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もどかしさを抱えながらも、対話と議論によって旧統一教会「救済法案」が成立。国会閉幕にあたって

日々のこと

紆余曲折を辿った臨時国会、いわゆる「救済法案」が採決をされて閉幕となりました。

新法成立「ゴールではなくスタート」…宗教2世ら、被害者救済の実現願う
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a1d14b602235cf7b28c6658069901f8007c8155

本法案についての賛否の判断は、最後の最後まで、非常に悩ましいものでした。

このいわゆる救済新法と法改正で、どこまで実効性を持って被害者を救済、被害を防止することができるのか。

自由な意思決定が困難な状態で、自発的な寄付を続けてしまう被害者およびその家族をどこまでこの法律で助けることができるのか。

債権者代位権の特例では、極めて限られたケースでしか被害者家族や子どもたちを救うことはできないのではないか。

党を代表する実務者として、策定プロセスのすべてに携わり、一つの法律にここまで長い時間向き合ってきたことは、私自身も初めてです。その立場から見て、本法案の実効性に対する懸念が完全に払拭されたとは、現時点でもなお、断言することはできません

しかしながら、そもそも今臨時国会を振り返れば、当初、政府与党は新法成立に後ろ向きと言わざるをえない状況でした。

そこで我々は、被害者家族や専門家および宗教団体関係者からのヒアリングを重ね、救済新法の策定にいち早く着手を致しました。その後、立憲民主党と政策協力がスタートし、「悪質献金被害救済法案」を共同提出。

その議員立法の中には、立憲民主党の理解も得て、

・いわゆる寄付の上限規制、違法となりうる高額献金の数値を目安として明記すること
・「特別補助」制度を使って被害者家族や子どもたちが献金の取り消しをできる、過去の献金も含めて被害回復をできること

などが盛り込まれました。いわゆるマインドコントロール下にある被害者を救済するため、手段の悪質性と結果の重大性に着目し、行為規制を行う法律構成は、政府案よりも実効性が高く、適用範囲が広い、現実的な立法であったと自負しています。

この野党案の提出が大きなきっかけとなって開始された与野党協議会では、9回にわたり、時には約2時間にも及ぶ真剣な議論が繰り返されました。

この実務者協議を背景として策定された政府案には、いわゆる寄付の上限規制が禁止規定として一部盛り込まれ、自由な意思決定ができない状態での献金被害や、家族への救済についても、「配慮義務」という形で一定の対応を可能とする案が示されました。

その後、さらなる修正協議を重ね、

・配慮義務の違反に行政処分が設けられたこと
・配慮義務が総則ではなく「寄付の不当な勧誘の防止」の一節に入り、法律構成が変わったこと
・「十分に」という文言でより強い対応を求める内容となったこと

等により、実効性が向上した点は、百点満点には遠くとも一歩前進として評価ができるものです。

率直に申し上げれば、まだまだ、もっともっと改善できたのではないかという想いはあります。

しかしながら、金融国会以来とも言われる異例の協議体が設けられ、与野党がそれぞれの立場やしがらみを乗り越えて、被害者救済に向けてここまで法案を創り上げてきたことは、国会史上に刻まれる大きな出来事であるとも思います。

遅々として議論が進まなかった時期も、舌鋒鋭く批判をしあったことも、折衷案で不十分になった点も多々あります。

しかし、もどかしさを抱えながら、異なる意見を持つもの同士が、それでもただ対話と議論によってルール・法律をつくりあげ、社会をより良いものにしていくこと。

これはまさに、民主主義の核心であります。

本法案は、安倍晋三元総理が銃撃されるという、許されざる暴力事件が背景の一つにあることは否定できません。

そこで明らかになった社会悪に対して、立場も考え方も異なる政党・政治家が、ただ言論のみによって解決を試みた。そして、一つの法案を作り、成果を得た。

これは、暴力によって危機にさらされた私たちの民主主義を回復する上で、この上なく大きな一歩になったのではないでしょうか。

本法案の成立で問題が終わることは、決してありません。その実効性について、早急に検証を加え、法改正を試みなければならないのはもちろんのこと、そもそも本法案の範囲に入っていない関連問題も山積しています。

子どもの被害、いわゆる宗教二世と言われる方々に、どのように救済の手を差し伸べていくのか。そのためには、児童虐待防止法などの見直しも必要ではないか。宗教法人法や宗教法人の税制優遇のあり方は、果たしてこのままで良いのか。

この法律制定を契機として、私たちは目を背けることなく、さらなる立法や課題解決に取り組んでいかなければなりません。

被害者を救済したい。悲劇を二度と繰り返してはいけない。

それはおそらく、すべての政治家・議員に共通している思いです。与野党を超えて、引き続き被害者救済に向けて協力し、ともに歩みを進めていくことを心より願い、また私自身も先頭に立って邁進していきます。

最終日の対総理質疑と本会議討論の模様はぜひ動画でも御覧ください。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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