今日はまず、本のご紹介から。
働きながら、社会を変える。
―ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む / 慎泰俊
http://amzn.to/wf90cy
著者は普通のビジネスパーソン(サラリーマン)でありながら、
「働きながら社会貢献(パートタイムでの社会貢献)」という
新しいライフスタイルを考案し、NPOを立ち上げて活動されている方です。
マイクロファイナンスと教育のLIVING IN PEACE(LIP)
http://www.living-in-peace.org/
フルタイムではなく、自分の本業を持ちながら
いわゆる「空き時間」で子どもの貧困などの社会問題に取り組んでおり、
この本では主に児童養護施設を中心とした問題提起を行なっています。
さて、フツーのサラリーマンであった彼はなぜ
こうした活動に身を投じるようになったのでしょう?
経済学者のジェフリー・サックス氏によると、
極度の貧困、1日1.25ドル未満で暮らす人々を無くすために必要なお金は、
計算すると先進国に住む人々の支出の2.4%分/年に過ぎないそうです。
2.4%!
この数字をどう捉えるかは人によって様々でしょうが
日本のGDPで換算すると、日本のGDPは年間500兆円なので、
日本から12兆円のお金が貧困解決に回れば良いということになります。
12兆円というと到底集まらない気がするけれど、
組織や個人がその所得から2.4%ずつだけ出すだけと言われれば
解決できそうにも見える数字。。
単純に置き換えられるものではありませんが、
これを時間(労力)として考えてみたらどうでしょう?
24時間のうち2.4%なら、1日たったの35分。
人々が一日のうち半時間だけでも、社会問題解決のために動いたら…?
全員が難しいとしたら、じゃあ一部の人が1日2時間でも、社会貢献に時間を当てたら…?
アフター5や週末だけでも、真剣に社会問題にコミットする10%の時間は捻出できる。
そんな「パートタイム社会貢献」が増えて、全体の2.4%に到達すれば、
働きながらでも貧困を解決することができるのではないか?!
これが彼が、「パートタイム社会貢献」という発想にたどり着き
積極的な活動を始めた一つの動機だったそうです。
(あとの詳細は本をお読み下さい)(丸投げ)
著者の考えには色々と感銘を受ける部分が多かったのですが、
この2.4%という着眼点と発想は非常に素晴らしいと思います。
我々はいつも
「忙しい、忙しい」
と言って目先のことに夢中になり、
政治や社会問題から目を背けがちです。
「自分以外の誰かがやるだろう」
「こんな社会に誰がした!」
と言いながら、いつしか何も変えられないまま歳を重ねていく。
でも、本当にそれでいいのでしょうか?
朝寝坊する時間。飲み会で過ごす時間。なんとなくグダグダと流れる時間。
そうしたものを少しだけ、2.4%だけ社会のために使えないものでしょうか?
-世の中は、だれか一人の英雄によって変わるものではないけれど、
みんなが少しずつ変わることによって、ゆっくりと、でも確実に変化する。-
(本文より)
少しだけストレッチして、今の生活にない部分に手を伸ばすこと。
「政治」や「社会」に関わることは敷居が高いのかもしれないけれど、
その2.4%はひょっとしたら「投票に行くこと」なのかもしれませんね!
…と、強引に政治と結びつけて結論してみる。
(選挙の手間を考えると、本当に2.4%くらいかもしれないと思ったり)
–
さて、せっかくなので本書が触れている
子どもの貧困についても一言。
本書の中での問題提起として、子どもに対する社会保障の支出額が
先進国の中でGDP比ワースト2位(老人保障大国!)であることなども
子どもの貧困の原因として取り上げられていますが、
中でも個人的に僕が最大の問題だと思うのはやはり、
母子家庭の貧困です。
先日も産経新聞にこんな記事が出たばかりです。↓
単身女性32%が「貧困」 男性は25% 20~64歳、国立研究所分析
http://bit.ly/zvcoKI
「なんだ、たった7%差か」とも見えますが、
これが母子家庭になると、なんと貧困率は48%に跳ね上がります。
子どもが児童養護施設に送られてしまう理由は様々です。
けれどもやはり、経済的な要因がその中核となっているケースが多いと思います。
虐待や病気などは、親の貧困が原因となっていることが用意に想像できるからです。
母親が貧しいと、その子どもも貧しくなる。
悲しいくらいわかりやすい、貧困が再生産されるロジックです。
であれば、子どもの貧困解決の「ボーリングのセンターピン」は
女性の貧困を解決することだと、個人的に僕は思っています。
妊婦や子持ちになった女性が就労機会を奪われ、
所得が低下していくことが当たり前になっている日本社会。
これを打ち破らなければ、日本に明るい未来はありません。
「女性が真に力を発揮する社会」作りを目指すものとして(プロフィール参照)、
こうした問題に対する提起や政策提言を本コラムで行なっていけるよう
これからも自分の「2.4%」を捧げていきたいと思う次第です。
みなさんもぜひ、自分が捧げる「2.4%(1日30分!)」を見つけて下さい。
それでは、また次回。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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