こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
本日は参議院憲法審査会が開かれました。予算審議が終わってようやく4月から、ほぼ毎週ペースで開かれるようになったことは前進ではあるものの、
合区問題→参議院の緊急集会→合区問題→参議院の緊急集会→合区問題…
と繰り返しており、衆議院憲法審査会では緊急事態条項や憲法9条についてかなり深い議論が行われているのと比べると、残念ながら雲泥の差と言わざるをえない状況になっています。
加えてその合区問題・緊急集会についても、特段にゴールを設けずに各会派が放談しているだけの状態。
立憲や共産がそもそも議論に後ろ向きなことは仕方がないとしても、自民党はそのペースに流されず、筆頭幹事としてせめて衆議院並の議論が行われるようにリーダーシップを発揮してもらわねばなりません。
この点は毎回の幹事会でも発言しておりますが、引き続き各党各会派に呼びかけていきます。
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さて、憲法に規定されている参議院の「緊急集会」。
参議院の緊急集会
https://www.sangiin.go.jp/japanese/aramashi/keyword/syukai.html
>議院は衆議院の解散と同時に閉会となりますが、この閉会中に国会の議決を要する緊急の問題が発生したときに、参議院が国会の権能を暫定的に代行する制度が参議院の緊急集会です。内閣は、衆議院の解散中に国に緊急の必要があるときは、参議院に対して緊急集会を求めることができます(憲法第54条第2項)。
万が一の緊急事態に、衆議院議員がいない空白状態が発生したとしても、この参議院の緊急集会で対応ができるではないか!だから緊急事態条項は不要だ!
という主張が、特に参議院側を中心に一部の党派からなされています。
しかしながら、参議院の緊急集会は重要な機能であっても、そこには明確に限界があります。
衆議院が不在となる期間として想定されているのは、最長でも解散から選挙までの40日+特別国会が開かれるまでの30日=70日です。
それ以上の長期にわたる期間まで、参議院が単独で国会機能を担えるということを、現行憲法で認められると解釈するには相当な無理があります。
また、緊急集会で取り扱える案件は、予め総理が示した案件に限るとされており、これも長期にわたる緊急事態において参議院が包括的に対応することは想定されていません。
本日の憲法審査会でも「安保法制なども憲法解釈で強引にやってきたのだから、緊急集会も拡大解釈して、長期の緊急事態でも参議院で対応すれば良いではないか」という意見も出ましたが、それこそ
「憲法を守って立憲主義が滅ぶ」
ということになりかねません。あくまで二院制が原則となっている日本国憲法下で、参議院の緊急集会の権能を無尽蔵に拡大していくことに賛同する意見は極めて少数ではないでしょうか。
というような発言全文は、最下部にも掲載しておきます。
我々が提言している緊急事態条項・議員の任期延長においても、参議院の緊急集会の重要性はまったく変わりません。
ただ、その限界を補う必要がある。このロジックは多くの国民に受け入れていただけるものと確信しています。
引き続き、早急に意見・結論の取りまとめが行われるように動いていきます。
それでは、また明日。
■本日の発言全文■
日本維新の会の音喜多駿です。
先月の審査会において、私は、憲法第54条に規定された「参議院の緊急集会」の趣旨と必要性、またその限界についての認識をお示しした上で、憲法改正による緊急事態条項の新設について提言を行いました。本日は衆議院の方ではかなり議論が煮詰まっている、緊急集会の限界性についてもう少し詳しく意見を述べていきます。
我々が提言している緊急事態条項案においても、参議院の緊急集会の重要性はいささかも変わることはありません。しかし、そこには明確に限界があります。
一点目の限界性は、長期にわたる場合を想定していないという点です。参議院の緊急集会の要件として、(1)衆議院の解散中であること、(2)国に緊急の必要があること、(3)内閣のもとめによること、という3つがありますが、このうちの(1)衆議院の解散中であること、言いかえれば解散中にしか緊急集会が開という限定された要件が、昨今想定されている緊急事態にそぐわないのではないかと考えます。
なお、この解散要件については衆議院の任期満了に類推適用ができるという意見もありますが、仮にそうだとしても、直後に衆議院の議決を求めていることからも、長期の緊急事態まで想定されているとは考えられません。緊急集会が想定しているのは、国政選挙を通常通りに行える程度の状況、近いうちに国会が開会されることを前提としています。大規模災害の発生、感染症や戦争の拡大など長期にわたる緊急事態が発生し、国政選挙の適正な実施ができない状態が生じた場合、参議院の緊急集会だけでは対処が困難になります。これが一点目の限界性です。
二点目の限界性は、緊急集会の権能における限界です。国会法によりますと、第九十九条第一項で、「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない。」とあります。次に、第百一条には、「参議院の緊急集会においては、議員は、第九十九条第一項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる。」とあります。すなわち、緊急集会は内閣の請求の際に総理が示した案件に絞られています。そのうえで、集会を開く際に総理が示せる案件について、幅広く設定することはできない、個別具体的に示さなければならないという考え方が主流となっています。国会法に例示やホワイトリストがない以上、行政の恣意的な暴走を防ぐためにも、個別具体的に示すことが必要であるという考え方は妥当といえます。
なお、緊急集会は、国会の権限を代行するものであるので、法律案の議決・予算の議決・条約の承認など国会の権限に属するすべてを議することができるというのが通説ですが、誤解してはならないのは、緊急集会には一般的にそうした権限がある中で、総理が初めに提示した個別具体的案件しか国会で議論できないということです。
しかしながら、一点目の限界性で述べたような長期にわたる緊急事態が生じた場合、当初想定した案件のみを議論するだけでは足りなくなる、国会の権限全てを行使することが求められる可能性も出てくることは大いに予想されます。参議院の緊急集会の権能では対処できない課題が出てくる、これが二点目の限界性です。
こうした二点の限界性をふまえて、やはり、緊急事態条項が必要であると考えます。繰り返しになりますが、いかなる緊急事態にあっても、国会機能や二院制の原則を維持し、権力の統制を果たすことは極めて重要であり、選挙が実施できないことによって国会議員が不在となる事態を避けるためにこそ、憲法改正が必要なのだということを強調しておきたいと思います。
これは、なにも現行憲法における参議院の緊急集会の存在意義や権能を軽視するものではまったくありません。しかしながら、安全保障環境の激変や大規模災害発生のリスク、そして約100年ぶりに感染症の蔓延を経験した我が国にとって、参議院の緊急集会では賄えない、長期にわたる緊急事態は想定しておくべきであり、そうなった際の行政の暴走を止めるためにも、緊急事態条項の創設につき、早急に前へ進めるべきであることを申し上げまして、私からの意見とさせていただきます。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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