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苦渋の決断で補正予算案には賛成。社会保障制度改革をさらに前へ【賛成討論全文】

日々のこと

こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

本日は衆議院にて補正予算案の採決が行われました。

維新の党内でも、最後の最後まで様々な意見がありました。

これまで強く指摘をしてきた通り、緊要性に欠ける項目が多々積み込まれており、補正予算の内容の多くは形骸化しています。

また緊急経済対策の目玉である時限的減税の実施も来年度であり、両手をあげて評価できるものではありません。

しかしながら、可処分所得を増やすための経済対策という点では一致もあること、また社会保障制度改革が正面から俎上に載ったことなどは一歩前進です。

補正予算案「50点」だが…賛成は「苦渋の決断」維新・馬場氏 万博費用も盛り込み 
https://news.yahoo.co.jp/articles/44172a74f5a71df5888601461827d61a992bd044

馬場代表も述べている通り、まさに苦渋の決断ではありますが、最後の結論は賛成になったものです。

これで議論は終わりではなく、来週からは参議院でも予算の審議がスタートします。

政府方針を少しでもよりよいものにできるよう、維新の立場から政策提言を続けてまいります。

討論全文を下記に掲載いたしますので、ぜひご一読くださいませ。

それでは、また明日。

–以下賛成討論全文–

日本維新の会の林祐美です。私はただいま議題となりました「令和5年度一般会計補正予算(第1号)」「令和5年度特別会計補正予算(特第1号)」の両案について、会派を代表して討論いたします。

 まず初めに、今般の補正予算案については財政のルールや政策手法など、我が党の原理原則を基に検討すると、とても承服できない点があることを強調する必要があります。

 総理は、30年に一度と言われる賃上げの機運を背景に、あらゆる事業に緊要性や供給力向上を紐づけて、取捨選択なく事業を経済対策に取り入れた結果、財政法上の補正予算の趣旨が没却されていると言わざるを得ません。一体、政府は緊要性をどのように定義しているのでしょうか。総理は今般の補正予算の全事業について、「それぞれ必要額を精査した上で予算措置するものであり、緊要性が認められるもの」としています。しかし、必要額を精査して予算措置をするのは、当初予算に計上する事業でも同様であります。よって政府は、補正予算の財政法上の位置づけを考慮に入れた緊要性の判断ができていないと見做す他はありません。

 そもそも、政府はコロナ禍以降の巨額の政府支出について、需要をけん引することでGDPギャップを埋め合わせるためであるとしてきました。一方で、歳出予算のうち多くの割合を基金の造成や積み増しに使用してきたことも事実であり、令和4年度第二次補正予算では歳出総額28.9兆円のうち8.9兆円、約31パーセントが基金への投入に充てられています。

 しかし、基金に積み上げられた資金が実際に支出されなかった場合、新しい需要が創出されず、結果としてGDPギャップの埋め合わせに寄与し得ません。昨年度末で16.6兆円に上る基金残高は、国民から税や国債によって集められたものの、活用されずに死蔵されていると言う他ありません。政府は、今般の補正予算でも基金に4.3兆円を投入することとしています。そもそも基金制度は財政法の埒外であり、抑制的に取り扱うべきところ、既存の基金の検証が終わらぬ間に新規の造成や積み増しを行うというのは、財政法を中心とした財政のルールをなし崩し的に揺るがしかねません。

 加えて形式面だけでなく、政策の内容にも問題がある旨を指摘しなければなりません。財務省は令和5年度の国民負担率の見通しを46.8%としています。総理は国民負担率について「足元では低下する」と述べていますが、今後更なる高齢化が見込まれる日本では、長期的には上昇傾向にあると考えられます。たとえ来年以降に賃上げが実現しても国民負担率が上昇しては、元の木阿弥となりかねません。

 かくなる状況下において、バラマキ色の強い単年度の所得減税は、賃上げまでの間を持たせるための短期的な弥縫策としかなり得ず、長期的な負担軽減には繋がりません。実質賃金上昇率がマイナス続きである今、総理の述べるようなデフレマインド払しょくに繋がるかは、甚だ疑問であります。

 しかし一方で、政策手法に差があると言えど、政府の主張する経済対策の必要性を否定することはできません。総理は足元の経済状況について賃上げや設備投資、GDPギャップの解消の進展などを挙げ、「明るい兆しが見られ、デフレ脱却の千載一遇のチャンスを迎えて」いると述べています。この時局認識については、我が党も軌を一にするところであります。

 確かに、経済対策で主張する個別の政策については、政府が「国民への還元」として実施する所得減税と給付の組合せや、「燃料油価格激変緩和対策事業」に代表される特定業界への大規模な補助金を中心とする一方、我が党は現役世代と将来世代を重視した社会保険料の引き下げに加え、暫定税率の廃止を主張し「最初から集めない」経済対策の考え方を徹底するなど、その手法に隔たりがあることは否めません。とはいえ、経済対策の総論的な方向性としては、物価高対策に加え、国民の可処分所得を向上させ、需要を向上させるという点で、同じ方角を指していると言えます。

 また、政府の経済対策で「国民への還元」と両輪をなす「供給力の強化」が、賃金と物価の好循環を起動するための軸であることは、総理も指摘するとおりです。しかし車輪にたとえて言えば、軸をどれだけ太く丈夫にしても、錆び付いていては回転し得ません。回転を円滑化するための機械油となるのは、バラマキではなく規制緩和による構造改革であります。

 冒頭で指摘した通り、政府の経済対策には緊要性の判断に疑義がある事業が数多く含まれています。看板政策の名を借りた既存の業界団体への利益供与は、供給力を強化するトリガーとはなりません。

 しかし、補助金による資本ストックの強化と併せて規制改革に取り組むのであれば、一概に否定すべきものとはなりません。今般の経済対策では、三位一体の労働市場改革や医療DXの推進、外国人材の活用等、従前の経済対策よりも規制改革に重点を置いた記載が見られました。当然我が党の観点からは踏み込み不足と言わざるを得ませんが、それでもオンライン診療等の医療の規制緩和やライドシェア等デジタルを活用した新産業の推進など、前進した点が多く見られます。

 特にライドシェアの解禁については、20日の衆議院本会議で総理から「観光地や都市部を排除することなく」「デジタル技術を活用した新たな交通サービスという観点も排除せず」という、極めて踏み込んだ発言を頂きました。政府はライドシェアの解禁を嚆矢として、今後も新産業の発展を阻害する岩盤規制の打破に邁進することと、期待をしています。

 加えて、予算委員会で我が党の委員の質疑に対して、総理が憲法改正に期限を切って、前向きな姿勢を示しました。憲法改正はあるべき国の形を根本から検討するという改革の第一歩であり、これも我が党として非常に評価する所であります。

近頃マスコミ等で負の面がクローズアップされがちな大阪・関西万博についても、今行う意義や、上海万博に次ぐ160もの参加国のパビリオンの着工状況、民間パビリオンの企画内容、外交上の意義や経済効果、全国的な機運醸成の方向性等を丁寧にご説明頂きました。今後も国を先頭に大阪府市、万博協会、経済界が一丸となって、必ずや成功させられると確信しています。

ここまで縷縷(るる)指摘してきた通り、政府の補正予算案には様々な点で、バラマキによる人気取りの思惑や、既得権のしがらみが見え隠れし、構造改革への踏み込み不足が露呈しています。しかし、まずは可処分所得を増やすという方針や、規制改革への認識等について、政府とわが党で同じ立場に立っております。針路が同じであれば、あとはどれだけ前へ進めるかです。今後も社会保障制度等で、わが党の指摘を真摯に受け止め、改革を一層推進することを期待しています。

先の予算委員会の質疑では自見国際博覧会担当大臣より、18歳の意識調査では万博の開催に68.1パーセントが賛成であるという世論調査結果をご紹介頂きました。未来ある若者のために先行投資をし、夢のある社会を実現するために、政府与党には今後もわが党と正面から改革推進の議論を行い、岩盤規制を打破することによりデフレ脱却に繋げて頂く期待を込めて、賛成討論といたします。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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