方に力を分散するためなら意味があったかもしれませんが、
今の日本において国会議員が地方を代表する意味はほとんどありません。

なぜこの選挙区の話が一票の格差と結びつくのかというと、
一票の格差を解消するのにベストに近い解決策に一つが、
日本を一つの選挙区として、すべての議席を比例代表制度で争わせることだからです。

政党または政党に所属する個人単位で投票し、得票に応じて当選者数を配分する比例代表制度。
得票数と率に応じて議席を配分する比例代表制度を日本という単位で行えば、
一票の格差という問題は完璧に解消されます。

国会議員も、「全国から政党と政策によって選ばれる議員」になりますから、
地方の御用聞きになり、毎週末は地元にとんぼ返りするという無駄をなくすことができます。

さらにこの制度なら理論上、大幅な国会議員の削減が可能です
やれ選挙区だ、人口の割合だのを既得権益者に口実として与えるから、
どの政党も「8増9減」だの「7増7減」だのと言って国会議員をほとんど減らすことができないのです。

この際思い切って、ばっさり国会議員を半分くらいにしてしまいましょう!
なーにあふれた仕事は、暇そうな顔をしている(失礼)地方議員に権限と一緒にあげればいいのです。
地方分権化も進み、一石三鳥ではないですか。

というわけで比例代表制への統一は

格差の解消、国会議員の削減、地方分権化の促進

という3つの改革につながる一手なのです。
他にも比例代表のメリットとしては、死票が少ない、少数政党が議席を確保しやすいなど
少数者の民意を掬い上げて多様性を担保できることが挙げられます。

反面、「無所属」という出馬方法が失われてしまいますが
政治の世界では本当に無所属の一匹狼ではまず何もできませんし、
今も「無所属」といいながらほとんどの候補者が既存政党に紐づいてる状態ですから、
いっそのこと政党から公認を取らせるフローで候補者の質を上げた方が良いと思います。

ちなみに僕の考え方に最も近いのが『みんなの党』の指針で、この党は

「全国をブロックに分けてすべて比例代表制に統一、衆議院の議席は300人」

という政策を掲げています。
衆議院議員選挙制度改革案「一人一票比例代表制(ブロック単位)」

http://www.your-party.jp/file/press/111021-01a.pdf

選挙活動や投票行動の合理性からブロック分けの導入は現実的ですから、
かなり理想に近い、具体的な改善策と言えるでしょう。

政治を変えるには政治家を変えなければならず、
その政治家を選ぶのが選挙です。

「政治とは、選挙である」

と言い切る政治家もいるほど重要な制度であるにも関わらず、
日本の選挙制度は既に多くの矛盾と老朽化で限界を迎えています。

そして毎回毎回しつこいようですが、その選挙制度を変えるのにすら、
まず我々が現行の選挙に行き、正しい政策を行う政治家と政党を選ばなければならないのですよ!

今は一票の価値がないかもしれなけれど、
正しき未来のために、今ある一票を捧げましょう。ではでは。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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