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知事に「やり直し!」と言いながら、知事提案には賛成する不可思議

都議会の話

本日も本日で、14時スタートで通例すぐ終わるはずの議会運営委員会が紛糾して夜までずれ込みましたが、昨日のブログ記事の続きです。

知事が作った予算案が気に食わない!そんなとき、議会に何ができるのか?
http://otokitashun.com/blog/togikai/14555/

議会側は、知事(首長)の出した予算案に対して不満があるときは、

1. 修正案の提出
2. 予算組み替え動議の提出

のどちらかを行うという旨を解説してきました。さて、今回都議会自民党(および共産党)が提出したのは、いったいどちらだったのでしょう??

はい、後者の「予算組み替え動議」です。都ではこれを「編成替えを求める動議」と呼んでいます。文面の中でも、明確に知事に「再提出」を求めているのがわかりますね。

昨日引用したNHKの記事や、情報発信をしている一部自民党都議が「修正案」という言葉を使っていますが、これは厳密には誤りということになります。

ところが、自民党が組み替え動議を出した中央卸市場会計予算も、共産党が組み替え動議を出した一般会計予算も、どちらも結局「全会一致」で可決されています。

これは論理的には完全に「???」な行動です。端的に言えば、矛盾しています。

繰り返しになりますが、組み替え動議は知事に「やり直し(再提出)」を求める提案になります。やり直しを求めるのは当然、原案に不満があるからであって、組み替え動議の提出と知事原案への反対はセットというのが大原則です。

「原案を否定するわけではない。増額を求めているだけだ!」

というのは正しそうに見えて、あまり、というかまったく整合性が取れていない主張ということになります。


(自民党の組み替え動議の内容)

単に既存の項目を増額させるだけであれば、それこそ「修正案」を提出するという手段もありえたはずです。ただこの場合は必然的に、自分たちの修正案に賛成し、知事原案には反対することになります。

つまり修正案を出してしまうと、同レベルの並列提案に対して両方賛成というのはさすがに矛盾を通り越して不可能になりますが、「組み替え動議」は予算案の採決前に議決されるので、「どっちも賛成する」という行動がギリギリで許容されます(論理的には完全におかしいけれど)。

要は結局、今回の組み替え動議はハッタリで、知事に対する牽制以外の意味はなかったと考えるのが妥当であると言えそうです。

いずれにせよ、これまでの都議会では予算絡みも含めて議員提出の提案は極端に少なく、議論が活発とは言えない状況が続いてきました。

不慣れなためか整合性の取れていない行動とは言え、最大会派の都議会自民党がこのような問題提起をしてきたことは、議論の活性化という点ではプラスに働いた意味はあるのかもしれません。

明日でいよいよ、都議会本会議も閉会。最後まで何があるかわかりませんが、引き続きご注目いただけますと幸いです。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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