先週末は、JunkStageライター総会&新年会に参加してきました。
twitterやFacebookでもすでにお伝えさせていただきましたが、
なんとなんと、当コラムが「JunkStageアワード」の副賞を受賞しました!
JunkStageアワード2011、発表!
http://www.junkstage.com/fromstaff/?p=444
「JunkStageを代表するにふさわしいコラム」という誤解(?)を招いてしまったようなので、
看板に偽りのないよう、2012年はコラムの質と更新頻度を上げていく所存であります!
…まあ、その後の新年会は早速へべれけでひどかったんですけどね。
てへ。そのあたりの様子はコチラで↓
新年会をしましタ。 | ジャン子の部屋
http://www.junkstage.com/juncco/?p=142
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さて、それでは前回の続きです。
待機児童の問題は、以前も一度コラムで取り上げました。
待機児童っていつまで待機しているの?
http://www.junkstage.com/syun/?p=84
今回の消費税をアップする口実にも使われる「子育て支援の充実」。
増税分を原資に、7000億円が投資されると言われています。
ではこれを有効活用して政府・与党は待機児童を解消し、
また女性の社会進出や少子化解決を促すことができるのでしょうか?
結論から申しますと、もうまったくもって無理です。
むしろ悪化します。なんじゃそりゃ!
そもそもの始まりは、民主党のマニフェストです。
現在、保育園の不足で待機児童が増え続ける一方、
子どもが集まらない幼稚園では定員割れや廃園になる事例が続出していました。
では不足する保育園と過剰な幼稚園の問題を一挙に解決するため、
これを統一(一体化)して「こども園」なる総合施設にしてしまおう!というのが
民主党のマニフェストに書かれた子育て支援策の肝でした。
これは、普通にいいアイディアだと思います。
物事はシンプルな方が、往々にしてうまくいくものです。
しかし、ここから政権を取った民主党の迷走が始まります。
そもそも保育園は厚生労働相、幼稚園は文部科学省の管轄です。
お互いの縄張りを荒らされる互いの組織は、一致団結して猛反発します。
そこに、現状ぬるま湯のような公費投入でぬくぬくとしている
認可保育園や公立幼稚園の関係者たちが乗っかります。
「改革などとんでもない!」「保育の質を落とす気か!」
「保育園と幼稚園では、その意義も役割も違う、云々」
こうした紆余曲折を経て、ようやくまとまった素案は
「総合施設への転換を目指しつつ、保育園も幼稚園も希望すればそのまま存続を認める」
というものでした。
…ありゃりゃ?「一体化」どころか、2つだったものが
「保育園」「幼稚園」「こども園(総合施設)」の3つになっちゃった?!
そしてここからが、投入される公費の問題になってきます。
政府の働きかけにしたがって、総合施設(こども園)に移管する施設は
施設費や運営費で補助金を受け取ることができるようです。
ところがこの総合施設、既存の幼稚園業界に大幅に譲歩して
3歳~5歳のみが対象でも総合施設として認可され、補助金が降りる流れになりつつあります。
しかもこれまで幼稚園としてもらっていた「私学助成」という補助金は、そのまま継続でもらえます。
ええと、0歳~2歳をあずからないのでまったく待機児童の解消にならない上、
これまでの私学助成に加えて総合施設としての補助金までもが支給される…だと?
さらに、話はこれで終わりません。
幼稚園が補助金を二重取りできることに、既存の認可保育園業界が猛反発。
強烈なロビー活動を展開し、保育園が総合施設に移管する場合には
これまで幼稚園が対象であった「私学助成金」を受け取れる方向で話しが進んでいます。
つ ま り 、
幼稚園が「総合施設」に移管する場合、
3歳~5歳のみが対象でもOK。つまり、待機児童解消にはまったく寄与しない。
でも、私学助成も総合施設としての補助金も二重でもらえる。
保育園が「総合施設」に移管する場合、
これまで通り0歳時から対象となっているのでその機能は変わらない。
しかし、私学助成も総合施設としての補助金も二重でもらえるようになる。
こんな「総合施設」を作るために投資される公費が
増税を原資として捻出される7000億円というわけです。
…これで「子育て支援」が充実するのでしょうか?
さぞかし「保育の質」が上がって、一気に少子化が解決したりするのでしょうか?
どなたか、その道筋が見える方がいらっしゃれば、ぜひ教えて下さい。。
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というわけで、政府・民主党の子育て支援は著しく間違った方向に進んでおり
まったく待機児童解消に貢献しなさそうなことはおわかりいただけたかと思いますが、
ではこの問題解決のためにはどうしたら良いのでしょうか?
ポイントは、補助金の出し方にあります。
日本の子育て支援における補助金政策は、
サービスの供給者側(事業者側)に過剰に偏っているのが最大の特徴です。
保育園や幼稚園の運営者・事業者に補助金を出し、
「公立」というお済み付きを与え、サービスをさせる。
これが我々は「普通」だと思いがちなので、
「もっと政府は子育て支援に出資して、
子どもを預かる施設を増やせ!安くしろ!」
と叫びたくなるわけです。
しかしながら、このシステムの欠陥は明らかです。
補助金システムでは国や行政が供給者(事業者)を選定するので、
一度固定すると利権や癒着が生まれます。また自由競争が起きないので、
サービスの質の向上やコストダウンが望めません。
しかもこれから少子化が進む一方の日本では、
例え補助金を出してバカバカと箱物(施設)を作ったところで
それがいずれ無用の長物となることは火を見るより明らかです。
ならば、方法を変えるしかありません。
補助金をサービスの受給者側(利用者側)にシフトさせるのです。
その例が、教育・保育バウチャー(クーポン)です。
政府が認可している子育て期間は公費が投入されているので
月数万円といった破格で運営されいますが、まずこれを段階的にとりやめる。
当然、保育の価格は上昇します。
そこで、これまで施設に投入されていた公費を、
保育にのみ使えるバウチャーとして子育て家庭に支給します。
金額を仮に5万とすると、各家庭はその5万円のバウチャーを使って
自由に子育て施設を選んでディスカウント価格で通えばよいのです。
今は「保育の質」を金看板に政府が業者の認可・不認可を行なっていますが、
そんなものは利用者に選別してもらえばいいだけの話です。
実際に子どもを預ける利用者たちの目は、行政などよりよっぽど確かです。
すると保育業界も、クーポンを持ったお客様にたくさん来ていただくために
他の施設よりも優れたサービスを生み出したり、価格を安くしたりして競争します。
儲かるとわかれば、民間の企業も進出してくるでしょう。
これは目新しいアイディアではなく先進国では普通の考え方でもありますし、
病児保育NPOのフローレンス代表の駒崎さんなども病児保育への導入を訴えています。
あるべき病児保育政策とは
http://komazaki.seesaa.net/article/248845729.html
通常の保育にもまったく同じことが当てはまりますよね。
いや補助金が事業者側に偏っている、すべての補助金事業に対して
概ね該当する政策だと言えるのではないでしょうか。
補助金の出し方を変え、「事業者」ではなく「利用者」を補助すること。
これこそが業界の利権構造を断ち切り、待機児童問題を一気に解決に導ける
切り札とも言える改革なのです。
それが実現される日まで、もう少しだけ頑張れ、子育て世代!
国の政策に影響を与えられるよう、僕らも頑張ります!
(僕も子育て世代だけど!)(独身だからっ!)
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
twitter @otokita
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