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候補者が握手し続ける国と、投票日3日前に候補者を差し替える国

政治コラム

維新 石原氏「橋下氏と分党で一致」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140528/k10014799551000.html

ご案内の通り、2012年衆院選で旋風を巻き起こした日本維新の会が
結党から1年半を待たずして分党(分裂)する運びとなりました。

離党だろうが分党だろうが一般国民から見たら
果てしなくどうでもいいことだと思うのですが、
今回も双方かもしくは片方が新党を結成する展開になるでしょう。

なぜ他と合流ではなく新党結成かというと、年末のみんなの党分裂のときと同様、
維新の会にも「比例代表」で当選した議員が多くいるからです。
そもそも、代表の石原さんが東京ブロックの比例当選ですよねそういえば。。

比例代表で当選した議員は「政党名」で信託を得て当選していますから、
他の党に移籍することは法律上認められていないわけですが、

・無所属として活動する
・選挙の時にはなかった新党結成に加わる

ことに関しては法的な規制がないため、
こうした「脱法」とも言える行為がまかり通るわけですね。

比例代表議員による新党結成や無所属での活動については、

・当選した議員は政党ではなく、全国民の代表者だから
・当選時になかった争点が出てきた場合に対応する必要がある
・党が分裂した場合、どちらからが議席総取りになるのは民意の反映ではない

などの理由から擁護する学者さんもいらっしゃいます。
ですが、私はこの意見には否定的な立場です。比例代表で当選した議員が
離党する場合は、議員辞職するのが筋だと考えています。

この理由を詳細に書いていくとマジで論文が一冊書けてしまうんですけど(苦笑)、
本日は一つに絞って書くと、日本はもう少し政党政治がきちんと
機能するようになるべき
だと考えるからです。

「日本の選挙にはカネがかかる」

と言われておりますが、世界を見渡すと選挙でこれほど
お金がかかっている主要国は、日本・韓国・アメリカの3つです。
そしてこの3ケ国の特徴は、選挙が個人重視になっている点です。

これらの国では、とにかく町中に候補個人のポスターがあふれて、
選挙カーから候補者名が連呼されるなんてスタイルで選挙が行われます。
必然、「どれだけお金を使ったか」の勝負にもなります。

無尽蔵にお金がかからないようなルールを作るために、長年の蓄積によって
日本には「べからず集」とも呼ばれる複雑な公職選挙法が出来上がったわけですが、
こんな状態は世界で見れば圧倒的にマイノリティです。

ではこの3ケ国を除くその他の国を見ると、ぜんぜん選挙のやり方が違います。
選挙カーも選挙ポスターもあまり見かけません。誰もやらないので、
当然それに対する規制もありません。国よってはそもそも

「選挙期間」

なんてものが定められていない場合もあります(!)。
なぜ、ここまで違いが生まれるのでしょう??

それはなぜなら欧州を中心とする各国の選挙は、
完全に「政党ベース」で行われるからです。

投票日の3日前に候補者を差し替える、なんてことも起こったりしますが、
選挙結果に影響はほとんどないと言われています。これは有権者が
候補者個人ではなく、政党で投票先を決めているからです。

「とにかく顔を売って、有権者と握手することが大事!」

なんて日本の選挙とは、天と地ほどの隔たりがあるのですね…。

もちろん、こうした政党政治にも欠点はあります。
政党の比例名簿の順位付けや候補者選びには直接民意が反映されませんから、
日本で言えば鳩山由紀夫や菅直人を永遠に落選させられなくなったりします

それでもなお、個人重視の不毛な消耗戦に終始し、
既得権との癒着も招きやすい日本の政治は政党政治へと
脱皮する必要があると、政治の世界に入ってからますます強く感じています。

話を冒頭に戻して、私が比例代表議員の移籍に反対する理由は、その行動が
政党への信頼感を失墜させ、政党政治への道を遠のかせるからに他なりません。
こうしたことがまかり通れば、

「やっぱり、政党や政策よりも人柄だよね」
「政党や政策に関係なく、〇〇さんを応援する!」

という『日本人的な美徳や選択基準』が、
今後もますます強くなっていくことが予想されます。
(そういわれるのは、とても嬉しいことではありますけどね)

「選挙から選挙の間の4年間くらい、きちんとまとまっておけよ!」

というのが圧倒的多数の普通の人の感覚でしょうし、
離党や解党の場合、比例代表議員は必ず議員失職することになれば、
皆さんもう少し真面目に政党の維持に努めるんじゃないでしょうか。。

とにかく、色々な理由をつけても結局は次の選挙のために
政党ロンダリングをしていくような議員が実際にいるのも事実。

以上の主な理由により、私は自党が掲げる比例議員の移籍禁止の
法制化については支持するものでありますし、自分自身も政党政治への
信頼を失墜させないよう、今後も行動していきたいと思います。

おお、やっぱり長くなりました…2000文字。。
それでは、また次回。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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