平成20年度:3,229件
平成21年度:3,339件
平成22年度:4,450件
平成23年度:4,559件
平成24年度:4,788件
これは、東京都における児童虐待の相談件数の推移です。
ご覧のとおり右肩上がりに増え続け、この件数は
全国でもワースト2位の数値となっています。
とかく「子育て支援」というと待機児童や保育所問題ばかりが注目されますが、
実はこの「児童虐待」をどのように防ぐか、どう対応するのかも
子育てにおける非常に重要なテーマなのです。
児童虐待問題を取り扱うのは「児童相談所」ですが(ドラマでも話題になりましたね)、
これを管轄しているのは広域自治体である都道府県です。
ですが、増え続ける児童虐待件数に比して、膨大な人口を抱える東京都には
わずか12箇所にしか児童相談所がありません。23区ですと、たったの8箇所です。
一方、基礎自治体には「子ども家庭支援センター」がありまして、虐待の疑いについて
一次対応を行うのですが、その権限は限られています。児童相談所と子ども家庭支援センターの
連携が悪いと、行政の対応から抜け落ちてしまう被虐待児が発生するのです。
■
児童相談所は児童が劣悪な環境に置かれていたり、人権や生命の
危急がある場合に、所長が必要と認める行政処分を行うことができます。
具体的には、
・家庭裁判所と連携しての施設入所措置や里親宅への委託
などです。しかしながら、基礎自治体が設置している
子ども家庭支援センターは単なる相談機関であり、
その対応に行政的な執行力・強制力はありません。
増え続ける児童虐待の件数と、複雑化する事態に対応するため、
主に23区の特別区区長会から
「児童相談所の権限を、東京都から23区に移管して欲しい」
という強い要望が出ています。
一方で、昨年行われた「第一回東京都子供・子育て会議」でも
委員の方から
「東京都は児童相談所機能を特別区に移管し、
より大規模かつ網羅的な虐待対応体制を整備するべきである」
との意見書が提出されました。
この委員さん、お馴染みの駒崎弘樹さんですけど^^
こうした背景から、昨年度の決算特別委員会で私が、
また年末の第4回定例会でも上田議員が、本件については
権限を速やかに移管すべきとの立場から質問を行っています。
そこでも回答をもらっておきながら、今回また敢えて取り上げた理由は
舛添知事は特別区区長たちの多くから選挙応援を受けており、
その区長たちが改めて児童相談所機能の移管を求めているからです。
■
知事も交代し、従来の見解に変化があるのか、
区長要望を前向きに受け取るつもりがあるのか、
確認するためにも改めて質問を行いました。結果は…
現在の特別区は、人口約5万人の区から80万人を超える区までさまざまである
(≒一概に機能を単純移管することは極めて困難)
2.
仮に全ての区へ移管するとなれば、それぞれの区で一時保護所の整備や、
児童福祉司を初め、豊富な経験を積んだ専門人材の確保、育成等が必要となる
3.
都内外の児童養護施設等への入所調整には、新たに特別区相互、
都と特別区との間で連携協力が必要となるなど、多くの課題が残る
ということで、旧来からの見解に変化は見られませんでした…
チーン。。
3番について補足すると、現在は深刻な児童虐待が発覚した場合、なるべく
被害発生現場から遠くの児童相談所で被虐待児を保護することが多いそうです。
仮に各区に児童相談所ができて、パッケージでそこで対応しようとすると、
自分の子供を取り返しに来た親とトラブルになったりするし、同じ権限を持つ
区同士が調整して被虐待児を預かることは難しいのではないか…というのが東京都の意見なわけで。
うーん、もちろんすべての理論に一理はありますが、
権限を手放したくない、区の能力を過小評価している面もある気がします。
いずれにせよ、権限を委譲することになれば「財源」の問題が出てくるのですが、
まだ議論がそこにすらたどり着いておりません。舛添知事率いる執行機関には、
特別区区長たちからの強い要望を踏まえた再度の検討を働きかけたいと思います。
それでは、また次回。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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