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「社会保障と税の一体改革」が最悪な理由

政治コラム

政府・与党が予想に反して今月6日の素案をまとめあげ、
「社会保障と税の一体改革」として増税がやや現実味を帯びつつあります。

以前の記事に書いた通り、
僕は消費税の増税を一概に否定する立場ではありません。

日本の財政は火の車であり、国債の乱発は将来世代への借金でしかありません。
全世代から薄く広く徴収できる消費税は、増税としてはベターな選択肢です。

http://www.junkstage.com/syun/?p=46

しかしそれは、その増税分で財政再建をして将来世代へのツケを減らすか
震災の復興財源に当てるなど、将来への投資として有効に活用されるというのが大前提です。

その観点から見ると、今回の「一体改革」は最悪の一言です。
ポイントは、消費税を「社会保障目的税」とする部分です。

「目的税」というのは、その目的の財源となることが約束されることです。
今回政府・与党は消費税の増税分を「社会保障(=福祉、医療、年金等)」に当て、
社会保障制度の継続性と高め、さらに充実させることを目的としています。

しかしながら、現在の社会保障制度が欠陥だらけであり、
継続性などないことはどうみても明らかです。

必要以上に多額の公費(税金)が投入されている医療。
賦課方式で、世代間の公平性を著しく欠く年金制度。

現在、社会保障分野の不足財源は10兆円と言われています。
理屈としては、1%につき約2兆円の財源となる消費税を5%と上げることで
この不足分をカバーするための「目的税化」するということになっています。

しかしながら、この分野に必要な金額は毎年1兆円以上のペースで増えています。
少子高齢化が2070年頃まで続くと予想される日本では、現在の社会保障を維持しようとする限り
このペースが上がることはあっても下がることはありえません。

とすれば、消費税を社会保障の「目的税」とする限り、
この上昇ペースに伴って消費税はずっと上がり続けます。
それが2070年まで続くと…消費税は何%になるのでしょう??

そうならないために、持続可能な社会保障制度を構築する、「一体改革」が
今回の目玉だったはずですが、まとまった素案でその内容は大変お粗末です。

高齢者の医療費一部負担や、年金受給開始年齢の引き上げなど
少しでも「痛み」を伴い社会保障が削られる内容は、すべて素案から消え去りました

むしろそのかわり、低所得者への年金支給額の増額や、年金受給条件となる
納付期間の短縮(25年→10年)など、さらなるバラマキ施策が満載されたのです。
国民に増税の理解を得るためとはいえ、こんな制度がいつまで続けられるのでしょうか?

世代間格差を拡大させ続けている、現在の社会保障制度を維持するための
消費税の「社会保障目的税化」に、僕は断固として反対です

なお将来世代への「エサ」として、増税分を子育て支援に当てると
某厚労省大臣がおっしゃっておりますが、これも完全なる欺瞞です。

次回は民主党のウソフェストの一つである「こども園」からみる
子育て支援施策の失策について論じることにしましょう。

それでは!

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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