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岸田総理の「産休・育休中の学び直し」が大炎上。その価値観のズレと本当の問題点とは

日々のこと

こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

昨日の参院本会議にて、岸田総理が賃上げ政策の一環として「産休・育休期間中のリスキリング(学び直し)」を掲げたことが話題になっています。

賃金上昇に向け 産休・育休中の“学び直し”を「後押し」岸田総理
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000285148.html

確かに産休・育休期間中に資格などを取得する方もいらっしゃり、そうした努力は正当に評価されるべきで、この政策もすべてを否定するものではありません。

ただ、育児のハードさを考えれば大勢ができることではありませんし、賃上げ政策として現段階でこれを主張するのは、この政策を質疑した議員も、答弁内容を書いた官僚も、それを読んだ総理も全員が相当感覚がずれていると言わざるをえません。

まあ、乳児の子育てをしたことがあるとは普通なら思えませんよね…よほど手がかからない(朝まで爆睡してくれる)子どもだったとか…?

当然のごとく、子育て世代の当事者たちからは批判の声が一斉にあがっています。

私自身、この学び直し政策はむしろ

「産休・育休中にスキルアップしなかったから、昇進はなしね」

というマイナス方向に使われかねませんし、ただでさえ育児で精一杯で望まない人にまでリスキリングの同調圧力がかかるようになることを強く危惧します。

数人目の子育てで本人に余裕があったり、義両親や周囲のサポートが得られる人が選択的に利用する分には良いと思いますが、いずれにしても現時点では政策予算をつけるには優先順位が違うのではないかと思います。

そもそも産休・育休が取りづらい、取った人の賃金や待遇が上がりづらいのは、子どもを柔軟に預けて仕事に打ち込める環境の整備が不足しているのはもちろんのこと、

・年功序列型で、キャリアに穴が空くことがマイナスになる雇用慣習
・終身雇用が前提で、流動性に乏しい労働市場
・組織風土としての産休育休への無理解

などがまず解決しなければならない原因であって、それを放置したまま「学び直しで資格などを取れば賃上げできますよ」など言うのは、さらに歪みを強くする・当事者に負担を押し付けるだけです。

会社に生涯忠誠を尽くす男性社員がロールモデルになっており、長期離脱をすると昇進・昇給の機会が奪われ、転職の機会もまだまだ乏しい日本の労働市場に対して、その流動性を高める努力を政治はまず行うべきです。

出産をする女性の給与が上がらない典型例。

私が労働市場(雇用)の流動化に徹底的にこだわるのは、実はこれが女性(&男女問わず子育て現役世代)が活躍するための起爆剤だからでもあります。

状況に応じて(出産育児などで)仕事を仮にやめても、ジョブ型で契約内容によってはまたすぐ戻ってこれる労働市場であれば、出産育児がここまで不利になることはないはずです。

ただ「居ること」をメンバーシップとして、組織に残っていればある程度ポジションも給料も上がっていき、上がつかえていたら若手が採用できないという労働環境の方が異常なのであって、岸田総理はここにこそ本気で改革のメスを入れるべきではないでしょうか。

岸田総理が所信表明で述べた「日本型職務給」とはいかなる制度を志向しているのか、ますます早く全容が知りたいものです。

私自身も子育て真っ只中の当事者議員として、予算委員会などを通じてその改善点を指摘し、あるべき労働市場と働き方の在り方を提言してまいります。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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