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9割は解決できない?!「陳情」の対応に悩む政治家たちの本音

日々のこと

「陳情」というのは正確には一定の条件を満たして
議会に意見書を提示することを言いますが、日々の生活や暮らしの中で、
一般の市民や有権者の方々から要望や相談を受けることも広義の意味で

「陳情」
「御用聞き」

などと言ったりします。
先日珍しく(?!)、この陳情・御用聞きがスムーズに解決できたので、
今日はそんなところから政治の中のお話をば(なぜ珍しかったのかは後述)。

同じ党に所属する国会議員の元に持ち込まれた陳情だったのですが、
東京都が所管する案件とのことで、私にお鉢が回ってきました。
(先日のWiMAXのように都政→国政もあれば、また逆パターンもある)

個人情報に関わることなので、
以下少しボカし気味に書くことはご容赦ください。

ある都民の方(Aさん)の子どもが、都立の施設内で怪我をされました。
完全に施設スタッフの管理ミスに起因する事故で、東京都もすぐ100%の非を認めました。

治療費や慰謝料などの大きな支払いはすぐ確定したようなのですが、
病院に向かうのにかかったタクシー代・駐車場代などのところで係争が発生します。

「これは本当にタクシー・あるいは自家用車を使う必然性があったのか?」

という点の厳密な証明を東京都から求められ、Aさんは憤慨。
領収書などはきちんとあり、金額も法外な額を請求しているわけではない(実際に少額)。
怪我の状態も知っているはずなのに、なぜこんなことで言いがかりをつけられるのか??

施設を管理する東京都の部署(Bとする)の言い分は、

「我々としては当然、非を認めているし支払いたい気持ちはある」
「しかし、実際にお金を払う部署Cが『証明は規則だから』の一点張りで融通が効かない」
「なんとか、医者からの一筆などをもらってくることはできないか…?」

とのことで、押したり引いたりですったもんだし、
怪我もすっかり完治し事故から5ヶ月たった今も、少額の部分が揉めているために
金額が確定せず、賠償支払いが行われていなかったそうです。

立腹したAさんは弁護士を代理人として雇い、これは大事になるかというところで、
陳情として国会議員のところに持ち込まれたと、こういう流れだったわけですね。

前置きが長くなりましたが、
「公VS私」の案件なので対応すべきと判断して着手。

とりあえず施設を管理しているB部署の課長に話を聞くと、

「賠償金を払うC部署がダメと言っている」
「Aさんが医者から一筆さえもらってくれれば解決する」

とラチがあかないので、C部署の担当課長に連絡して面談。
…すると、

「我々としては、B部署にそんなに厳しいことは求めていない
「基準はあるが、あくまで社会一般的な常識と照らしあわせて対応する」

とのことで、全然お互いの言ってることが違う!
そこで、B課長・C課長・私の三人でのミーティングを提案すると、

「そこまで議員に迷惑はかけられないので、我々でまず話し合います」

…はい、ではお願いします。
んで結論からいうと、1時間後くらいに

Aさんへの支払いが行われることになりました。ご迷惑をかけて申し訳ありません」

なんじゃそりゃー!!

とは思いましたが、行政の縦割り組織にありがちな、
実務者同士の意思疎通の齟齬ということで、くれぐれもこうしたことで
都民の不信を招かぬように強く申し入れて、本件は解決に向かいそうです。

んで本日は何が言いたいかというと、
こんな形で政治家もお役に立つことがある、というのもそうなんですが、
こんなにスムーズに解決する陳情はほとんどないということです。

実は行政側に明確な落ち度があって、
それをすぐに認めて改善する今回のようなケースは極めて稀といえます。

駅前に事務所を構えて政治家をやってれば
そりゃあ大小さまざまな陳情が持ち込まれますが、
実感値でいえば8割~9割以上は

「陳情者の勘違い」
「いわゆる『言いがかり』」
「気持ちはわかるが、行政側の対応は正しい」

のいずれかになります。
こうした場合、問題解決のお役には立てないのでその旨を伝えると、

「政治家のくせに、こんなことも解決できないのか!」
「役立たず!」「もう二度と応援しない!」

など、散々な言われ方をされたりして、
せっかく調査したのにゲンナリするわけですね。人間だもの。
あと、

「行政側には知られないように解決して欲しい」

という依頼もきますが、絶対無理ッス
双方の言い分を公平中立な立場からまず伺わないと何もできませんので、
議員に相談した時点で担当している行政に話が伝わることは不可避と言えます(例外もありますが)。

市民の皆さまからの声は問題の発見・改善への大きなヒントですが、
文字通り「玉石混交」で石の方が圧倒的に多いのが現実なわけで、
一つしかない自分の体と限られた時間をどう使うか、毎回深く思い悩むことになります。。

キャリアの長い政治家さんの中には

「陳情なんて、いちいち取り合ってたら身がもたないよ。割りきりなさい」

と言い切っている方もいらっしゃいますけど、
それもそれで良くないよなあ…と思いますし。。

とまあ、結論めいたものがなくて申し訳ないのですが、
政治家たちも日々大量に持ち込まれる様々なご意見・陳情の中で、
どう優先順位をつけて取り組むべきか思い悩んでいるというのが実情なのですねー。

受ける側としても、今回のように紹介者がいる・身元がはっきりしている方からの陳情は、
取り組みやすいし解決への確度が高い気がします。なので、政治家にモノを依頼するときは
「紹介者」を探すのはひとつの手かもしれませんね。

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写真がないのも寂しいので、本日行った自衛隊の盆踊りの写真(笑)。
たくさんの会場をはしごして「地域の声を聞いている」政治家の皆さまには、
同業者ながら頭の下がる想いです。

皆さまも良い週末を。
それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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