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有能さはハラスメントの免罪符にはならない。プロセスやコミュニケーションの重要性と泉房穂市長の引退宣言

日々のこと

こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

先駆的な行政運営や子育て支援策、類まれな発信力と強烈なキャラクターで名を馳せていた明石市の泉房穂市長が暴言・ハラスメントで引退されることを表明されました。

私自身も付き合いがあり、何度も勉強会やイベントでご一緒しました。その熱い思いや政策には目を見張る点が多々あり、引退は大変残念です。

ただその上で、やはりどんなに政策や実績が立派であっても、暴言・ハラスメントについては一切擁護できないし、するべきでもないと考えます。

大阪・松井市長「怒り方が幼稚」 威圧的発言の兵庫・明石市長に
https://news.yahoo.co.jp/articles/599b31f9133ce11a1edf05c8175cf7e19300e9bf

>松井氏は「政治活動の源泉が怒りというのは僕も一緒だが、口に出しても仕方がない。それでは子どものけんかだ」と語った。

怒りや不満というのは改革や変化への強い原動力ですが、それを周りに攻撃的な形で発露させてはいけません。

「ハラスメント気質だけど、仕事はできる。突破力がある」

という人材を、ともすると日本社会はこれまで許容してきた面があると思います。今回も「議会側にも問題がある、○○も悪い」という声が上がっているのもそうした一面でしょう。

しかしながら、そうした強烈なキャラクター個人はものすごく結果を出している、100の仕事をしているように見えても、周囲はそれによって著しく意欲が減退してマイナス100以上になっていて、結局は組織として損失になっている事例は非常に多いのではないかと思います。

実際に、霞が関(中央省庁)でも国会議員と渡り合えて深夜残業もいとわない、「タフ」で「有能」と評価される人材が、部下や周囲に対してはハラスメント体質で次々に若手がやめていくという話はよく聞きます。

これからの時代は(というかこれまでも)、ハラスメントは決して許されない・仕事ができることは免罪符にならないということを、私たちは何度でも肝に銘じていく必要があります。

また、千葉県の熊谷知事がFacebookで今回の辞任撃について興味深い長文を投稿されています。

政治家の出処進退は自身で決めることなので私からはこれ以上は申し上げられませんが、業績への高い評価をもって言動等を擁護する向きは違うと思います。二元代表制の一翼を担う議会・議員への度を越した発言や議会が反対したものを専決処分で通そうとした手法は容認されるものではありません。(中略)

私も14年首長をしていますので、自身の思い切った政策を時には制約する議会を首長が煩わしく思う気持ちは分からなくはありませんが、首長の権限は強く、暴走や独善化を防ぐ仕組みが必要です。首長の行動を監視し、少数の意見も含めて反映する議会は民主制の国家における地方自治において必要不可欠な存在と言えます。

民主主義の遅さ・悠長さに飽きた国民が一人の卓越したリーダーが最短距離で思い切った政策を取ることができる、そんな存在や制度に魅力を感じがちです。
ですが、プーチン氏の暴走を見れば明らかなように、一人のリーダーに権限と責任を預けるのは危険です。人はそれほど完璧ではありません。
(後略)
熊谷俊人県知事のFacebookより抜粋、強調筆者

↑こちらに引用部分以外にも、子育て支援策を拡充してきた光と影など頷けることばかりなのでぜひリンク先を全文お読みいただきたいのですが。

「民主的なプロセス・合議を重視する」というのは極めて重要なポイントだったと思います。

泉・明石市長の「暴言」は一体何がマズかったのか、同じく職員とやりあった橋下徹・元大阪市長との違い
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e92547a9581313b15e87e3749c5f5b3d27056fa?page=1

当時、橋下氏を身近に見ていた私の私見ではあるが、橋下氏は、政策を進めるにあたって、スピード感や職員に求める要求はかなり厳しかったが、進める時のルールや手順は守っていた。議会や市民にきちんと説明すること、説明できることを第一としていたので、反対される議案だとしても勝手に進めたり、独断で決めたりはしなかった。

 リストラ案が多く反対されるばかりの事案でも、手順を踏み、公の採択に委ねた。当時の議会は橋下氏が代表の大阪維新の会の議員が過半数を占めていたが、だからと言って説明なしで、勝手に進めることはなかった。(中略)

 一方の泉明石市長が議員や職員にこれだけ嫌われるのは、この役所の手順を守らず、勝手に推し進めたり、市長の専決を利用したりと強引さがあるからではないか。また彼の怒りや暴言で萎縮してしまう職員たちとのコミュニケーション不足からきていることもあるのではないかと思う。
※上記記事より抜粋、強調筆者

こちらの記事でも、橋下徹氏と対比をしながらその違いについてプロセスの遵守や説明責任、コミュニケーションに重きを置いて分析をしています。

自分の能力や思いに比べて、どれだけ周囲が「ついてこれていない」「むしろ足を引っ張っている」「こいつらは自分とはレベルが違う」と思ったとしても。

政治家や権力者である以上、自らの権力には自覚的であれ。権力者であればこそ、どんなにもどかしくとも、定められたプロセスや説明責任には真摯であれ。

そんなことを改めて痛感します。

動画でもコメントしました。

暴言も一度ならず…ということですので、引退を決意されたことは適切な判断であったと思います。出処進退を見極めることができるのも、有能さの証かもしれません。

泉市長が残した政策は今後、どのような評価をくだされるのか。公共事業費などの予算配分を削ってきた功罪は。中長期的な明石市政の行方は。

他山の石としながら、引き続き注目していきたいと存じます。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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