決算審議に追われる毎日ですが、
合間にいろいろな団体の方が陳情に来られます。
障害者支援団体、介護支援団体、子育て支援団体、
生活保護者支援団体、各種困窮者支援団体…
彼らの陳情内容は様々ですが、やはりインフラ施設が不十分であったり、
充分な人員がいなかったりと、最後は予算(財源)の問題に行き着きます。
東京都がいかに裕福な自治体とはいえ、その財源は有限。
すべての要望にお応えすることは残念ながら不可能です。
となると、必ず出てくるのが
「先生、オリンピック・パラリンピックに何千億円も
使うんだったら、困った人のためには使ってもらえないんですか?」
というご意見です。
類似でオリンピック・パラリンピック決定前から
「そんなお金があるなら、被災地復興に回せ」
という声も少なからずありました。
しかしながら…これは感覚的に言えば、
「日本は豊かで食料が余って捨ててるんだから、
それを困っているアフリカの人にあげればいいじゃん」
というのに近いものだと思います。
この場合はロジスティクスが最大の壁ですけど、
他にも様々な条件から難しいことはすぐにわかります。
社会には様々な人が生活していて、
それぞれの立場からその数だけの意見があります。
なんとかその中で多数のコンセンサス(合意)を取り、
予算・財源という形で配分していくのが政治の大きな役割です。
オリンピック・パラリンピックの場合、最終的には
都民の大多数(70%以上)の支持を確立したからこそ、
4000億円にも上る準備金の積み立てにも合意を取ることができました。
仮に、オリンピック・パラリンピックを行うことをやめて、
4000億円の予算が宙に浮いたとしましょう。
すると、何が起きるでしょうか?
「では早速、困っている障害者対応に…」
「いやいや、シングルマザーの補助が先でしょう!」
「何を言ってる、高齢者対策や老人ホームの整備が最重要だ」
「そんなことより、景気対策にお金を使って税収を伸ばしましょう!」
等など、それぞれの利害関係者が一斉に主張を始め、
結果としては「広く薄く」その予算が配分されることになり、
それぞれの現場で劇的な改善が起きることはまずないでしょう。
前述の陳情に来る団体さんのそれぞれの要望は
安全のためにスクールバスの添乗員を増やすことであったり、
学校に障害者対応のプールを併設することであったりと、当事者としては
「4000億円もあったら、即座に解決できるのに…!」
と感じてしまうのは仕方のないことかもしれません。
しかしながら、現実としてはそうはならないのです。
日本にも強力なリーダーシップを持つ為政者がいて、
「浮いた4000億円は全部、子育て支援に突っ込みます!」
なんて展開になれば面白いですけど、
日本の政治の現状は皆さまご承知の通りです。。
社会問題は多岐に渡りますが、「夢の力」を発揮する
オリンピック・パラリンピックもその解決策の1つです。
過去記事:
オリンピック・パラリンピックは、ニッポンに夢と何をもたらすか?
http://otokitashun.com/blog/daily/1546/
合意を得てまとまった予算が投資できるこの施策は、
これはこれで実施することが非常に合理的かつ効果的といえます。
「Aがなくなったから、その分Bしよう」
というシンプルな道を辿れないのが、
我々が選んだ民主主義というシステムの宿命なのかもしれません。
分厚い決算書と膨大な財源を前に、
「政治家の第一の役割とは、資源の再配分である」
という言葉を思い出す日々ですが、
最大の効果を発揮できるように尽力していきます。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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