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平成25年11月1日 各会計決算特別委員会 質問内容(福祉保健局)

委員会

〇おときた委員 私からは、大きく二点、まずは少子社会対策費の中から、病児保育関連についてお伺いをいたします。
 喫緊の課題である待機児童問題ですが、特に病児保育に関しては、ニーズの高まりに対して、まだまだ受け入れ体制が整っておらず、全国的にも、病児を受け入れ可能な施設は、平成二十四年度時点で千百カ所程度にとどまっています。さきに鈴木委員からの質問への答弁で、東京都の病児保育施設は、目標に対しては順調に推移しているということではございましたが、それでもまだ百四十施設であり、病児保育のさらなる充実のためには、不断の努力が欠かせません。
 東京都が独自に行っているアクションプログラム事業の中に、病児保育に関連するものがあるかと思いますが、では、平成二十四年度に実施された事業について、具体的に教えてください。

〇浜少子社会対策部長 都は独自に、病児保育施設を中核に施設職員の派遣や看護師の巡回を組み合わせてネットワークを構築する病児・病後児保育ネットワーク事業や、病児、病後児保育施設から保育所等に対して病児ケアの情報提供、相談支援を行う病児・病後児ケア相談支援事業を実施しております。さらに、平成二十四年度から三カ年のモデル事業として、保護者が送り迎えしやすい駅前で病児保育施設の整備が進むよう、建物賃借料の補助や保育所職員が駅前の病児保育施設に児童を送迎する場合等に補助を行う駅前型病児保育事業を開始しております。

〇おときた委員 ご答弁いただきまして、病児保育拡充のために都がさまざまな施策を試みていることがわかりました。
 それでは、それぞれの事業について、平成二十四年度の予算執行率及び実績についても教えてください。

〇浜少子社会対策部長 病児・病後児保育ネットワーク事業は二区二カ所、病児・病後児ケア相談支援事業は五区市九カ所で実施しております。駅前型病児保育事業につきましては、現在実施している区市町村はございません。
 なお、病児・病後児保育ネットワーク事業と病児・病後児ケア相談支援事業でございますが、これらは、ほかの事業とともに包括補助事業で実施しております。包括補助事業は、各区市町村が地域の実情に応じて主体的に実施する事業を支援するものでございまして、個々の事業ごとに予算額を定めて、執行率を算出するものではございません。

〇おときた委員 ご答弁の中で、包括補助事業なので個別の執行率は算出していないとのことでしたが、やはりそれぞれ異なる事業においておのおのの執行率が見られないと、事後的に行政効果を評価することが難しくなりますので、ここは少し気になるところです。今後は、検証しやすいような予算編成がなされるように要望しておきます。
 さて、病児保育支援事業に話を戻しますと、それぞれに特色のあるすばらしい取り組みだと思いますが、実施状況を見ますと、残念ながら現段階では十分に活用されていない面も感じます。特に、モデル事業でもあります駅前型病児保育事業は、まだ実施に至っていないということで、この理由について見解をお伺いいたします。

〇浜少子社会対策部長 駅前型病児保育事業は、保育所職員が病児保育施設に病児の送迎を行うものであるため、保育所職員に病状が急変した際の対応が求められることや、送迎に要する時間は保育所職員が一人減となることなどが、実施に向けての課題と聞いております。

〇おときた委員 新しい事業に困難はつきものですので、新たな施策に挑戦していることは高く評価したいと思います。送迎における課題を認識されているとのことですので、より使いやすい制度に向けて、市区町村や現場とも協議を重ねて、より一層制度や利用状況が改善されていくことを期待いたします。
 一方で、事業者側ではなく、利用者側を助成するという考えがあります。先日行われました第一回東京都子供・子育て会議でも、委員の方より、従来型の施設での対応では、特に病児保育についての拡充は望めない、渋谷区や足立区が先駆的に行っている利用者補助の仕組みを東京都が全国に先駆けて行うべきであるとの意見書が提出されました。
 立地に依存する施設型ではなく、今後は訪問型の取り組みも支援していく必要があり、利用者助成は、そのために有効な手だての一つです。病児保育の関連事業の予算が完全には使用されていない中で、確実に利用される仕組みとして一考に値するかと思いますが、今後の病児保育の拡充に向けての展望も含めて、見解をお伺いいたします。

〇浜少子社会対策部長 病児保育は、保育と看護双方の専門知識と技術が求められることから、都は、施設や職員配置の基準を遵守した事業者に対して運営費を補助することで、安心・安全の確保と利用者の負担軽減を図っております。
 この補助は、施設型だけでなく、平成二十三年度からは区市町村が定めた研修を修了した看護師、保育士等が児童の自宅で実施する非施設型も対象としております。今後とも、区市町村に対し、地域の実情にあわせて病児・病後児保育事業を拡充していくよう働きかけを行ってまいります。
 なお、保育サービスにおける個人への利用費助成につきましては、在宅で子育てをしている一つの受益と負担の公平という観点も含めまして、現在の施設に対する補助、児童手当制度との調整、低所得者に配慮した利用方法などについて、多くの課題があると認識しております。

〇おときた委員 ご答弁いただきまして、確かに保育の質の問題等、課題が多いことも確かです。特に、病児保育という繊細な分野に関しては、慎重な対応を要することは理解ができます。しかしながら、高まるニーズや昨今の民間保育の質の向上も鑑みて、継続的な制度の見直しは不可欠です。
 また、特に現状では全く実績がない非施設型、訪問型の補助についても、今後は東京都がリーダーシップをとって先進的に広げていく努力が望まれます。今後も市区町村や現場の声を反映した利用されやすい制度設計、利用者補助も含めたあらゆる選択肢を検討し、病児保育の充実のためにご尽力いただければと思います。
 次に、児童相談所費の中から、児童相談、特に虐待相談対応についてお伺いいたします。
 東京都における虐待相談の件数は右肩上がりにふえ続けており、その相談件数は、全国でも一、二を争うといわれています。まず、この虐待相談件数の直近五年間の推移を教えてください。

〇浜少子社会対策部長 都内十一カ所の児童相談所が虐待の疑いで相談を受理して対応した件数は、平成二十年度が三千二百二十九件、二十一年度が三千三百三十九件、二十二年度が四千四百五十件、二十三年度が四千五百五十九件、二十四年度が四千七百八十八件となっております。

〇おときた委員 直近だけでも、千件単位で相談件数が激増していることがわかります。こうなると心配されるのが、これに対応する人員の体制ですが、平成二十四年度はどのような人員体制の見直しが行われたのかをお伺いいたします。

〇浜少子社会対策部長 平成二十四年度は、児童心理司の定数を十一名増員し六十五名としたほか、警察官のOBである虐待対応強化専門員や、保健師の資格を有する医療連携専門員を新たに配置するなど、児童相談所の体制強化を図りました。

〇おときた委員 厳しい状況をしっかりと認識されて対応していることがわかります。
 それでも、ふえ続け深刻化する問題に対しては十分ではないとの指摘もあります。児童の虐待は、子供、子育てにかかわる部分でもありますから、さきに行われました第一回東京都子供・子育て会議でも、委員から、東京都は児童相談所機能を特別区に移管し、より大規模かつ網羅的な虐待対応体制を整備するべきであるとの意見が提出され、また、特別区の側からもそのような要請があった歴史的な経緯もあります。こうした意見に対する現時点での見解と、児童相談所機能を東京都が所管する意義についてお伺いいたします。

〇浜少子社会対策部長 児童相談所は、虐待を初め非行や障害相談など、ゼロ歳から十八歳までの児童に関するあらゆる相談に対応しております。相談を受けた後は、一時保護や施設入所、里親委託等の法的対応を初め、虐待で傷つき情緒的な問題を抱えた子供たちへのケア、親子関係を修復し家庭へ復帰させる取り組みなど、専門性を発揮しながら広域的で一貫した対応を行っております。
 一方、区市町村は、児童家庭相談の第一義的な窓口として相談支援や訪問、在宅サービスの提供、地域の関係機関のネットワーク構築など、身近な地域での支援の役割を担っております。
 現在の特別区は、人口五万人の区から八十万人の区までさまざまでございますが、仮に全ての区へ児童相談所機能を移管するとなれば、各区に一時保護所を整備するとともに、児童福祉司や児童心理司を初め、保健師、医師、弁護士といった専門人材をそれぞれの区で確保、育成する必要がございます。また、重篤な児童虐待など緊急を要する困難事例にも対処できるよう相談対応力の強化が必要であり、さらに児童養護施設や児童自立支援施設等の入所調整など、新たに特別区相互、あるいは都と特別区との間で連携協力が必要となるなど、多くの課題があると認識しております。

〇おときた委員 ご答弁いただきまして、広域的な対応等、広域自治体である東京都が請け負うべき側面と、そしてさまざまな課題をご認識されていることがわかりました。
 しかし、そうなりますと心配になるのが基礎自治体との連携です。区市町村と児童相談所が役割分担をして対応するに当たり、両者の連携が不可欠であると考えますが、その対応についてお伺いいたします。

〇浜少子社会対策部長 都では、区市町村の子供家庭支援センターが虐待ケースの援助方針の検討や関係機関の情報共有、調整機能を適切に果たすことができるよう、虐待対策コーディネーターを配置した区市町村への支援を平成二十三年度から行っております。さらに、児童相談所と区市町村が児童虐待等に適切に対応するために、円滑な連絡調整のルールを定めており、平成十九年度より運用をしております。
 なお、平成二十五年度は、児童相談所と子供家庭支援センターが今後より一層緊密な連携、共同を図り、双方の対応力を高めることができるよう共有のガイドラインを策定するため、都と区市町村で検討を進めているところでございます。

〇おときた委員 平成二十五年度からは、共通のガイドラインの作成にまさに取り組んでいるとのことで、具体的な動きが出ていることを評価したいと思います。
 しかしながら、こういった対応体制の改善に終わりはありません。今後も増加が予想される虐待相談対応に万全の体制がとれるよう、特別区への機能移管などのあらゆる選択肢を排除しない継続的な改善の検討を続けられることを期待いたします。
 最後に、さきの質問に関連しまして、養子縁組の取り組みについてお伺いいたします。
 望まない妊娠による出産で養育できないなど保護者の意向が明確な場合には、特別養子縁組を前提とした里親委託の方法がございます。望まぬ環境下での子育てが続くと、さきの児童虐待につながるケースもあります。東京都では、平成二十四年度どのような取り組みをされたのか、実施の件数とあわせて教えてください。

〇廣瀬事業推進担当部長 平成二十四年度からは、全ての児童相談所で里親に対する専門的知識や子育て相談業務の経験を有する民間団体を活用し、専門的な助言による心理的負担の軽減を図る取り組みなど、里親に対する支援を一層推進してきました。
 また、里親が安心して子供を迎えられるよう、乳幼児期の心身の特性や、実際に養子縁組をした人からの実体験に基づく子供との接し方など、養育に関する知識や技術を習得するための研修を実施しております。
 一方、養子縁組里親の登録家庭数ですが、平成二十四年度は百七十八家庭となっており、平成二十年度の百三十五家庭から四十三家庭の増加となっております。養子縁組里親に委託された児童数につきましては、二十人から三十人で推移しているところでございます。

〇おときた委員 東京都としてもさまざまな取り組みを行い、また登録件数も増加傾向にあることがわかりました。
 しかしながら、こちらもさきに行われた東京都子供・子育て会議の中で、委員からは、特別養子縁組について、人員不足から東京都の対応が後手に回っているのではないかとの指摘もありました。この点につきましての見解と、今後の制度運用についての展望をお伺いいたします。

〇廣瀬事業推進担当部長 養育が困難などの理由で特別養子縁組を希望する相談があった場合、児童福祉司や児童心理司が面接や家庭訪問などを通じて、実親の意思確認や養育力、環境などをきめ細かく確認した上で、乳児院入所や養育家庭委託などさまざまな援助内容から、特別養子縁組の必要性を判断しているところでございます。
 調査の結果、特別養子縁組が適当であると判断した場合は、登録家庭の中から児童にとって適切な家庭を選定し、さらに養子縁組成立までの間も面接や家庭訪問などを重ねるなど、慎重に確認しながら適切に対応を進めているところでございます。
 今後とも、児童の福祉を第一に考えながら、社会的養護を必要とする児童に対して適切に対応してまいります。

〇おときた委員 親権の移動を伴うのが養子縁組ですから、非常に慎重に対応されていることがわかりました。養子縁組を希望する里親から養子縁組へ結びつける取り組みは、子供に安定した親子関係を用意できる方法として大変重要なものです。この取り組みの改善、よりよい運用のための努力も終わりのないものだと思いますが、民間NPO等々も活動しております。今後も都民からの要望に少しでも多く応えられるよう、東京都としてもご尽力いただきたく要望いたしまして、私からの質問を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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