こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
一夜明けて、新聞でもテレビでも見ないことはないほどの「小池旋風」が吹き荒れています。
マスコミや有識者の論調を見ると、
「都議会を自公が大半を占めているから、協調・妥協をせざる得ない」
「除名も離党もされなければ、結局勝ったのは自民党だ」
「自民党と早々に手をうち、協調路線に収束するだろう」
という意見が多いようです。
これは自民党筋が意図的にマスコミに対して自分たちの希望的観測を流している節があり、
どうも正確に都知事と都議会のパワーバランスを表してないので、解説しておきたいと思います。
本当に議会多数派は、小池知事の提案に否決を連発できるのでしょうか?
彼らの意向を汲み取らなければ、物事は何も進められないのでしょうか?
結論から言えば、今回の場合に限っては答えはNoです。
こうした状況は筆者自身も経験しており、ブレーンとして政策形成から選挙戦略まで一手に引き受けた松戸市長選挙では、市民運動と当時の民主党の上に乗った選挙構造を作って当選、その後ブレーンとして部長職で市役所に入ったが、結局は自民公明両党に迫られブレーンの首を切り、その構造の中で選挙で掲げた公約も大きく転換させた。
こうしたことは、自分が直接間接的に関わった首長の中にもそれなりの数でいる。選挙で勝ったとしても、その後の行政運営の中では、議会との対立構造の中では動かなくなるものが多いからだ。
【政治と金で知事2連続辞職、知事選3回150億円使っても東京都は「利権構造」を解決できないのか】より
http://blogos.com/article/185242/
こちらの記事で高橋亮平さんが指摘するように、
議会の力に負けて自らの対決姿勢・公約を下げてしまう首長が存在することは確かです。
ですがこうしたケースの多くは、統一地方選挙のように首長選と議員選が同時に行われた場合です。
(松戸市長選挙は少しだけズレているけど)
その場合、まさに首長と議会は「等しく民意で」「同時に」選ばれたことになります。
これでは確かに、首長が単独でゴリゴリと物事を進めていくことはできず、
議会多数派との折衝・妥協をどうしても迫られることになります。
そう、決定的に違うのは「タイミング」と「都議会の任期」です。
今回の小池都知事は、まず「直近の時期に」「単独で」300万票に迫る民意を受けています。
都民の期待は何かが明らかであり、相対的に知事の力は非常に強くなります。
そして何より、都議会議員選挙はなんと10ヶ月後と直近に迫っています。
大きな民意を受けて誕生した知事の提案を議会が否決し続ければ、
「議会が新知事に対して嫌がらせをしている」
「あいつらは一体なんなんだ!抵抗勢力だ!」
という空気が情勢され、あっという間に次期都議会議員選挙に暗雲が漂います。
これを考えると、選挙を前にしてイメージダウンを避けたい都議会側は、
どうしても知事に対して歩み寄りをせざる得ないというわけです。
■
彼女自身が一番このことをわかっているはずですから、安易な妥協は行わずに、
「東京大改革」に向けて必要な闘いはしっかりと進めていくのではないでしょうか。
逆にすぐさま自民党と手を握るような姿勢を見せてしまえば、
最大のパワーの源である「改革を求める民意」はあっという間に離れてしまいます。
一方で、
「小池新党誕生か?!」
「都議会自民党とは、徹底的交戦をするんですか?」
というのも、それはそれで極端すぎると思います。
あくまで目的は「東京大改革」を進め、都政・都議会のブラックボックスを開けていくこと。
そのために協調すべきところは協調し、改革派議員たちとともに歩みをすすめていくこともあるでしょう。
我々としても、いたずらに対立を煽り都政を混乱させることは本意ではありません。
新知事が都民にお約束した改革が行われるかどうかをしっかりとチェックしつつ、
選挙で唯一支援を行なった都議会会派として、改革に向けた揺るぎない支援を行うつもりです。
新知事が提案する=都民が望む「改革案」に対して、都議会がどう応えるのか。
都民にとって目が離せない、ダイナミックな議会運営が行われるかもしれません。
10ヶ月後の都議選までの動きが、最初のターニング・ポイントです。
ぜひ皆さま引き続き、東京都政にご注目いただきたいと思います。
もちろん私はその都政・都議会の最前線から、
しっかりと皆さまに最新情報をお届けしてまいります。
■
そして明日2日(火)はTBS「ビビット」、
フジテレビ「バイキング」に久しぶりに出演予定。
何よりも知事の初登庁を、厳かな気持ちで迎えたいと思います。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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