次の世代に希望をつくる

都議会の“2割カット”が静かに終了していた衝撃

日々のこと

都議会の議員報酬2割削減、議論なく終了「我々も物価高で苦しい…」
https://www.asahi.com/articles/ASTCK0QMGTCKOXIE03LM.html

東京都議会で2017年から続いてきた「議員報酬の2割カット」。これは当時の小池都政が“改革姿勢”を示す象徴的な取り組みでした。

小池知事自身が給与を半減させ、「議会も身を切る改革を」と各会派がこぞって賛同。結果として、都議の年収は約1,400万円、それでも依然として全国トップクラスの水準にあったものの、象徴的な意味は大きかったと思います。

ところが今回の報道で明らかになったのは、この2割カットが今年6月の都議選後、議論すらされないまま終了していたという事実です。

正直に言います。

私ですらこの記事を読むまで知らなかった。(そしてこの記事もあまり話題になっていない)

これは相当に深刻な話です。


■「議員報酬カット」は単なるポーズではない

もちろん、議員報酬を下げることには賛否があります。

・政治の質を落とす
・若手が生活できず、政治が高齢化する
・報酬で人気取りするのは本質的でない

こうした議論は理解できますし、一理あります。

しかし同時に、「抵抗を振り切って改革を前に進める覚悟」を示す機能も間違いなくある。議会改革とは、最後は“姿勢”が問われる世界でもあります。

あの時の都議会は、良くも悪くも「古い慣習に風穴を開ける」気概を見せていました。


■それが“なし崩し的”に終わったのなら、改革の火は消えつつある

今回、本当に残念だったのはここです。

議論もなく、説明もなく、淡々と満額に戻った。

これは制度の問題ではなく、政治姿勢の問題です。

私は今でも思います。

「報酬カットを続けるべきだ」と主張しないとしても、「続けない理由」を堂々と説明する責務が政治家にはある。

その説明もなく、ほとんどの都議が本件に言及しないままスルッと終わってしまう——。

これは都民の信頼を損ないかねない事態ではないでしょうか。


■都議会は再び“静かで平穏”になったのか?

かつて都議会は、改革や緊張感ある議論をめぐって大いに揺れていました。
今回の件を見ると、ふとこう思います。

「都議会も、あの頃の改革スピリッツを失ってしまったのではないか」

報酬カットはもともと永続的な制度ではありませんし、続けるか否かは本来、都議会が成熟した議論のうえで決めるべきものです。

しかし、議論すらなく自然消滅したことは、あまりに象徴的です。


■政治家が「言わなかったこと」もまた政治責任

政治は、決めたこと以上に「言わなかったこと」が問われる世界です。

今回の件で、情報がほとんど共有されず、私含め多くの都民が事実を知らないまま議員報酬が満額に戻っていたというのは、やはり大きな問題です。

都議の皆さんには、
・なぜ議論しなかったのか
・本来どう議論すべきだったのか
・今後どうするつもりなのか
これについて説明責任を果たすことを強く期待したいと思います。


■“終わったこと”ではなく、ここから何を学ぶか

改革の象徴だった取り組みが、議論なく静かに終わってしまった。
それは東京都政にとって一つの時代の区切りかもしれません。

しかし、だからこそ今こそ問われるのは

「東京の政治は、このままで良いのか?」

ということです。

都民に説明し、議論を公開し、政治を開く——
この当たり前の姿勢を、改めて取り戻すべき時期なのではないでしょうか。

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音喜多駿

おときた駿
前参議院議員(東京都選挙区) 42歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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