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逆襲の都議会自民党。事前通告なしで28問連続ガチンコ質問に、小池知事は…?

都議会の話

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今日は対決姿勢を強める小池百合子知事VS都議会自民党の攻防が注目された、代表質問が本会議にて行われました。

従来は予め用意された原稿をお互い読み合うだけの「学芸会」「シナリオ議会」などと批判されがちだった都議会ですが、なんと今回、都議会自民党からは知事サイドへ質問の事前通告は一切なし。

これにより、にわかに本会議場はまさしく「議論の場」となり、非常に緊張感があふれるスリリングな光景が展開されることになりました。

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持ち時間74分という中で、知事に対しては矢継ぎ早に28問の質問を繰り出してきた自民党。

これに対して知事は答えに窮する場面も多く、そういった意味で都議会のルールと慣習を逆手にとって逆襲した自民党に一本取られた面はあると思います。

その模様は毎日新聞のこちらの記事に詳しいです。

「小池知事と自民」対決 泥仕合の様相(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20161208/k00/00m/040/096000c

都議会の代表質問では、各会派が事前に質問内容を知事側に渡し、答弁の大まかな内容や答弁者を把握する答弁調整が慣例になっていた。だが小池知事は9~10月の前回定例会で「根回しはしない」と拒否。今回は都議会公明党など他の主要3会派とは答弁調整したものの、自民は質問の大枠のみを通告して答弁を求めた。 

崎山議員は2020年東京五輪・パラリンピックの会場見直しや、小池知事が廃止を明言した都議会の「復活予算」など28項目を次々と質問。小池知事が進める情報公開についても恣意(しい)的だとして「開かれた都政とは、都合が良い情報をマスコミに流すことではない」と皮肉った。小池知事は質問を懸命に紙に書き記したが、メモできない質問も多く何度も答弁に詰まった。

「速記者ではないので十分に(質問を)書き取れなかった」と弁明した小池知事。「(答弁の)順番が変わってもいいでしょうか」「前もって伺わないと答弁は正確さを欠く」と繰り返す態度に、自民席からは「(前回)事前調整しなかったのは知事じゃないか」と怒号も上がった。

(上記リンクより抜粋 Copyright 毎日新聞)

私自身は事前通告なしのガチンコ勝負は大いにアリだと思いますし、実際に今日の議会も非常に見応えのあるものでしたが、現行のシステムでの限界も同時に露呈した結果になったと感じています。

まず以前にも解説した通り、都議会本会議の質疑応答は「一括質問・一括答弁」と言われるシステムです。

みなさんがイメージする国会中継では、一問一答で丁々発止のやり取りが行われていますが、都議会では質問者が持ち時間すべてを使ってぶっ通しでしゃべり、それに対して答弁者がぶっ通しで答えるという仕組みになっています。

詳しくはこちらの過去記事をば。

この中で自民党都議は28問の質問を矢継ぎ早に知事にぶつけたわけですが、前述の記事にもある通り、事前通告なしではメモを取るのには限界がありますし、当意即妙な受け答えをすることも極めて難しくなります。

また、答弁者には反問権もありませんので、質問者の意図などを確認することもできず、ひたすら防戦一方に追い込まれることになり、事前通告なしで答弁する側は著しく不利な立場と言えます。

加えて自民党の都議は「(ルールに則り)質疑通告は行っている」と言っていましたが、ルール上で行われる質疑通告は下記の通りかなり大まかな項目のみで、ほとんど何が聞かれるかはわからない状態です。

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こうした制度ですから、「(答弁者が)答弁を事前に質問者に伝えない」ことと、「(質問者が)質問を事前に答弁者に伝えない」ことには、彼我の隔たりがあります。

都政という膨大な守備範囲を抱える知事に対して、矢継ぎ早に覚えきれないほどの質問をぶつければ、「答弁漏れだ!」と攻めることは容易いですし、実際に今日の都議会自民党は狡猾にその作戦を取ってきたというわけですね。

こうしたことを考えると、現行の仕組み(一括答弁・一括質問)で行うのならば、質問部分に関してはもう少し具体的な質問通告をしておくべきだし、ガチンコ勝負を展開するのなら、国会同様の一問一答形式を採用するべきであると思います。

…とはいえ冒頭で述べたように、今日の知事は防戦一方に追い込まれ、明確な答弁ができない場面が目立ったことも事実であり、都議会自民党の作戦勝ちという見方もできることは確かでしょう。

これも長い因習を持つ都議会の洗礼。休憩後は持ち直した小池知事ですので、明日以降の巻き返しに期待したいところです。

ただいずれにせよ、これまで凪のように何も起きなかった都議会本会議の場が、これほど緊張感を持って変化を迎えているのは非常に喜ばしいことです。

今回のようにまったくの質疑通告なしというのは建設的ではないかもしれませんが、ある程度の真剣勝負という要素がなければ、議会に緊張感は生まれません。

これを機会に一括答弁・一括質問というシステムの見直しなど、議会改革そのものが進んでいくことも期待し、また我々としても提案をしていきたいと思います。

明日は多数の議員が登壇する一般質問。引き続き、ご注目ください。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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