いわゆる「再エネタスクフォース」から、自然エネルギー財団の大林ミカ氏が辞任することが発表されました。
しかしこれは辞任すれば良いという話ではなく、予算委員会でも申し上げたように、安全保障の観点から徹底的な調査が必要です。
河野太郎大臣はファイルにウィルスなどはない等と的はずれな答弁をしていましたが、そういう問題ではまったくないのです。
以下に論点をざっとまとめておきます。
1 経済安全保障
・ 再エネTFの民間構成員から提出された資料に、中国の国家電網公司のロゴの透かしが入っていたという事実は、エネルギー政策への外国勢力の影響力行使の可能性があり、経済安全保障上の懸念がある。
・ 自然エネルギー財団と中国政府・企業との関係性について、国家安全保障局(NSS)による調査が必要である。また、スパイ防止法の制定も急がれるのではないか。
・ 自然エネルギー財団の意図が、日本のエネルギー政策に影響を与え、ベースロード電源である火力や原子力を廃止に追い込み、不安定な再エネを増やす、さらには中国やロシアからの電力輸入に頼るよう仕向けることだとしたら、国家安全保障に関わる重大問題である。徹底調査すべきである。
・ セキュリティクリアランスという観点からも、こうした政府の会議体に入る有識者も対象にするべきではないかという論点が出てくる
2 TF・有識者会議の位置づけ
・ 再エネTFは、本来経済産業省が所管するエネルギー基本計画にまで影響力を及ぼそうとしているが、そもそもタスクフォース自体が法令上の根拠に基づく会議体ではなく、規制改革担当相の決裁のみで設置されている。このような法的根拠が不明確な会議体が、エネルギー政策に関与することの是非について、国会でしっかりと議論していく必要がある。
・ タスクフォースの役割と権限を明確にし、その活動の透明性を確保することが求められる。
・ 本件を受けて、有識者会議等の民間構成員の選定における基準の見直しと、選定プロセスの透明化が必要である。
3 人選について
・ 大林氏は中国企業のスライドマスターの使いまわしというような説明をし、軽微なミスとしているが、その説明の信憑性には疑問が残る。仮にそうだったとしても、他者の資料を安易に使いまわすことは有識者としてふさわしくない行為である。いずれにしても人選の適切性に疑義がある。また、在任中から既に多くの有識者から大林氏の能力不足が指摘されてきたところである。
・ 原発反対の立場を明確にしている大林氏や、元来原発反対でエネルギー政策に極端な立場の河野大臣が関与する中で、エネルギーミックスの重要性が軽視されている懸念がある。
・ 河野太郎大臣が、明確な理由もなく恣意的に自然エネルギー財団の大林氏を構成員に任命し、政策に関わらせたとしたら、国家のあり方に関わる問題である。本事案は、国連やEUにも疑いがある資料が提出されたようであり、拙い人事の結果が国際問題に発展するかもしれない。
4 事後対応について
・ 問題の資料は公文書であり、その管理と公開のあり方については、公文書管理法の趣旨に照らして検証が必要である。大臣は事務的なミスを強調しているが、ミスがあろうがなかろうが、会議で使用された資料であれば、内閣府が資料を差し替えるべきではなく、問題である。
・ 大林ミカ氏の選定について、大林氏本人は河野大臣の推薦と言っている一方、政府は内閣府担当職員の案に河野大臣が了承したと説明している。河野大臣が官僚に責任を押し付けているのではないかという疑念がある。
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こうした問題が発生しても、スパイ防止法やインテリジェンス機関のない我が国では、調査能力に限界があるのではないかと大いに不安です。
再エネTFの問題を契機に、再生可能エネルギー政策全般の見直しに加えて、安全保障の根幹に関わる点についても改めて政府に問題提起をしていきたいと考えています。
ネトウヨみたいな印象操作。大林氏がいた時の大阪府市エネルギー戦略会議って橋下さんが古賀氏や飯田氏に振り回された一時の話。その後、橋下さんは〝騙された〟ことに気づいて原発再稼働容認したのは有名。
↓
橋下徹「あのとき僕が原発『再稼働』を容認した理由」 https://t.co/v1IEckcKCp https://t.co/2pDIbxvKmQ— 新田哲史 (@TetsuNitta) March 28, 2024
なお、「橋下氏時代の大阪府市の会議にも、自然エネルギー財団が入っているじゃないか!」というご指摘については、新田哲史さんが説明してくださっている通りです。
当時の府政・市政に入り込んでいた脱原発派ブレーンたちの推挙により会議体に加わっていましたが、その後に急進的な「脱原発」政策の誤りに気づき、維新は原発活用・再稼働容認へと政策転換しています。
現在の大阪府知事を務める吉村洋文共同代表からは、予算委員会の前日に「中国国営企業の件は、国会でも徹底的に追及して欲しい」と直接言われており、私だけが突出して動いているわけではありません。
また国政維新においても、再エネ派の主張を伺うために財団の方に単発の講師として勉強会に来ていただいたことはありますが、エネルギーミックス重視・原発再稼働容認という維新の現在の政策に影響はありません。
以上を踏まえて、本件についての追及は国会においても継続してまいります。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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