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トランスジェンダー「女性トイレ利用制限」最高裁判決、その理解と誤解について

日々のこと

こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

トランスジェンダー “女性用トイレの使用制限”違法 最高裁
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230711/k10014125111000.html

トランスジェンダーのトイレ利用について、最高裁による画期的な判決が出されました。センセーショナルな事例と話題ゆえ、

「LGBT理解増進法案のせいだ!」
「これでは女性トイレの安全が守られなくなってしまう!」

という声がすでに多く上がっており、この誤解を解くことも兼ねて今日のブログで取り上げたいと思います。

結論から言うと、判決の結語には以下のように示されています。

なお、本判決は、トイレを含め、不特定又は多数の人々の使用が想定されている公共施設の使用の在り方について触れるものではない。この問題は、機会を改めて議論されるべきである。」

あくまで本判決は今回の経産省職員およびその所属組織が行った判断に対してのもので、今回の結論がトランスジェンダーのトイレ利用全般に適用されるものではないということです。

今回の事例では、

・5年近くに渡ってすでに上告人(トランスジェンダー女性)は女性としての勤務を重ねてきた実態・実績があること
・その間に特段のトラブルはなかったこと
・その約5年の間に最初に決めた方針についてのなんら見直しが検討されなかったこと
・医師の診断などの客観的な根拠があったこと

等が丁寧に検証され、重視されています。

決して、突然現れた「生物学的には男性だけれども、性自認は女性のトランスジェンダー」を名乗る方が、職場の女性トイレを使えるようになる(使わせないと違法)という内容ではないことは、判決の中でも繰り返し述べられているところです。

その上で、丁寧に今回のケースにおける勤務実態や周囲の反応、所属組織の対応などを審議し、所属組織が当事者間の利害調整をすることを否定するものではないとしながらも、トランスジェンダー女性の

自らの性自認に基づいて社会生活を送る利益

を汲み取った判決は、多様性社会を目指す上で穏当かつ妥当なものであると私自身も感じています。

本判決は裁判官全員が補足意見を述べるという異例の結果です。その中でも、特に今崎幸彦裁判官の意見は、まさに今後の課題についての深い考察と悩みがにじみ出ています。

>こうした種々の課題について、よるべき指針や基準といったものが求められることになるが、職場の組織、規模、施設の構造その他職場を取りまく環境、職種、関係する職員の人数や人間関係、当該トランスジェンダーの職場での執務状況など事情は様々であり、一律の解決策になじむものではないであろう

>現時点では、トランスジェンダー本人の要望・意向と他の職員の意見・反応の双方をよく聴取した上で、職場の環境維持、安全管理の観点等から最適な解決策を探っていくという以外にない。

>今後この種の事例は社会の様々な場面で生起していくことが予想され、それにつれて頭を悩ませる職場や施設の管理者、人事担当者、経営者も増えていくものと思われる。既に民間企業の一部に事例があるようであるが、今後事案の更なる積み重ねを通じて、標準的な扱いや指針、基準が形作られていくことに期待したい。

>併せて、何よりこの種の問題は、多くの人々の理解抜きには落ち着きの良い解決は望めないのであり、社会全体で議論され、コンセンサスが形成されていくことが望まれる
判決文全文より抜粋、強調筆者)

まさに「頭を悩ませて」、理解を深めながら、今後も丁寧に社会全体で議論を重ねていくことが重要です。

私自身、国会でもこうしたトランスジェンダー事例を総合的・専門的に議論をして指針を定めるための組織体・会議体を官公庁や政府の中にまず設置することなどを提案してきました。

今後も性の多様性やそのあり方について、冷静かつ丁寧な議論をリードすべく研鑽を重ねていきます。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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