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「国に任せるべきだ」「メリットは?」舛添知事の都市外交に対する声が年間最多に

日々のこと,

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
東京都が平成26年度に要望窓口「都民の声」に寄せられた内容を公表し、
それをさっそく産経新聞が記事にしています。

26年度「都民の声」まとめ 「都市外交」への意見最多
http://www.sankei.com/region/news/151118/rgn1511180022-n1.html

■「国に任せるべきだ」「メリットは?」報告などによると、最も多く寄せられたのは、舛添要一知事が力を入れる「都市外交」についてで、全体の1割を超える2万2186件。そのうち約2万件は26年7~8月に集中しており、7月の韓国訪問に関する批判的な意見が大半だったという。(中略)

都市外交については、都の姉妹友好都市、北京、ソウル、ベルリンなどへの知事の出張に対し、成果や必要性を問う声が多かった。

特に都知事として18年ぶりに招待を受けた7月の韓国訪問では、ソウル市長らに加え、朴槿恵(パク・クネ)大統領とも会談。歴史認識など難しい問題を抱える国への訪問で、「外交は国に任せるべきだ」「都にとってメリットはあったのか」といった意見が寄せられたという。

※上記リンク先より一部抜粋、強調筆者

まあ隣国絡みということもあって、ネット世論のバイアスという点は
差っ引かなければなりませんが、舛添都知事の都市外交に対して
多くの声が寄せられたことは事実です。

昨年7月の訪韓については私も素早く東京都に事実確認を行い、
それらの経緯をまとめたブログ記事は大きな反響を呼びました。

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朴大統領との会談予定はなかった、「90%以上の東京都民は韓国好き」は誤報…舛添都知事の訪韓とはなんだったのか??
http://otokitashun.com/blog/togikai/4082/
(写真は知事の部屋より、ソウル大学講演の様子)

冒頭の「都民の声」の内容が発表される前だったので、
タイミング的には偶然だったのですが、都市外交を所管する政策企画局への
事務事業質疑が先週ありましたので、実はそこでちょうど本件を質問したところでした。

今回、私が問題視して質疑したのは大きく以下の3点。

1.舛添知事が勝手に取ったアポイントでも、東京都の公務(都市外交)になるの?
2.今後も舛添知事独自アポで、首長ではなく国家元首と会う都市外交をする可能性はあるの?
3.舛添知事独自アポの会談には、東京都の職員は同席できるの?

まず1番についてですが、過去ブログ記事で指摘した通り、
昨年の訪韓において当初、朴大統領との会談は予定されていませんでした。

東京都担当所管の預かり知らぬところで、舛添知事が独自ルートでアポを取り、
「安倍首相のメッセージをお伝えした」と発言したことが問題になったわけですね。

公務の出張だからといって、24時間すべてその行動が制約されるわけではありませんが、
公費≒都民の税金で旅費が出ている以上、公私の分別ならぬ「公と公の分別」が必要です。
東京都知事の公務に便乗して、政治家個人の予定を入れるのってどうなの?ということです。

そして2番は関連して、今後もこのような「都市外交」なるものが
行われる可能性があるのかを確認した質問です。東京都の回答は

1番→あれはソウルなどとの都市間交流の推進をさせるための都市外交だった
2番→都市外交を促進する目的であれば、独自アポで国家元首と会うこともありえる

おお、なんと!
当初どころか出発の後まで東京都が予定に入れてなかった会談でも、
立派に東京都の都市外交という公務になる(なった)そうです。そうなのか…。

そして「都市外交を促進する目的であれば」今後もこのようなことがありえると。
都民からの意見・クレームなどどこ吹く風ということですね。

ただ実際、何をもって「外交の成果」とするかは、極めて難しいことが確かです。
だからこそ最後、舛添知事の功績を評価するのは都民の皆さまであるべきです。
そのためには、正確な情報公開が欠かせません。

だからこそ、上記の3番を質問しました。
事務方の東京都職員も同席して会談の内容を記録・公開しなければ、
都民の判断材料を獲得することができないからです。

これに対する東京都の回答は、

「都市外交を推進する目的で国家元首などと面会する場合、先方の要望等により都側の同席者が極めて限定されることもあるが、基本的には可能な範囲で都職員も同席して内容を把握している。」

なかなか奥深い答弁です。
「基本的には同席している」という結論に引っ張られそうですが、
官僚答弁は裏読みしなければいけません。実は重要なのは、太字部分。

どうやら朴大統領との会談の際には、
外務長(外務省からの天下り職員)以外の同席は許されていなかったようなのです。
外務長(旧儀典長)は事務方とは異なるポジションなので、実質事務方不在だったわけです。

そうした「政治家しかいない」空間で何を話していたのか把握できなければ、
ご本人が記者会見で何をアピールしようとも確認する術は持てないわけです。

以上の質問を通じて舛添都知事の都市外交の問題点を露わにし、
個人の所見としては知事の行動に疑問が残ること、最終的には都民の審判を
あおぐための情報公開、そのためのプロセス順守の徹底を求める意見を表明しました。

質問の全文は、最後に掲載しておきます。

このように、質疑を通じて政策の問題点を露わにすることも議員の職責の一つ
ではないかと思います。私の質問・要望だけで都政を動かすことはできなくても、
最後に政治を決めるのは有権者の皆さま全員です。

すでに舛添都知事の都市外交については多くの意見が届いておりますが、
以上のような実態にも留意した上で、引き続きその効果に
ご注目いただければ幸いです。

それでは、また明日。

 

■以下、質疑全文■

始めに、都市外交について伺います。都市という立場を生かしたさまざまなレベルでの交流を行うことで、世界の諸都市と友好協力関係を深める都市外交には大きな意義がある一方で、国家間の利害調整を主とする外交は、国の専管事項です。昨年度も総務委員会の質疑において、同会派の上田都議より、知事が国家元首と接触する必要があるのかという点について疑義が示されましたが、この点につきまして私からも確認をさせていただきます。

都民の間で本件が大きな話題となったのは、具体的には平成26年7月に行われた舛添知事のソウル訪問です。この際に朴大統領との会談が注目されましたが、この会談は舛添知事が東京を出立した際には予定されておらず、急きょ決まったアポイントも舛添知事自身がアレンジしたもので、東京都が設定したものではなかったと伺っております。

もちろん、公務で行かれている海外視察とはいえ、24時間すべてが拘束されるわけではありません。しかし、東京都知事として、東京都民のお金で職務を遂行しに行っている以上、その行動には一定の責任が問われます。このケースでは、安倍首相に託されたメッセージをお伝えしたとされておりますが、その行動には疑問の声も多く上がりました。

東京都知事としての舛添知事と、政治家個人としての舛添知事。東京都が所管する都市外交下の行動において、公私の区別ならぬ、公と公の線引きについて、どのような見解をお持ちかお聞かせください。

(理事者答弁)
ソウルへは、都知事として、都の都市外交を行うために出張した。朴大統領との面会においても、ソウル特別市などとの都市間交流の推進について理解と支持を得るなど、都市外交の一環として行ったものである。(要約)

それでは確認になりますが、今後も舛添知事が政治家個人としてアポイントを取られて、国家元首などとお会いした場合も、内容によっては東京都の都市外交の一貫ということになるケースもありえるということですね。

(理事者答弁)
今後も必要に応じ、都の都市外交を推進する目的で、都知事として自ら日程調整を行い、国家元首等との面会を行う場合もあり得ると考える。なお、知事の公務外の面会については感知していない。(要約)

「都の都市外交を推進する目的で」という留保つきで、その可能性はあることが確認できました。もう一点、舛添知事が政治家個人としてアポイントを取られて国家元首などと面会する場合、東京都の担当者は同席されているのでしょうか。内容の把握やレポートの作成、都民への情報開示はどのように行われているのかお聞かせください。

(理事者答弁)
国家元首などと面会する場合、先方の要望等により都側の同席者が極めて限定されることもあるが、基本的には可能な範囲で都職員も同席して内容を把握している。出張の概要と成果については、知事が会見等で直接述べるとともに、ホームページで都民に公開している。(要約)

有力地方自治体の首長が国家元首と会うということは、国際的にも珍しいことではありませんし、都市外交に寄与するのであればそれは素晴らしい成果です。逆に言えば、都知事としての公費と職責で訪問した際にそれを超えた政治アピールをしたとなれば、それは都民からの非難を招きかねません。

今回わたくしが挙げた事例では、やはり唐突に決まった予定であったこと、日韓関係が難しい状態であった中で、安倍首相の名前が出てきたことなどが、疑念を産むことになったのではないかと考えます。

舛添知事の都市外交について評価を下すのは、最終的には都民ひとりひとりです。その判断のためには、情報公開が欠かせません。知事が都市外交として行う会談にはしかるべき立場の都職員も極力同席し、概要や成果ついて適切な情報開示が行われることを要望いたしまして、次の質問に移ります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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