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どうして地方議会では「俎上に載ったときには議論が終わってる」のか?

都議会の話

昨日から都議会定例会がスタートしました。

2015-1

38日間の会期で、以前にも紹介した弁当販売規制強化シェアハウス規制緩和など、
様々な議案を審議していくことになります。
さて、先日記事の中で

「地方議会では、議題が俎上に載ったときには議論が終わっている

と書いたところ、「どういうことですか?」という質問をいただいたので、
本日はその点について簡単に解説をしておきたいと思います。

まず前提として多くの地方議会では、
首長提出議案(執行部側からの提出議案)が否決されることがあまりありません
ときどき否決されたことがニュースになっていますが、ニュースになるくらい珍しかったりするのです。

例えば都内でも江戸川区なんかでは、
30年間で区長提出議案は一度たりとも否決・修正されたことがないそうです。
下記のような調査もあります。

「3ない議会」なんて、いらない 全地方議会を調査
http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2011021700014.html

>全国の地方議会のうち、首長が提出した議案をこの4年間で一本も修正や否決していない「丸のみ」議会は50%、議員提案の政策条例が一つもない「無提案」議会が91%、議員個人の議案への賛否を明らかにしない「非公開」議会が84%。朝日新聞の全国自治体議会アンケートで、こんなていたらくがはっきりした。いずれにも当てはまる「3ない議会」は全体の3分の1に及ぶ。

都議会でも知事提出議案が否決されたことはなく、
議事課に聞いたところ「ちょっと記憶では思い当たらない」レベルだそうです。
正確なところを調べてもらってますが、たぶんここ20年で一本もないんじゃないかと…。

このあたりが、多くの地方議会が単なる首長の追認機関、
形骸化されたお飾り議会と揶揄される理由になっています。

また、何度も指摘している通り委員会や一般質問の時間はごくごくわずかで、
もう提出された時には「結果が見えている」状態なわけですね。

もう一つ、すでに議論が終わっているのは、
すでに行政側が設置した審議会で入念な議論・お膳立てが行われているからです。

例えばこの弁当規制の話で言えば、東京都が設置した
食品安全審議会」というところで、実は1年以上に渡って審議が行われてきました
で、有識者の間ではもう結論がついて答申が出ているわけです。

弁当等に関する食品販売の規制の在り方について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2014/02/DATA/40o2h201.pdf

>行商販売時に採取した弁当の細菌検査(定量試験及び定性試験)の不適合率は 36.8%(35/95)であった。また、行商用弁当について、製造時と行商販売時とを比較すると、細菌数及び大腸菌群数(定量試験)の不適合率は12.6ポイント増加しており、このことは、行商行為における保冷効果の低い管理状況に由来するものと推測されたこと。
(「問題点の整理より抜粋」より一部抜粋)

このように、「路上販売のお弁当は細菌が繁殖していて危険!」ということは
データからもほぼ証明されていますし、これらを持って食の安全の観点から専門家たちが
「路上販売は規制すべし!」と結論づけているのだから、それを今さら蒸し返すまい…と。

もちろん、専門家を集めた審議会で議論が行われ、答申が出るのは良いことです。
素晴らしく良いことですが、それはあくまで議論のたたき台であるべきで、
議会でもう一度紛糾したっていいではないか
と思うわけでですね。

都民のことを決めるのは都民であって、
その都民の代表者の集まりである議会が決定権を持ちます。
審議会の言われるがままに従っていたら、それこそ存在意義の消失です。

今回の規制の件でいえば、おそらく半数以上の都民が
「安全のためなら仕方がない」と考えている・感じているとは思います。
しかしながら少なくとも私の肌感・調査では、2~3割以上の方は

「多少の安全性の低さは承知で安いお弁当を買いたい」
「安全という錦の御旗で、選択の自由を奪わないでほしい!」

と考えていると思いますし、
そういう声を代弁して議論する代表者が一定数必要なはずです。

こうした価値観で判断の別れる事例は100か0かということはありえず、
全会一致で議会が可決することがむしろ異常事態なのです。

「審議会ですでに結論が出ていることだから」
「決まったことには、一致結束して行動」

という古い慣習にとらわれることなく、
活発な議論に努めて少しでも議会を

「儀式のギから、議論のギ」

の場に戻していきたいと思います。
皆さまも、様々な立場からご意見をお寄せください。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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