若者の年金離れが進んでいます。
国民年金の納付率は6割程度になり、
若者(20代)の半分以上は年金を払っていないという
衝撃的なデータも算出されています。
…なんて書くとニュースの中の出来事なんですが、
僕のごく身近にも少なからず未納者がいたという(!)
衝撃の事実が発覚したので、今日は年金についてなんか書きたいと思います。
◆そもそも「年金」とは何か?◆
年金年金というけど、これって一体なんじゃらほい?
「お年寄りになるともらえるもの」
「そのために、若いうちから年金を納めなきゃいけない」
ということはもちろん誰もがご存知かと思いますが、
その本質は以外と理解されていないのではないでしょうか。
「年金」とは、端的に言えば「長生き保険」なのです。
「老後にお金なんかもらえなくても、自分の面倒くらい自分で見たいよ」
「貯金をしっかりしておけば大丈夫でしょ?」
という考えの方は少なくないと思います。
が、かなり年収が高くしっかりと老後に向けて貯蓄ができた人も
うっかり(?!)120歳まで生きてしまったら、どうなるでしょう?
どれだけ貯蓄をしていても、生活を切り詰めたとしても、
引退してから60年分の生活費を蓄えておくことはほぼ不可能です。
120歳は言い過ぎでも、100歳でもほとんど無理でしょう。
この「万が一、自分の想定よりはるかに長生きしてしまった」時のため
『保険』として保険料を払っておき、死ぬまで毎年定額がもらえるというのが
「年金」の本質です。
考え方は、自動車保険や生命保険とまったく一緒です。
みんな保険料を払いますが、病気や事故と無縁の人もいます。
そうした人たちからも集めて運用してある保険料で、
病気や事故になってしまった人たちの金銭を工面する。
年金なら、60歳でなくなる人も80歳でなくなる人もいます。
60歳でなくなった人は年金は一切もらえませんが、そうした原資で
「長生きしてしまった人」を支える。これが年金の「正体」なのですね。
じゃあなんで、「世代間の不公平」が生まれているのでしょう??
自動車保険や生命保険で、世代によって有利不利が生じるなんて話しは
聞いたことがないですよね。
この原因は多岐に渡りまして、
・年金が積立方式ではなく、現在の若者からの保険料で
高齢者を支える「賦課方式」になし崩し的に移行したこと
・少子高齢化が予想をはるかに上回るスピードで進行していること
・高度経済成長期に、政治家が調子に乗って支給額を上げまくったこと
などなど、これだけで本が一冊書けてしまいます…。
ので、とりあえず
「今の年金は、若者世代に著しく不利!」
ということを結論&前提とした上で、話しを進めます。
–
それでもなお僕は、若者も年金はきっちり納めるべきだと考えます。
(ちなみに未納という選択ができるのは「国民年金」対象者のフリーターや自営業者で、
サラリーマンは強制的にお給料から引かれてます。ご安心(?)を!)
まず第一に、前述のように年金は「長生き保険」だからです。
年金を払わない理由としては主に
「どうせ年金は破綻して、もらえない」
「自分で老後のために貯蓄しておけばオーケー」
「いざとなれば、生活保護に頼ればいい」
などが挙げられます。
しかし、この理屈はどれも破綻しています。
先程も述べた通り、予想外に長生きする事態に対して
貯蓄でなんとかするということは困難を極めます。
また、「生活保護に頼ればいい」というのもおかしな話しです。
年金とは、社会保障の最も大きな柱です。年金が破綻するようなことになれば、
それは「=国家の破綻」であり、その時には当然生活保護など機能していません。
「民間の年金保険に加入する」というのは一つの選択肢としてありますが、
運用利回りはかなり悪く、また保険会社が数十年後まで存続するかなど
誰にも測り知ることはできません。
単純に、現時点で年金を納めないことは
「分の悪い賭け」であると言えます。
第二は、年金の社会的・道徳的意義です。
年金とは、「働けなくなったお年寄りを社会で支える」という
古今東西どんな国・社会でも逃れられない役割を一身に背負う制度です。
日本で公的年金がスタートしたのは1942年ですが、
それまでの日本社会はどのようにお年寄りを支えていたのでしょう。
そう、基本的に親と同居をし、老後の面倒は家族でみていたのです。
しかしながら、産業構造の変化で都市化・核家族化が進み、
親と最後まで同居して老後の面倒を見ることは困難になります。
同居しなくても、金銭面でバックアップできればいいかもしれません。
年配の方を一人支えるのにも、医療費や生活費で年間100~200万程度はかかります。
ですが現在、子どもから老後の親への仕送り平均額は年間15万円程度だそうです。
つまり年金とは、
「もう家族で老後の面倒を見るのは限界だ。国がなんとかしてくれ!」
という、我々国民からの社会的要請で誕生した側面が否定できないのです。
現状、いくら不公平が生じているとはいえ、現役世代の納める年金で
たくさんの年配の方々の生活が支えられているのは事実です。
確信犯的に年金を未納しているとすれば、それは
「老人は全員、姥捨て山に捨てればいい」
と思っているのと同義であるとも言えます。
そして最後の理由は、
年金を納めるのは法律で義務付けられているからです。
身も蓋もない話しですが、不公正や負担を理由に未納を正当化するのは、
選挙に行かずデモに参加をして文句を言うのと同じことではないでしょうか。
現状に異議があるなら、まず制度の中での改革を訴えかけるのが筋であり、
いくら自分たちに不利だからといってボイコットしていいものでは決して無いのです。
–
以上から鑑みると、仮に未納をして許される人がいるとすれば
(まあ、いないんですけど)
・自分で老後に備えて蓄え、また民間の年金保険にも加入している
・少なくとも身近な老人(両親や親族)の面倒は、
金銭的な負担も含めて死ぬまで自分が見るという覚悟がある
方に限られると思います。
が、大半の未納者の方々はそこまで考えていないでしょうし、
年金制度の破綻を本気で信じているか、目先の金銭欲しさに
年金を払っていないのが現実でしょう。
※なお、金銭的な事情で年金が納められない方は
当然のことながら免除や減額などの措置も充実しておりますので、
ほったらかしに(未納状態に)せず、まずはお近くの年金窓口に相談してみましょう!
もちろん、現行の若者世代に不利な年金制度が
そのままでいいなどとは、僕も思っていません。
改革の手段としては、
・支給額を徐々にカットし、上の世代にも負担していただく
・世代間の不利が生じない、積立制度に全面的に移行する
・公的年金は廃止、民間の保険に加入を義務づける(自動車の自賠責保険と一緒)
などの選択肢が考えられます。
最近では、大阪維新の会が「年金掛け捨て制度」を提案していますね。
いずれにせよ、年金の社会的意義をしっかりと理解し、
決められたルールの中で改革に取り組むことが重要だと、僕は思います。
長くなりましたが、われわれ若者世代も
「まだ関係ないな」
「知らなかった!」
では済まされない年金制度。
少しでも皆さまの興味を引き、知識となれば幸いです。
そしてお年寄りを支える制度が健全なものとなり、
自分たちが歳を重ねても安心して暮らしていける国を作るため、
参政権を駆使してしっかりと政治に働きかけていきましょう!
それでは、また次回。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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