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クオータ制導入で、女性と社会は躍進できるか?フランスの「パリテ」から考える

政策,

本日は党主催の

「女性候補者増加のためのクオータ制導入プロジェクト」

の早朝勉強会@永田町に参加してまいりました。
講師は東北大学大学院法学区研究科の糠塚康江教授です。

写真 1

クオータ(割り当て)制とは、議会や公的機関の委員会などにおいて、
男女間の格差を解消するため女性枠を機械的に「割り当て」て、
人数バランスの是正を図っていく制度です。

世界各国を見ると、クオータ制度には

・憲法または法律によって「議席割当」を定めているもの
・憲法または法律によって「議員候補者」に割り当てを定めているもの
・各政党が党規則等により、議員候補に自発的な割り当てを行っているもの

に区分されますが、なんらかの形で女性の議会進出に対して
ポジティブ・アクションを行っている国は80ヵ国以上にのぼります。

一方わが国では、こうした政策はこれまで一切存在せず、
女性の社会進出の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」で世界105位/136ヵ国
衆議院(下院)議員の女性比率で161位/188ヵ国という壊滅的な状況に陥っています。

写真 4
(下線引くところ間違えました…日本はフィリピンよりさらに下です)

このような状況の改善と、女性の社会(議会)進出の必要性は
誰しも認めるところでありながら、クオータ制については

・女性優先枠を設けることは、典型的な逆差別であり憲法違反
・そもそも男女に差異が存在するという「差異本質主義」は誤りである
・女性の人口は約50%なのに、25%や30%を目指すクオータ制は妥協の産物であり矛盾

などの批判もあり、慎重な議論が求められるところではあります。
が、ここで参考になるのはフランスなどクオータ制先進国の取組みです。

フランスでは、戦後議会において女性の議会進出が思うように進まず、
「人権の発祥地」を自負しているにも関わらず女性議員比率が低迷し、
欧州最低クラスにあえいでいました。

人権意識の高いフランス社会はこの事態に危機意識を抱き、
一念発起してクオータ制の導入を試みます。
しかし、これに対して1982年フランス憲法院は

「特定枠を優先規定することは、他方の立候補の自由を奪う人権侵害である(要約)」

として違憲判決を下します。
ここでフランス人たちが考え出したのが、
「パリテ民主主義」という概念です。

パリテとは英語でいうパリティ(Parity)=「等価、等価性の維持」を意味し、
クオータ(割り当て)からの発想の転換を目指すものです。

やや哲学チックで、小難しいのですが…

「女性議員増加を促すために、優先的に枠を当てていく」というクオータ発想ではなく、
「そもそも女性は50%という不変的パリテ(等価)を持っており、これに近づくのが当然である」
として、『決定における男女の平等な責任分担』を規定したのです。

外国語の直訳なのが混乱に拍車をかけると思うのですが、
とにもかくにもフランスはこの「パリテ民主主義」を実現するために、
1999年にはなんと憲法改正に踏み切ります

「法律は、選挙によって選出される議員職及び公職への男女の平等なアクセスを促進する」
「政党は、法律に定められた条件で、前条最終項で表明された原則の実施に貢献する」
(新3条5項、4条2項より)

こうしてクオータ制の導入に成功したフランスにおける、
女性議員の推移は以下の通りです。

写真 2

さらにフランスの凄いところは、これに留まりません。
なんと2008年に再び憲法改正を行い、「パリテ」を職業・社会分野にも拡大したのです。

私も自分の政策で「子育て支援をフランス流へ!」というのを掲げておりますが、
そのフランスが現在、世界でもっとも女性たちが生き生きと輝く国の一つであり、
出生率の回復に成功している稀有な国であることは敢然たる事実
です。

日本でもいま、安倍首相並びに政府が女性の活躍を掲げ、
各種の経済界に女性幹部職の数値目標などを要求するようですが、
自分たち(議員)にそれを課すという話は、現段階では聞こえてきません。

上述のフランスの例を見ても、
「先ず隗より始めよ」で政治がスタートです。

日本でも緩やかに女性議員の数は増えつつあるものの、
ポジティブアクションを導入している世界各国と比べて
そのスピードで圧倒的に劣ることは明白といえます。

写真 3
(日本は一番下のオレンジ点線)

もちろんフランスなどのクオータ制先進国でも、
法律に規定された割合を守らない政党が横行するなど、
多くの問題が未解決のまま残っています。

また69年間「不磨の大典」として憲法改正が行われていない日本では、
憲法や法律でクオータ制度を規定することは、事実上困難を極めるでしょう。
本日の講師である糠塚教授も、

「世界の例を見ても、政党の自主努力としてスタートするのがベスト」

と断言しておりました。
(憲法改正まで行ったフランスは、世界では少数派)

経済・ビジネス界における女性活躍が注目される今こそ、
政治の世界でもその存在に注目し、議論していかなければなりません。

我が党では引き続き、クオータ制導入に向けたプロジェクトチームで
勉強会と検討を重ねていきます。

クオータ制について、皆さまはいかがお考えでしょうか?
様々な意見をお寄せいただければ幸いです。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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