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蘇るリゾート法の悪夢…あまりにも筋が悪い、政府による高級ホテル増設プラン

日々のこと

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

国会会期も終わったので、少しずつ勉強に充てられる時間も増えてきました。

日本人に対しても説明が複雑な「男系天皇」「女系天皇」を、外国の方に英語で説明するのはなかなか難しい…。

午後からは各省庁を読んでレクチャーと意見交換をみっちり。できる時にしっかりと知識を入れて、きたる来月の国会論戦に備えたいと思います。

さて、その受けたレクチャーの一つが先般報道のあった、政府による「全国50箇所の高級ホテル増設計画」についてです。

高級ホテル、50新設へ支援 菅官房長官
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019120700418&g=eco

国交省(観光庁)と現状について意見交換したものの…やはりあまりにも筋が悪い政策であると思えてなりません。

すでに多くの有識者から指摘が入っている通り、「五つ星ホテル」という枠組みで見れば確かに日本にその数は少ないものの、需要より供給が少なければ民間事業者が参入するはずであり、需要がないところに無理やり供給を作り出すことはできません

特に観光業においては、悪名高き「リゾート法(総合保養地域整備法)」の大惨事が良い例です。

バブル期後半に打ち出されたこの政策では、税制優遇や政府系金融機関の融資によりリゾート開発を促し、目先のインセンティブに飛びついた各自治体と民間事業者がこぞって手を上げました。

しかし需要がないところにリゾート地を作っても採算は取れず、民間事業者は次々に破綻・撤退(シーガイアなど)。

リゾート跡地は過疎化し、そのダメージはいまだに日本全国に深い爪痕を残していると言われています。

今回の高級ホテル増設計画でも「財政投融資の活用」が打ち出されて、直接的に補助金を注ぎ込むものではない・あくまで主体は民間事業者であることが強調されています。

しかしリゾート法で明らかなように、民間事業者が撤退した後に割を食うのは地域産業・自治体であり、まったく過去の経験に学んでいないとしか言いようがありません。

加えて、政府による融資は高金利の時は有効ですが、マイナス金利のこの時代に政府系融資がどの程度のインセンティブになるかはまったく未知数、というかあまり意味がないんじゃないかなと思います。

そもそも日本のホテル・旅館産業が冷え込んだのは、バブル期にかんぽの宿やグリーンピアなど行政が安価で泊まれる宿泊施設を税金で乱立させ、価格破壊をして既存の民間事業者たちの体力を奪いまくったことも原因の一つです。

まずはこの深い反省に立ち、ここから外国人観光客のためにホテル・旅館を活性化させるためには、既存の民間主体を立て直すとともに、(場所によっては)新規建設を阻んでいるとされる建築法や都市計画法の規制を緩和することを検討するべきではないでしょうか。

本件は動画でも解説させていただきました。

財政投融資のスキームを使うとすれば、まさに私が所属する財政金融委員会のマターとなりますので、次期国会でしっかりと追及して参りたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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