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菅直人っていつまで総理大臣やってるの?

政治コラム

菅直人総理が事実上の「退任宣言」をしてから、はや一ヶ月が経過しようとしています。

しかしながら、現実は皆さまご存知の通り菅総理は一向にその座を譲る気配もなく、昨日の記者会見では第2次補正予算と再生可能エネルギー特別措置法、公債特例法が「ひとつのめどになると考えている」と述べ、退陣は3法案の可決、成立が前提との考えを示すに到りました。

さて、唐突ですが問題です。意外と日本人の多くが答えられない質問。

「日本の内閣総理大臣の『任期』は何年でしょう?」

アメリカでは、4年に一度必ず大統領選挙が行われていますよね。日本は直接選挙ではないのでそういったわかりやすいイベントはありませんが、じゃあ総理の任期ってどれくらいなんでしょうか?答えは…

任期はナイ

そう、日本の内閣総理大臣には、任期がありません。

「でも、今までコロコロ変わっていたじゃん?」

その通りです。つまり、日本の総理大臣は「任期がない」がゆえに、政府内で求心力を失うと引き摺り下ろされてしまう、というのがこれまでの「慣習」だったのですね。

なお、若者世代が物心ついたころには総理がコロコロ変わっていましたが、それ以前の総理大臣は「総理の任期=自民党総裁の任期」というこれまた「暗黙の任期」で総理を務めていました。いわゆる55年体制の元では常に与党は自民党であり、その総裁が総理大臣になることが自明であり、その総裁の任期(3年)が総理として事実上の任期になっていたわけです。

さて、そんな事実と、今回の菅総理の粘り腰からわかることはなんでしょう?
それは、

内閣不信任案さえ否決されれば、制度上内閣総理大臣は半永久的に続けられる

ということです(選挙に落ちたり、死亡したらもちろんそれまでですが)。今まで我々は失言や失策で支持を失い、世論や国会であっさりとその座から引き摺り下ろされる総理大臣ばかりを目にしてきたがゆえ、「日本の総理は権限が弱すぎる」「もっと強いリーダーシップが必要だ!」と考えがちですが、今の菅総理を見るとわかります。そう、実は日本の総理大臣は制度上、けっこう大きな権限を持っているのです。内閣の組閣(人事権)を一手に握っていますから、民主党の執行部すらガン無視で内閣改造まで行えてしまう。

菅総理の「前例のない行為」は、我々に新しい事実と、大きな課題をつきつけています。

新しい事実。上記のように、内閣総理大臣はけっこう強い権限を持っており、手段を問わず(ペテンに近いやり方でも!)不信任案さえ否決すれば、いつまでもその地位に残り、権力を振るえるということ。我々がこれまで思っていた「事実」は、所詮「慣習」に過ぎなかったのです。

そこから発生する、大きな課題。「議員内閣制は、このままで良いのか」。こうして地位にしがみついている菅総理が、世論の支持を得ているでしょうか。国会はもちろん、与党、しかも民主党内執行部からすらも見放されているのが現実です。今まで良くも悪くも、内閣支持率が落ちると求心力が低下し、総理はその座から引き釣り下ろされるという「慣習」が機能していました。そしてそれを、国民は事実のように思っていた。でも、違いました。世論は首相を選べないのです。菅総理の粘り腰が、それを証明しつつあります(彼の気骨は買ったとしても、いくら世論が反原発に傾いているとはいえ、国民の幅広い支持を取り戻すことは不可能でしょう)。

こうした横暴がまかり通る「議院内閣制」の弱点が、またひとつ顕になった以上、いよいよ国民は「首相公選制」を真剣に議論・導入する段階に着ていると感じます。首相公選制の話しは、近いうちに!

それにしても、菅総理はいつまで粘るのか…。正直、政治を勉強している僕にも見通しがつきません。夏に「原発」を争点とした衆議院解散まで、本気でありうるのか…注意深く見守っていきたいと思います。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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