こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
今日は改めて「補助金はなぜ駄目になるのか、なぜやめられないのか」というお話を軽く書いておきたいと思います。
そもそも多くの補助金は、スタート時には大きな意義や高尚な理念があったはずです(初手から利権の塊みたいな補助金もありますが…)。
例えば今日、M&A関係の方と意見交換していたのですが、後継者不在などでM&Aを望む会社は非常に多くあると。
ただ、優遇税制のメニューはありがたいが手続きは煩雑だし、優遇税制程度ではメリットが少ない小規模事業者には効かない。
一方であまりに小規模事業者同士のM&Aだと、社会的意義が大きいことはわかっていても、M&A事業者も手数料が取れないので介入しない。
結果、M&A事業者は大手企業の合併案件ばかりにコミットするようになり、そういう企業同士は優遇税制がなくてもやるので国としては減収するだけ。
素晴らしい技術を持ちながらも規模が小さい会社同士の合併はなかなか進まない…ということになります。
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ここで考えたくなるのが「補助金」ですよね。(ちなみに今もある程度の補助金はあります→経産省HP。例示としてここでは話を進めます)
社会的意義のある小規模会社同士の合併・M&A案件を成立させた事業者や当事者に、成果報酬的に大規模な補助金を出すような仕組みができれば、今は静観しているM&A事業者がこぞって小規模会社の案件に身を乗り出してくるかもしれません。
合併存続の道を諦めていた赤字会社も「補助金が出るなら、諦めずに合併の道を探すか」となる可能性もあります。
しかし、その先はどうなるか。
最初はうまく回ったとしても、やがて補助金を得ることが目的となって、本来は合併する必要がない(スクラップ&ビルドするべき)会社同士を無理やりくっつけたり、なんなら無理やり会社を作り出す事象すら発生するかもしれません。
「ちゃんとした合併案件にのみ、補助金を出せばいい」
といっても、役所側は中身の質まで精査することはできません。
結局、形式的に書類や条件が整っていれば補助金を出すというシステムになりがちですから、そうした手続きに精通した「補助金ビジネス」が成立することになります。
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さらには、こうして始まった補助金は、やめるタイミングが極めて難しくなります。
補助金を打ち切る動きが出てきた途端、関係するステークホルダーたちが政治家に「補助金がなくなったら困る!」「うちの業界を守ってくれ!」と一斉に声をあげて、企業団体献金などのロビー活動を行います。
政治家としても、補助金を継続してあげた方が株が上がる(自分の懐が痛むわけでもない)。行政としても、政治家たちから批判をされてまで補助金を打ち切るほどの動機はない。
そうした動きの結果、社会的意義が失われ、いわゆる一部の人々・業界の「既得権」化した補助金もズルズルと続いていく…
というのが、昭和の時代から何度も繰り返されてきたこの国の歴史・システムなわけであります。
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以上の理由により、基本的に私は補助金政策には消極的です。
ただすべてを否定しているわけではなく、多くの補助金がスタート時にはそうであるように、政策効果や大義が見込めるものもあるとは思います。
大事なのはゴール設定で、期限を区切る・ロードマップを描いてそれに沿うなど、「辞める」決断を政治や行政サイドがきちんとすることです。
そのためには、事業者や団体としがらみを作らないことも極めて重要であり、だからこそ維新は企業団体献金の禁止を訴えています。
現在だと、ガソリンに対する補助金も辞め時を見失っているような状態です。補助金の欠点を指摘し、本来やるべき政策(ガソリンの場合は減税)を強く提言してまいります。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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