先週末と今日、MXテレビと日テレの担当者から
「おときたさん、北区議会が突然マスコミ一部NGになりました!何か知りませんか?」
「25日の斉藤区議の一般質問が撮れません…なんとかなりませんか?なんとかしてください!」
という切羽詰まったご連絡がありました。(なぜ私に…?)
議会関係者の何人かに話を聞いて情報を集めたところ、
結論からいうと北区議会の本会議場へのテレビカメラ入りがNGになり、
表向きの理由としては
「混雑が予想され、傍聴人に迷惑がかかる恐れがあるため」
ということのようです。
※日テレやNHKが中心となり、マスコミ連名で議会事務局には抗議書が出される模様
以前の記事で取り上げたように、ここまではマスコミ向けのプレス発表会を行ったり、
その後の本会議や委員会でも積極的に報道機関へ取材の門戸を開いていたのに、
突然の報道規制に私&報道各機関も驚きを隠せないところです。
なおこの決定は、一人会派は今期から参加ができなくなった(=斉藤区議は参加していない)
「幹事長会」という合議体で決定されており、公開の会議ではないため議事録もなく、
中でどのような話し合いが行われたのかは区民からまったく見えません。
■
私の立場はもはや中立なものとは言えませんが、
議会内容の取材・報道を制限することは極めて大きな問題であると感じます。
港区議会も、議長名で議員たちが取材を自由に受けることを制限する通達が出ていたことが
問題になりましたが、それに匹敵するかそれ以上の暴挙です。
いま地方議会で起こっている反動は、古い政治家たちの「断末魔の悲鳴」である
http://otokitashun.com/blog/daily/7514/
「混雑が予想されるため」という理由を真に受ける有権者が、どれほどいると言うのでしょうか。
情報をクローズにし、箱庭の中で議論をしていたい閉鎖的な村社会という印象を
より強めるだけであると思います。
当初は「北区のPRになる」とマスコミ公開に積極的だった各会派は、
なぜ今回の一般質問から反対に回ったのでしょうか。
幹事会は完全非公開のため、どの会派がどのような理由で
今回の措置を主導したのかはわかりません。
なのであくまで以下は私見になりますが、簡単にいえば
「これ以上、一人の議員を目立たせることはない」
ということなのでしょう。
議会のバリアフリー化で一躍北区議会は注目を集めて一段落し、
一般質問では主に斉藤区議個人の質問内容が焦点になることが予想されます。
議会や行政は、世論の流れに敏感にならざる得ない存在です。
仮にその内容が報道で注目を浴びれば、なんらかの対応をせざる得ません。
それは質問した議員の実績になり、一人だけが「美味しい」思いをすることになる…。
一人の議員だけがセンセーショナルに取り上げられることはいかがなものか、
という懸念はわからないわけではありませんが、報道内容を判断するのは有権者であって、
それが外部に出る機会を遮断する行為は適切とは思えません。
こうした対応を見るにつけ、「地方議会のネット中継、全面解禁!」なんて、
夢のまた夢だなあ…と脱力をせざる得ません。
■
世間から注目を浴びそうになると必至に抵抗する、
情報化・オープン化の流れに必至にあがらう政治の世界の姿は、
かつてIT化の並に抵抗した産業を見ているようで、時に滑稽です。
10年ほど前、私が勤務していたブランド・化粧品業界では
「売り場のPCをオンライン化して、ネット・メールを解禁するか否か」
ということが真剣に議論されていました。(いま考えると信じられませんが…)
新入社員だった私は、そんな当然のことが行われないこと自体に
そもそも大きな疑問を覚えるばかりでしたが、
「販売スタッフがネットサーフィンをやって仕事をサボる」
「売り場同士で、不適切なメールのやり取りが行われる可能性がある」
「どうせ年配のスタッフはプリントアウトするから、連絡はファックスですれば同じこと」
などの意見が多数を占め、一時期導入が見送られました。
が、当たり前ですがその3年ほど後には、すべての売り場のPCにメール・ネットが開通しました。
その期間中はリアルタイムなメール一斉送信がまったくできず、
紙のコストも加算されて丸損しただけの期間だったわけです。
(懸念していたこともほとんど発生しませんでした)
今の政界の閉鎖化はそれと同じことで、
いくら抵抗しても情報公開は世界の潮流です。
遅れれば遅れるほど時代に取り残され、信頼を失って損をするだけだと思います。
■
そんなわけで25日の斉藤区議の質問のシーンはこれまでと異なり、
テレビなどの映像で流れることは残念ながらなくなりそうですが、
質問の内容は彼女自身のHPなどでしっかりと発信されると思います。
我々のような議員がしっかりとネットで情報発信に務めることで、
ますます閉鎖化する議会に微力ながら風穴を空けていきたいと思います。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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