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「これが賛成する条件だっ!」「断る!」「じゃあ、賛成でいいです」「えっ?」「えっ?」

日々のこと

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

本日の経済港湾委員会では森村都議がデビュー戦を飾り、地下水管理システムの機能強化について、その有効性をしっかりと確認して答弁を取りました。

その後は、補正予算案についての採決が行われまして、

賛成:都民ファ、公明、自民
反対:共産

の賛成多数で可決されたのですが、この時に不可解な展開がありました。

補正予算案の採決に先立って、自民党さんが「付帯決議」を出してきたのですね。いわゆる「条件付き賛成」の条件というわけです。

こちらは自民党以外の反対多数で否決されたのですが、上記の通り、その後に自民党さんは条件をつけようとした補正予算案にそのまま賛成しています。

これは論理的には矛盾しています。条件付き賛成を言い出してそれを拒否されたら、本案には反対するのが筋というものです。

もちろん、政治というのは様々な思惑で動くものですから、必ずしも付帯決議提出と原案否決がセットでなければいけないわけではありませんし、同じような前例は都議会でもいくつかあります。

しかしながら、付帯決議について過去の記録を調べていたら、興味深いものを見つけました。

平成17年の経済港湾委員会にて、時の民主党が

付帯決議の提出→否決→そのまま原案に賛成

という、今回とまったく同じことをやろうとした際の、山崎孝明都議(当時自民党都議)の発言です。

○山崎委員

(前略)もう一つは、理事会で協議したんでしょう、この付帯決議。民主党から出されるこの付帯決議を協議して、この会議順序によると、起立採決で賛成者民主、そして次に原案についての採決、賛成者自民、民主、公明。民主党が付帯決議を出して、付帯決議が否決される。もう順番で出ているわけだ。次には原案について賛成に回るわけだ。こういう運営を何のためにやるの、付帯決議を出すのですか、これ。全くわからないよ、こんなの。きちんとした説明もないしさ。

付帯決議をつけるというのは、法的な問題は別にして、一般的には条件つき賛成でしょう。条件つき賛成で、その条件が認められなければ反対だというのは、だれでも、普通の都民ならそう考えるじゃない。それが今度賛成なんだ、無条件賛成なんだ。そういう説明をしてもらわなければ納得できない。

委員会の運営について、そういった説明をきちんと委員長してもらいたいと思うのです。でなきゃ採決に入れない。

経済・港湾委員会速記録第十一号より抜粋、強調筆者)

この他にも、他の委員から付帯決議を出しておきながら、原案にも賛成する態度について厳しい指摘が続いています。

やはり、付帯決議を提出した以上、原案には反対するというのが議会のセオリーだと言えるでしょう。

知事には物申さなければ立つ瀬はない、さりとて豊洲市場への移転も推進しなければならない…

という立場の自民党からすれば、自分たちが守ってきたセオリーを破ってでも、最終的には賛成せざる得ないという苦しい台所事情だったのかもしれませんね。

今日の意見表明を聞くだけでは、自民党さんが本案に賛成する理由がイマイチわからなかったので、明日の本会議での討論も注意深く拝聴したいと思います。

ちなみに都議会自民党さんは、3月の本予算においても、組み替え動議を出しながら本案には賛成するという不可思議な行動を取っています。

【参考】
知事が作った予算案が気に食わない!そんなとき、議会に何ができるのか?

http://otokitashun.com/blog/togikai/14555/
知事に「やり直し!」と言いながら、知事提案には賛成する不可思議
http://otokitashun.com/blog/togikai/14568/

恐らく自民党さんも自己矛盾に気づきながら突き進んでいるわけで、こういう選択肢に追い込んでいく議会運営についても、玄人目線で見ると小池都政は興味深いものがあると思います。

議会の内部ルールは小難しくとっつきにくいと思いますが、せっかくの機会ですのでご注目いただければ幸いです。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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