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アジア人材育成基金、バンコク同窓会に対する質疑応答まとめ(一部要約)

※事前の原稿を元に作成したもので、必ずしもすべて正確ではありません
※特に東京都側の答弁は要約です。正確なものは議事録掲載をお待ち下さい

Q1.
私からは初めに、都市外交人材育成基金に関する事業についていくつか質疑を行います。本事業をこれから効果的に展開していくにあたっては、前身であるアジア人材育成基金を活用した取り組みを総括し、有意な人材との関係性を構築していくことが欠かせません。
具体的には、基金を活用して首都大学東京が受け入れた留学生たちが、帰国後に何をしているのかを把握し、東京都とのつながりや留学生同士の交流を保ち、アジアや東京都に貢献する人材になるようフォローアップを行わなければ、留学に公費を支出しただけの「バラマキ」との謗りを逃れられません。都民のお金で行う事業ですから、1円の無駄もなく、最大の効果を上げる必要があります。
そこでまず、アジア人材育成基金6年間で終了した留学生たちに対して、どのような施策を行っているのかを伺います。

A1(首都大学調整担当部長答弁)
・留学生が、大学院修了後も東京に愛着を持ち続け、さまざまな形で東京のさらなる発展に寄与する人材として活躍することは、長期にわたる都市間関係の安定に寄与するものであり、大学はもとより都にとっても重要。
・首都大学東京では、これまで、東京都がアジアの将来を担う人材の育成に資する施策に充てるために設置したアジア人材育成基金を活用し、優秀な留学生の受入れを実施。
・また、留学生の人的ネットワークの形成に向け、在学生及び修了生への取組を推進。
・具体的には、修了生の帰国後も、所属していた研究室を通じての研究交流はもちろん、定期的な現況調査など、大学とのつながりの維持強化に取り組んでおり、今年度からは新たに帰国留学生同窓会も開催。
・今後は、アジア人材育成基金を再構築して創設した都市外交人材育成基金を活用し、母国で教育研究に携わる修了生が短期的に首都大で研究を行う際の活動の支援、若手日本人研究者との継続的な国際共同研究の実施など、帰国後のフォローアップ体制を充実していく予定。

Q2.
様々な施策が熱意を持って行われていることがわかりました。それではそのうち、今年度から新たに始められた帰国留学生同窓会について質問します。ご答弁の中で、「大学院修了後も東京に愛着を持ち続けることが重要」との言及がありましたが、今年8月に行われたこの同窓会は、どういうわけか東京ではなく、バンコクで開催したと聞いております。東京都の、首都大学東京で受け入れた留学生たちの同窓会を、なぜバンコクで開催したのか理由をお伺いいたします。

A2(首都大学調整担当部長答弁)
・大学院修了後、留学生の多くは出身国に帰っているが、タイのバンコクは、アジア地域、とりわけ修了生の多い東南アジアのハブとも言える要所であり、修了生が集まりやすい場所。
・また、首都大学東京は、昨年度、初の海外拠点としてバンコク事務所を開設しており、この事務所を活用した準備が可能。
・さらに、今回の同窓会開催に合わせ、首都大の関係者が協定を締結しているバンコク内の大学などを訪問し、ネットワークを強化することも可能。
・以上のような理由から、首都大学東京では、バンコクで留学生同窓会を開催。

Q3.
一番の理由に、アクセスというのを挙がりました。ではまず、同窓会参加者の対象者は何名で、うち何名が参加したのか。また、その中でタイ在住者が何名いたのかを教えて下さい。

A3(首都大学調整担当部長答弁)
・今回の同窓会には、26年度末時点での修了生48名のうち、20名が参加。
・タイ在住者は、タイ出身の4名のうち日本在住の1名を除く3名。

Q4.
別途詳細を拝見しましたところ、中国やフィリピンなど東南アジア各国から参加者が来られているようです。で、タイ出身者は4名で、うち1名はわざわざ日本からバンコクに行くことになると。こうした、遠方からの参加者たち、留学生たちの旅費はどのような扱いになっているのでしょうか、伺います。

A4(首都大学調整担当部長答弁)
・修了生の航空運賃については、東京都からの標準運営費交付金を財源とする公立大学法人首都大学東京の予算で負担し、それ以外の滞在費等は修了生の負担。

Q5.
交通費は、東京都のお金から出ていたわけですね。懐かしい東京へきてもらい、東京への愛着を高めていただくならまだしも、多くの留学生になんらゆかりのないバンコクへの交通費が公費から支払われる。ここに、都民の納得は得られるのか大きな疑問が残ります。
では続いて、東京からバンコクの同窓会に参加をした関係者が何名いたのか、役職別に分けてお示しください。

A5(首都大学調整担当部長答弁)
首都大学東京からは、学長、国際担当の副学長、留学生の指導教員8名、大学の事務職員5名、計15名が参加。

Q6.
留学生の参加者が20名に対して、日本から15名もの関係者がバンコクに出張していたわけですね。これはもう、ほとんど半分です。この関係者たちの旅費・経費はもちろん公費負担だと思われますが、確認のためにお伺いいたします。また先の留学生たちの旅費も含めて、本同窓会自体にどれだけの経費がかかっているのかをお示しください。

A6(首都大学調整担当部長答弁)
・今回のバンコク出張は業務としての出張であるため、東京から参加した教職員の旅費は法人が支出。
・これを含め、帰国留学生同窓会開催経費の総額は約408万円。

Q7.
総額が408万円ということですけど、事前にお伺いしたデータでは日本から出張した15名の経費、これが191万円となっております。総経費のほぼ半分です。冒頭の答弁で初の海外拠点であるバンコク事務所を活用できるとおっしゃっておりましたが、それでも大勢の事務方の出張がなされている。東京で行えば、この部分の経費は丸々、カットできたわけです。
続いてもうひとつ、開催の妥当性について確認します。本同窓会は今年の8月29日に開催されており、その10日ほど前にはバンコク市内で大規模な爆発テロが起こっておりました。多くのイベントが中止になり、しばらく帰国をした日本人も多かったことは、記憶に新しいところです。こうした極めて危険な情勢下で、なぜ中止という判断を行わなかったのか、その理由をお伺いいたします。

A7(首都大学調整担当部長答弁)
・首都大学東京では、首都大のバンコク事務所等を通じて、現地の日本大使館や、バンコクに事務所を置く各大学のネットワークなどによる現地の最新情報の入手に努力。
・事件発生から1週間経過した時点で、さらなる事件が起こっていないこと、他大学等がバンコクで実施するプログラムで通常通り行われているものも多くあること、また、バンコク市内の様子も平常通りに戻りつつあることなどを総合的に勘案し、予定通り開催することを決定。

Q8.
総合的にご判断ということですけど、爆発事件が起きたことで、参加をキャンセルした者も複数いると聞いております。留学生、関係者の中に何名いたのかを教えて下さい。

A8(首都大学調整担当部長答弁)
・爆発事故を受け、今回の同窓会の参加をキャンセルした修了生は6名。なお、これに伴い、不参加となった修了生を担当していた指導教員1名が参加を見送り。

Q9.
6名キャンセルで参加者20名ということは、二割以上の参加者が、安全面を理由に辞退されていたわけです。これは十分に、開催中止を決断する理由になっていたように思えます。それでも開催を決断されたと。
それでは以上の背景の中で開催された同窓会で、留学生や関係者の安全確保についてはどのような努力をされていたのかをお伺いいたします。

A9(首都大学調整担当部長答弁)
・首都大学東京では、開催に当たっては、日本の外務省の通知等も参考にし、不要不急の外出を避ける、人が集まる場所では細心の注意を払うなどの対応策を周知し、参加者に対する注意喚起に努力。

Q10.
不要不急の外出を避けるように注意喚起を行ったと。この点、後ほど重要になりますので、ぜひ覚えておいて欲しいと思います。
続いて出張日程についてです。この同窓会への職員出張は当初、同時期にバンコクで開催予定だった「日本留学フェア」への参加・視察も兼ねたものだったと聞いております。しかしながら、この日本留学フェアは爆発事件の影響で延期になっています。その結果、東京都から訪問した関係者たちのスケジュールはどのようになったのか、こちらを詳細に伺います。

A10(首都大学調整担当部長答弁)
・延期となった日本学生支援機構主催の「日本留学フェア」の当初の開催予定日は日曜日だったため、首都大学東京では、他の大学への訪問なども検討したが調整がつかず、週休日に。その他のスケジュールについては変更なし。

Q11.
ご答弁のように、同窓会の抱き合わせだった当初の出張目的の一つが事件でなくなっているわけです。これも十分に同窓会開催延期の理由になると思いますが、それでも同窓会は強硬に開催したと、この点にやはり大きな疑問が残ります。
そして訪問日程に週休日が発生したということですが、この日に出張に係る手当・経費は支出されているのかを確認させてください。

A11(首都大学調整担当部長答弁)
・首都大学東京の旅費規則では、翌日以降の用務のため滞在が必要な場合、週休日についても、旅行命令に基づく業務のための出張として宿泊料や日当を支給する規定となっており、この日についても旅費を支出。

Q12.
休みの日にも、東京都の、つまり都民のお金から関係者に日当などが支払われているわけで、これではますます、本事業に対する都民の厳しい見方を助長することになります。
週休日の翌日月曜日にはバンコクにおける協定大学への訪問予定があったそうですが、同窓会だけ開催するにしても、安全面・スケジュール面を考えてそちらの大学訪問はキャンセルし、終了後に即時帰国する選択肢もあったと思われます。なぜそのような対応を行わなかったのか、理由をお伺いいたします。

A12(首都大学調整担当部長答弁)
・首都大学東京では、安全面からは同窓会を開催できる状況にあると判断。
・大学訪問も帰国留学生同窓会と合わせて重要な用務であり、総合的に判断した結果、当初の予定どおり実施。
・なお、この訪問時には、首都大と訪問先大学の間での交換留学等の実施に向け、互いの留学生受入れ体制の確認や受入れプログラムの紹介などを実施。これにより、今後、学生の派遣や受入れに具体的につながっていくことを期待。

Q13.
爆破テロという事業が事情ですから、大学訪問はキャンセルすることに差し支えはなかったのではないでしょうか。意見交換に意義がないとは申しませんが、こうした情勢下で行うことには疑念を感じざるをえません。どうしてそこまで、月曜日の大学訪問の予定にこだわったのかと。
ここで、週休日の過ごし方について少しお話したいのですが、前述のご答弁の通り、参加者や関係者には不要不急の外出を避けるように通達していました。ところが、ここで写真を一枚ご覧ください。
こちらはバンコクから少し離れたところにある、世界的な観光地であるアユタヤです。一部の関係者たちが、週休日にアユタヤまで足を伸ばして観光し、ご覧のように楽しそうな集合写真を取られていたという情報もございます。個人のお顔には修正をいれさせていただきましたが、見る方がご覧になればおわかりになると思いますし、下には8月30日という日付も刻印されています。
こうした遠方の観光地への外出は、突発的に行ったとは思えませんから、事前に周到に準備されていたと考えるのが妥当です。都民の税金で出張をして、日当が出ている週休日に、計画的に遊んでいたのではないかと、ここには都民のみならず、私自身も強い憤りを覚えております。
以上見てきたように、公費支出の観点からも、安全面からも極めて軽率であり、都民の理解はとうてい得られない事業のように思えます。果たしてこの同窓会企画の開催は妥当であったのかどうか、改めて東京都の見解を明確にお示し下さい。

A13(首都大学調整担当部長答弁)
・これまでのアジア人材育成基金、また、新たに創設された都市外交人材育成基金の目的を達成するためには、修了生の人的ネットワークを形成することは極めて重要。
・そのためのきっかけ作りとなる今回の帰国留学生同窓会は、繰り返しになるが、より多くの修了生に参加してもらうことを考え、バンコクで開催。
・安全面についても、外務省からの安全情報や最新の現地の情報を収集した上で、開催を判断。
・また、同窓会後の大学訪問も国際的な大学間連携を進めていく上で重要な用務であり、先方との事前の約束どおり対応。先ほどもお答えしたとおり、訪問時には、交換留学等の実施に向け、受入れ体制の確認や受入れプログラムの紹介などを実施。これにより、今後、具体的な学生の派遣や受入れにつながっていくことを期待。
・このように、今回の帰国留学生同窓会の開催について、首都大学東京は適切に対応したものと考える。

Q14.
残念ながらこれだけの事実をご指摘させていただいても、不適切な対応についてはお認めいただけませんでした。これが都民の税金を預かる東京都の意識なのだと思うと、失望を感じざる得ないところです。ネットワークの形成は重要でありますが、であればなおさら、こうした同窓会は東京で行えば良い話しです。大学訪問はまた、別のテーマであり、いわば出張のこじつけの一つです。
来年度以降の開催も予定されていると聞いておりますが、アジアから世界へとその対象が広がったことで、開催地が今度はパリだ、ニューヨークだなどと広がることには、都民の理解は決して得られません。次年度以降の同窓会については東京で、最小限の費用で最大の効果を挙げられることを強く要望致します。
この事業に関連して最後に、今年10月に行われた第一回都市外交人材育成基金の年次総会について伺います。こちらは首都大学東京の構内ではなく、どういうことか近隣のホテルで開催されたと聞いています。これに使われた経費と、なぜホテルでの開催を選択したのか理由をお示しください。

A14(首都大学調整担当部長答弁)
・首都大学東京が10月に開催した第1回都市外交人材育成基金年次総会は、基金により受け入れた留学生や関係の教職員、さらに修了後に日本で就職・修学等している修了生が一堂に会し、交流する機会を設けることにより、留学生同士、また、教職員や修了生とのネットワークを構築することをねらいとしたもの。
・この総会では、留学生による活動報告としてのプレゼンテーションとともに、レセプションを行い、業務委託料として約163万円を法人が支出。
・首都大学東京では、120名を超える規模のイベントを開催するに当たり、学内に適当なスペースがなかったこと、直営で行う場合の準備に係る業務量等を勘案し、近隣のホテルでの開催を選択。

Q15.
こちらも一事が万事で、同窓会と同じ意識の問題のように思えます。大学ですから、大人数相手にプレゼンをする施設もあるでしょうし、食事は学食を使うこともできます。大勢の留学生たちが首都大学東京にいる中で、なぜこの基金を使ってきた留学生たちだけが豪華に歓迎されるのか、疑問の声も大学構内であがっていると聞いております。

本事業の基金をつんだ政策企画局の質疑でも言及しましたが、都民の中にも経済的事情で大学に進学できない、あるいは奨学金の返済に苦しむ人達がいる中で、なぜ外国人留学生の受け入れ事業にこれだけの公費が注がれているのか、都民からは厳しい視線が集まっています。その中でこのようなお祭りイベントのようなことばかり開催していれば、事業そのものに対する不信を招きかねません。
今回の質疑を通じて、不適切とも思われる海外出張などの事実が明るみになりました。これは広く都民の知るところになるはずです。東京都は都民からの声をしっかりと受け止めて、1円たりとも税金が無駄に支出されることのないよう、本事業に臨む姿勢を抜本的に改善されることを強く要望いたしまして、次の質問にうつります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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