こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
いわゆるLGBT理解増進法案が、サミット前の法案提出・成立に向けて佳境に入っています。
まず前提として2年前に自民党内のゴタゴタで不成立となってしまった本法案については、維新は当時賛成の立場で協議に携わってきました。
同性婚に関するなんらかの法的措置を含め、性的マイノリティに関する立法が必要であるとの立場は今なお変わっていません。
一方で、「サミットがあるから」という理由で、このタイミングでLGBT理解増進法案を成立させることについては、非常に判断が難しい状態になっています。
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まず第一は何より、自民党が「与党案」として提出しようとしている法案内容では、大幅な書きぶりの修正・後退が見られることです。
LGBT法案 自公 差別に関する文言を変更した修正案 正式に了承
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230516/k10014068801000.html
上記の記事にもあるように、
「差別は許されない」
↓
「不当な差別はあってはならない」
という文言修正の他、「性自認」という表現が一律で「性同一性」に書き換わる等の内容です。その他にも大幅に伐採された表現ぶりなどがあり、「法的な意味は変わらない」とはいえ、
「変わらないなら、変える必要ないではないか」
「変更したことそれ事態が意味を持ってしまう」
という声が相次いでおり、ごもっともな指摘です。実定をもたない理念法であるがゆえ、この変更にはなんらかの影響が出ると考えるのは普通のことでしょう。
とりわけ2年前も議論になった「性同一性」の表現については、本法案を推進してきた当事者たちからも反発が強く、「この内容であれば成立しない方がマシ」という声が大きくなっています。
参考:
【LGBT新法めぐる議論】差別をなくす取り組みの広まりは歴史的な達成。今後の課題は?(2021年7月)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_60e7c538e4b015898510bab4?fbclid=IwAR16qSaDvswHM7mof7gMdKMb7EDY_dOsXgj7hYO3erA9_3M2RA3N0JGGWOE
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また、2年前に超党派で合意した元の理解増進法にも課題があります。
女性や子どもたち等のスペース・人権が侵害される懸念が日増しに強まっており、LGBT当事者の中からも法案に慎重な声が目立ってきています。
2年前にはまだそこまで顕在化していなかった、「自称女性 or 男性」による加害行為や、スポーツ界におけるトランスジェンダー選手の活躍など、以前にはまだif(仮定)の話だった懸念が、少数とはいえ発生しています。
もちろん「犯罪行為は別途の法律で取り締まるべきで、理解増進法とはまったくの別物。トイレや浴場の対応を望んでいる当事者はいない」「スポーツについては各規定で対応できるはずだし、すべきもの」というのはまったくの正論です。
正論ですが、この法律が実定をもたない理念法であるがゆえに、どこまで行政や司法に影響を及ぼすがむしろ不透明となっており、それらの懸念・要請にできる限り応えなければならないというのも、また立法者が背負う責務であるといえます。
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このままの状態で「大幅に修正(後退)した与党案」と原案が正面からぶつかると、数の理論から言えば成立するのは与党案です。
当事者たちからも「ない方がマシ」とまで言われてしまう法案を「一歩前進」として、期限を区切って成立させることが果たして望ましいのかどうか。深刻な分断を生み出すだけで終わってしまわないか。
諸々の懸念を払拭できるよう、2年前の理解増進法をアップデートする形で対応する道はないか…。
非常に悩ましい局面となっており、明日17日も党内では協議を続けていきます。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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