こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
本日は参議院で「行政監視委員会」の質疑が行なわれました。この委員会は参議院にだけあるオリジナル委員会です。
衆議院のカーボンコピーと批判されてきた参議院を改革するための一策として、鳴り物入りで約15年前にスタートした委員会でしたが、最近は議論も低調化。
これに危機感を持った与野党が、もう一度行政監視をしっかりやろうということで合意し、本臨時国会で約1年半ぶりに質疑が行なわれることになったそうです。
…まあ背景に、「桜を見る会」のアレコレがあったような気はするんですが。。
「行政監視」という範囲は文字通り多岐にわたるものの、まさに行政手続きの瑕疵が問われている「桜を見る会」問題は、この委員会においては取り上げるにふさわしいテーマの一つと言えます(他の委員会で戦線拡大してやるより健全)。
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というわけで私も香港情勢について日本政府・外務省の対応について2問ほど質した後、桜を見る会問題の本質である「公文書管理」について取り上げました。
桜を見る会 即廃棄は「政治推薦」名簿だけ 各省は最低3年保存
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201911/CK2019112202000153.html
参加者名簿を即捨てた、しかも野党から資料要求が合った日に捨てたということが問題視されているわけですが、上記の記事にもある通り、公文書管理の運用が各省庁によってバラバラです。
そもそも(政府の指示によって)自分たちで作った資料を、自分たちが重要性を判断して捨てたり取っておいたりできる運用になっており、こうした公文書の恣意的な管理や廃棄ができるようになっていることは、極めて深刻な問題点です。
そこで、私からの提案は主に2つです。
・公文書の管理処分権限は、公文書館(第三者機関)を強化してそこに委ねるべき
・公文書はすべてデジタル化し、廃棄という概念をなくして永久保存するべき
我が国の公文書管理体制は、諸外国と比較しても著しく遅れを取っています。
まず貴重な公文書を保管しておく「公文書館」は、公文書の扱いを差配する権限がなく、単なる管理者・整理者という位置づけに甘んじています。
前述の通り、我が国では公文書の保存・廃棄を決めるのは各省庁ですが、アメリカやドイツ・イギリスなど各国では、公文書館がその処分権限を有しています。
だからこそ、時の権力者にとって不都合な情報も、(ある程度は)廃棄せずに保存することができるわけですね。
その存在軽視を具現化するかのように、日本の公文書館に配属されている人材はわずか188名(うち常勤はさらに61名だけ!)。
先進諸国は軒並み1,000人程度の人材を公文書館運営に当てているとされており、アメリカでは約3,500人、少ないとされる韓国ですら約350人が公文書館で業務に従事しています。
日本も公文書館の権限・人員体制をもっと強化し、各省庁に分散している公文書の処分権限を集中させ、不適切な廃棄を防ぐべきではないでしょうか。
公文書館であれば「アーキビスト」と呼ばれる、情報管理・保全のプロの力を集積することができます。
少なくとも、時の権力者の意向に左右されて行政文書の改ざん・廃棄を行ってしまう現在の各省庁に、公文書管理を任せられる能力がないことは火を見るより明らかです。
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加えてもっと根源的に重要なことは、公文書はデジタル化して永久保存を義務付けることです。
そもそもデジタル化のコストが極めて低くなった現在において、わざわざ公文書を期限を区切って捨てることは意味不明です。
ステレージのコストに至っては、この30年間で100万分の1になったと言われており、ほぼ無制限にデジタル文書を保存しておくことが可能になっています(分散化するなどのリスク管理は当然に必要ですが)。
デジタル文書の方が紙よりも改ざんは難しく、不安であればブロックチェーン技術などを使えばさらに安全に文書を保存することができます。
にもかかわらず、わが国の行政文書の電子化率はまだ約6%と、まったくやる気のカケラも感じられない状態が続いています。
毎年約0.5%ずつ伸びているという答弁でしたが、それじゃ100%になるのは何年後でしょうか…。
永久保存を行なわない政府側の言い分を平たく言えば、
「重要なものとそうでないものをごちゃまぜにして残してしまえば、管理も煩雑になるし、後で調べる時も大変な手間がかかる」
ということなんですが、この考え方がすでに紙の時代の発想ですよね。
デジタル・アーカイブであればある程度検索性がありますし、それこそアーキビストたちに重要度を判定して選り分け、区分ごとに保存してもらえばよいだけの話ではないでしょうか。
そして繰り返しになりますが、そもそも現在の各省庁に「何が重要で、何がそうでないか」を判別する能力はなく、それは第三者や後世の研究者に委ねられるべきであると思います。
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このようにデジタル化を徹底し、人員と権限を強化した公文書館でそれを適切に管理することは、物理的に可能であり誰にとってもプラスになることは明白です。
国会が「行政監視」を本気でするつもりなら、与野党議員ともに極めて有益な話でしょう。
これに抵抗・反対するというのはもはや、よく言ってサボタージュ、悪く言えば権力者による隠蔽行為を容認することではないでしょうか。
維新、公文書管理法改正案など提出 ブロックチェーンで改ざん防止:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37794700V11C18A1PP8000/
日本維新の会は2018年、すでにこうした提案内容を含む法改正案を議員立法で提出しています。
議員各位の賛同を求めるとともに、この「桜を見る会」で発覚した恣意的な公文書廃棄を契機に、政府にも抜本的な対応を強く要請して参ります。
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【オマケ】
隣で田村議員の質問をフムフムと聞いていただけなのに、袋叩きにされる私って凄く(可哀想じゃ)ないですか?!! pic.twitter.com/cchRmWks56
— 音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選出) (@otokita) November 25, 2019
人気者は辛いぜ!
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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