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「都有地」はどうしたら有効・迅速に活用できるか【一般質問】

都議会の話

「都有地に福祉施設」 舛添氏のアイデア、実現可能性いかに?
http://sankei.jp.msn.com/region/news/140210/tky14021021480016-n1.htm

都有地を活用して保育施設などを増設し、
待機児童ゼロを実現するというのは舛添知事の重要な公約の一つです。
しかしながら、就任直後のインタビューで

「都有地は便利な場所に残っていない。国有地を活用していく」

などと発言するなど、果たして都有地はきちんと活用されるのか、
そもそもの実態はどういう状況なのか、見えにくい状態です。

本当に都有地は不便な場所にしか残っていないのか。
それは行政側の思い込みではないのか。

早速保育所に活用できそうな500平米以上の都有地リストを取り寄せて、
実際に保育事業を営んでいる若手事業者の第一人者
フローレンスの駒崎弘樹さんと相談してみたところ、

「こことか、けっこう良い立地で保育所に使えそうですよね?」

とすぐさま指摘が入りました。
つまり、行政側が

「ニーズがない」
「立地が悪い」

と思い込んでいても、民間の事業者側から見れば
魅力的な立地、活用したい土地である可能性が大いにある
のです。

では実際、現時点で都有地がどのように扱われているかというと、
もちろんまったく活用せずに眠らせているわけではありません。

都有地を民間事業者に貸し出して福祉施設を立てる場合、
まず基礎自治体の区市町村が計画を主導します。

区市町村が民間事業者募集の計画を立案し、
東京都と折衝して都有地を利用した事業者を募集、
そこから事業者の決定と実際の建設に至ります。

これの欠点は、

・時間がかかる
・区市町村が指定した土地以外には、事業者は応募できない

(=事業者側から、都有地を活用した事業プランの提案は不可)

ということです。
例えば先日、北区田端の都有地を貸し出す
保育事業者向けの説明会に実際に出席してきましたが、

1月 公募要領発表
2月 事業者説明会、応募事前通知の提出
3月 質疑応答、申請書の提出
3月~8月 審査
9月 借受者の決定・発表、近隣説明会
10月以降 契約の締結、土地の貸付

というタイムスケジュールになっており、
実際に都有地の貸し出し先が決定するまでにほぼ丸1年かかります。
ここから建設になれば、さらに時間を要するでしょう。

福祉事業なので慎重を期す必要は理解しますが、
待機児童問題が逼迫しているときに悠長なことをしていては、
児童は文字通りあっという間に大人になります。

そして何より前述のように、区市町村が都有地の価値を見落とすと
文字通り「宝の持ち腐れ」になりかねません

確かに基礎自治体が「地域のニーズを把握している」かもしれませんが、
民間事業者も独自のマーケティングデータを持っており、
ビジネスチャンスを積極的に伺っています。

こうした「民間の知恵」「民間の活力」を活用するためには、空き都有地を
「都有地データバンク」のような形で公開するのが有効ではないでしょうか。
(現時点では事業者は、どこに空き都有地があるのか知ることすらはできません)

それを見た民間の事業者から事業提案を各区市町村が
受けられる形を取れば、行政側が気づかなかった
都有地の活用方法がもたらされるかもしれません。

当然、事業者の決定までには相見積もりやコンペをするなど
一定のフローが必要になりますが、行政側が一手にコントロールをする
従来の形式に比べれば、実施スピードもアップする可能性があります。

というわけで、おおざっぱにいうと上記のような内容を
一般質問にて取り上げて、提案させていただきました。

写真 4

東京都財務局からの回答は、

・福祉インフラの整備にあたっては、地域の事情を把握し、
 地元関係者間の調整を行うのにふさわしい区市町村が窓口になるのがふさわしい
・未利用都有地情報を公開した場合、ただちに民間への売却等が可能な土地と誤解される等、
 地域に無用な混乱を招く恐れがあることなどから、一般に広く公開することは控える

とのことで…まあいわゆる、ゼロ回答(見込みなし)でした。
チーン。。

確かに行政側の考えにも一理あります(というか、もちろん常にあります)。
保育所や介護施設など福祉施設の建設は残念ながら、

「子どもの鳴き声がうるさいから嫌だ」
「徘徊老人が増えて、治安が悪くなったらどうする!」

など、近隣住民から反対が起こることが多いのです。
悲しい話ですけどね…

ただ後者の「無用な混乱を招く」というのは要は、
「色々と問い合わせが増えて面倒」ということでもあって、
総じて行政や役所にありがちな

「できる方法より、できない理由を積極的に探す」

典型的なパターンのような気はします。

とはいえ、都有地活用は舛添都知事の「公約」。
今後もこれまで以上に活用される様々な方法を考えていくとのことですので、
引き続き注意深くその動向を見守り、適宜提案していきたいと思います。

それでは、本日はこんなところで。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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