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「緊急集会」の限界。憲法への緊急事態条項の創設は、決して参議院軽視ではない。

日々のこと

こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

本日は今通常国会初(!)となる、参院憲法審査会がようやく開会されました。

予算委員会を言い訳にして開催を先延ばしにして、やろうと決まったら野党筆頭幹事の不適切発言でてんやわんや…。

小西氏サル発言は「憲法審での謝罪必要なし」立民・杉尾氏
https://www.sankei.com/article/20230405-IHFU4L4V6FK2FL5XT6JT3GNIRU/

これだけ各方面で問題になっていることですから、平場(議事録が残る場)でもしかるべき対応をされるべきだと思いますが、今日はそうした発言がなく残念です。

明日の衆院憲法審査会における対応も注視していきたいと思います。

さて、本日の議論テーマは「参議院の緊急集会」。憲法54条によって、衆議院が解散されている間に何か生じたときは、参議院で「緊急集会」を行えるという規定があります。

第五十四条
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
② 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。 但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる

これをもって参議院側の野党の中には、

「参議院の緊急集会があるのだから、議員任期延長などを定める緊急事態条項など必要ない!」
「衆議院で行われている議論は、参議院の存在をないがしろにする参議院軽視だ」

という意見があります。

参議院の緊急集会については、民主政治に必要な権力分立、権力濫用防止の意味から重要な意味があると思います。

ただしこれは、あくまで極めて短期間が想定されており、衆議院の招集が憲法によってある意味「免除」されている

40日+30日=70日以内

という規定を超えうるような長期の有事に対して参議院だけで対応することは困難です。現行の憲法もそれは想定していないと考えられますし、これを「解釈」で乗り切ることのほうがそれこそ立憲主義の観点から危険であると思います。

そこで過日のブログでも紹介した内容にて、日本維新の会・国民民主党・有志の会の三党派は具体的な緊急事態条項の条文案を発表しています。

決して参議院を軽視しているわけではなく、これをベースに参議院憲法審査会でも活発な議論が行われることを期待するものです。

本日の発言原稿の前文も下記に掲載しておきます。

それでは、また明日。

日本維新の会の音喜多駿です。

冒頭、過日に参院憲法審査会のメンバーから不適切な発言があった件について、ご発言内容についてはこの場では繰り返しませんが、審査会の開催頻度について一言、意見を申し上げたいと思います。

憲法審査会は憲法改正の議論や、日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行う機関です。昨今の流動的で不確実性の高い国内・国際社会に照らし合わせれば、戦後直後に作られた憲法で対処できない問題が多数出てくるのであり、迅速かつ効果的に情報を収集し、意見交換するためにも、頻繁に開催することに十分な意義があります。

昨年から衆議院の憲法審査会は活性化し、一定の国民の評価を得てきました。参議院でも与野党が協力して、国民が求める議論に応えていくことが必要であり、毎週あるいは頻繁な開催を求めるものです。

また、不適切な発言については、会長だけではなく当事者、あるいはしかるべき立場の方からこの参院憲法審査会の場でも、謝罪・撤回などの対応がなされることを強く期待します。

さて、今回、私は日本国憲法第54条に規定された「参議院の緊急集会」の趣旨と必要性を確認した上で、併せて緊急事態が70日を超える場合には憲法に緊急事態条項が必要であるとの立場から、緊急事態条項改正案の提言を行います。

憲法第54条は、国家の緊急事態に対処するための仕組みを提供しています。その趣旨は、単に衆議院議員が不在の場合の国会の決まりという意味だけではなく、緊急事態下においても、行政府の一存で行うような措置を極力防止するべきであるという、民主政治に必要な権力分立、権力濫用防止の意味もこめられていると考えます。

ゆえに、二院制が存続する現時点において、民主政治を徹底させて、国民の権利を充分に擁護するためにも、本条は必要不可欠であると考えます。

一方で、長期にわたる緊急事態が発生した場合、参議院の緊急集会だけでは対処が困難になります。憲法第54条から導かれる緊急集会を開くことができる期間は最長でも70日までです。しかしながら、緊急事態が70日を超えるような長期にわたる場合、この規定だけでは十分な対処ができません。

例えば、感染症の拡大によって、国政選挙の適正な実施が困難になる場合もありえます。我が国では今回選挙の延期の事例はありませんでしたが、イギリスでは統一地方選が1年、ポーランドでは大統領選が2か月、米国では大統領選の予備選が3か月以上延期されるなど、新型コロナによっても主要国の選挙は影響を受けました。

また、ウクライナ戦争をみるに、外交努力虚しく戦火が我が国に及んだ場合、選挙ができないほどの事態が長期にわたることも大いに予想できます。このような場合には、国会議員の任期を延長する緊急事態条項を設けることが必要です。

そこで我々日本維新の会は、先日、国民民主党、有志の会と日本国憲法への緊急事態条項の創設に向けて、3党派合意書を結び、緊急事態条項原案を発表いたしました。

具体的には、武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症の蔓延など、広範な地域において国政選挙の適正な実施が困難になった場合、内閣の発議と国会の3分の2以上の多数の議決によって、国会議員の任期を延長する緊急事態条項を設けるというものです。

もっとも、緊急事態条項を導入するにあたっては、憲法上の基本的人権や自由を制限することがあるため、透明性の確保も必要です。

例えば、緊急事態条項の導入にあたっては、監視の仕組みとして憲法裁判所の関与を必要とするほか、議員任期延長以外の国会権能維持のための措置や絶対に制限してはならない人権に係る規定等の条文などが適切に設計される必要があります。これらについても、我々は今国会中に成案を目指しております。

このようなフルセットの緊急事態条項を設けることにより、緊急事態が長期化した場合でも国政選挙が適正に実施されるまでの間、国民の代表たる議員が存続し、国家の運営が継続でき、かつ行政の暴走を止めることが保証されます。

私たちは、これまでの経験から学び、未来の緊急事態に備えるために、憲法の改正を検討する必要があります。緊急事態条項の導入は、その語感から、強権的でファシズム的な印象を与えますが、我々の案はむしろいかなる事態においても国会権能を維持することで権力の暴走を止めるために作動するものであり、国民の生命と財産を守るために重要な役割を果たすと考えます。

是非とも我々の発表した案に基づいて緊急事態条項の導入に向けた精緻な議論が本審査会でも行われることを求め、意見とさせていただきます。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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