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豊洲新市場「盛土問題」報告書に、処分対象の元部長が反論。報告書の妥当性を検証するのは誰か?

都議会の話,

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

豊洲新市場において、本来あるはずであった「盛土」が建物下に行われていなかった問題で、先般の小池知事記者会見にて8人の責任者が特定され、処分対象となることが発表されました。

このうちの1名が、「報告書は事実と異なる」と反論を都に提出したことが今朝のニュースになっています。

豊洲市場 元部長が反論書「方針了解した事実ない」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161108/k10010759231000.html

そもそも9月末に出された第一回目の都の報告書は杜撰な出来栄えであり、そこに追い打ちをかけ、て第二回の報告書には処分対象となる当事者の一人から正式なクレームがつきました。

真意の程は現在まだまだ定かではありませんが、この報告書についても疑義があり、検証が必要なことは確かです。

では、その検証を行う機関とは、一体どこであるべきなんでしょうか??

はい、まずは都議会ですよね。

小池知事は都政課題を解決するために、有識者や専門家による第三者機関(専門家会議や都政改革本部、プロジェクトチームなど)を立ち上げていますが、本来であれば都議会こそが都政を監視・検証する最強の第三者機関であるはずなのです。

これが完璧に機能不全に陥っているからこそ、小池知事は独自に様々なチームを立ち上げているわけでして、その都議会の破綻具合は今回の件でも悲しいほど露わになっています。

私自身も今回の報告書については、一読してみて確認したい点が多々ありました。これに加えて当事者から反論も出たわけですし、これは8人の処分が確定する前になんらかの検証が加えられ、より精度を高めておく必要があると思います。

に も か か わ ら ず 。

昨日のブログを初めとして、何度も何度も取り上げている通り、この問題を議論するはずの「豊洲市場問題特別委員会」は、11月8日時点でまったく開かれる気配がありません。

都議会閉会中も豊洲市場問題を調査・検証するために、7時間超もの議論に及んだ挙句ようやく設置された委員会なのに、このままでは12月議会が始まってしまうというところまで来ています。

●7時間超の議論の末、「豊洲市場移転問題特別委員会」の設置が決定。百条委員会の可能性もあるが…
http://otokitashun.com/blog/togikai/13017/
●開かれない都議会の豊洲市場問題特別委員会…。都の報告を受けて、早急な開催と検証を!
http://otokitashun.com/blog/daily/13194/

もうぶっちゃけて言えば、この特別委員会の開催を先延ばしにしているのは、委員長を始めとする理事ポストの過半数を占めている都議会自民党です。

彼らの意図は

・豊洲市場問題を追及すればするほど、それを推進してきた自分たちに火の粉が飛んでくる可能性がある
・入札や談合の問題の検証に矛先が向いた際に、追及が身内に及ぶ恐れがある

こうした事態を避けたいといったところなのでしょう。

こんな身内の事情に囚われ、8名の処分が出揃う前に報告書の検証すらできない東京都議会の体質は、もはや問題を通り越して改善不能な領域まで達してしまっているのかもしれません。

なお、私も「地下ピット」案は盛り土の改善であり、安全性に問題はないであろうと考える立場ではあるものの、それでも情報ガバナンスに大きな欠陥があったことは確かであり、責任者に対するなんらかの処分は不可避と考えています。

「安全なものを作ったのに、処分されるなんて言語道断だ」
「現場で働く技術者・エンジニアへの冒涜だ」

という意見も散見されますが、これに対して少しだけ意見を述べておきます。

2016-09-10-1

まず前者に関しては、結果論として安全なものが出来上がっていたとしても、情報共有が不徹底であり、議会答弁や市場関係者への報告において虚偽説明を繰り返してきた責任を免れることはできません

また後者に関しては、9月末に「責任者不在」という結論が出た一次報告書が発表された直後から、私のもとには多数の関係者から報告・相談がありました。

その多くは

「あれは局長・管理職クラスを逃がすための報告書だ」
「彼らが知らなかったはずがない、技術者は必ず上に報告する」
「現場を犠牲にして局長・管理職クラスが逃げることを、絶対に許さないで!」

というものでした。むしろこの二次報告書は、現場で働く技術者・エンジニアの名誉を守ったという一面もあるのではないでしょうか。

とはいえ、先にも述べた通りこの二次報告書に対しては当事者の反論もあり、疑問点も少なくないことから、早急に第三者=議会による検証が求められるところです。

議会が機能不全になっていないことを示すためにも、引き続き議会の中から特別委員会の開会を強く求めていきたいと思います。

それでも特別委員会(委員長は自民党都議)が開かれず、8人の処分が決定され、12月議会も始まるようなことになったとしたら…

都民の皆様からは、都議会に対して厳しい審判が下るのかもしれませんね。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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