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「強い自粛要請」に「不十分な補償」。悲劇が三たびか、百貨店の休業に「1日たった20万円補償」の異常さを知ってほしい

日々のこと

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

【詳細】緊急事態宣言 4都府県 暮らしに関する情報
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210423/k10012992791000.html

本日、4都府県に緊急事態宣言が発令されることが決定されました。

広範囲に渡る自粛要請については、私個人としては消極的ですし、疑問はあります。

一方で、現行のルールや医療体制では命が目の前で失われていく可能性・重責を背負った首長たちの、その決断を全否定することも難しい…(灯火管制には現時点でかなりネガティブですけども)。

ワクチン接種も大きく遅れ、政治の力不足に唇を噛むばかりです。ご負担をかける皆様には心苦しい限りですが、できる限りのご協力をいただければと思います。

人流を止めるために、さらに範囲を拡大して事業者に休業要請をするということならば、規模に見合った十分な補償が必要不可欠であることは1年前から繰り返し、繰り返し述べてきました。

しかしながら、「百貨店などの商業施設への協力金は1日20万円」と報じられるなど、このままではまたも、またしても不十分な状態で緊急事態宣言に入ってしまいそうです。

民間人時代、百貨店業界の取引先(ブランド品業界)に勤務し、営業部にいた時は複数の百貨店を担当していた立場としてこの分野については言わせてもらいますと、まず百貨店の売上規模(年商)は

【2020年 全国百貨店 店舗別 売上高ランキング】

順位 店舗名     売上高   対前年比
1位 伊勢丹新宿本店 2,740億円(-5.1%)
2位 阪急うめだ本店 2,412億円(-3.8%)
3位 西武池袋本店  1,823億円(-0.9%)
4位 JR名古屋高島屋 1,653億円(+1.6%)
5位 高島屋大阪店  1,495億円(+1.6%)
6位 三越日本橋本店 1,330億円(-8.1%)
7位 高島屋日本橋店 1,307億円(+1.1%)
8位 高島屋横浜店  1,295億円(-2.3%)
9位 あべのハルカス近鉄本店 1,258億円(+1.0%)
10位 松坂屋名古屋店 1,163億円(-2.4%)
11位 そごう横浜店  1,089億円(-1.5%)
12位 東武池袋本店  997億円(-0.4%)
13位 東急渋谷本店  927億円(+1.2%)
14位 高島屋京都店  895億円(-0.9%)
15位 小田急新宿本店 869億円(-3.8%)
16位 大丸大阪・心斎橋店 853億円(-2.7%)
17位 三越銀座店   828億円(-9.2%)
18位 大丸東京店   791億円(-2.6%)
19位 京王新宿本店  773億円(-5.7%)
20位 松屋銀座本店  763億円(-2.5%)

こちらの記事より引用、元データ・出典は2020年9月16日の日経MJ


であり、トップの新宿伊勢丹で1日あたりの売上が約8億円、20位の銀座松屋でも2億円以上となっています。

百貨店はテナント(入店ブランド)と売上歩率で契約しますが、売上の30%程度が百貨店側の収入になるはずで、新宿伊勢丹なら1日2億円以上。

都心部の百貨店に1日20万円という金額がどれだけ焼け石に水かおわかりいただけると思います。
※ただ、外商部の売上などもあるので、すべてが開店時の売り場でのセールスとは限りません。念のため。

そしてテナントには1日2万円とのことですけど、例えば私が以前に勤めており百貨店販売員も経験した化粧品の「GUERLAIN」というブランドの客単価は約2万円 / 1人です。

お客さん一人分の売上で1日休業しろということになるわけで、百貨店やテナントが死ぬ気で抵抗するのは、元業界関係者として心の底から理解できます。

本当に、あの輝かしい化粧品売り場が恋しくて仕方ないですし、一刻も早く日常を取り戻したい気持ちでいっぱいです。

現在の想定で休業要請が出されるなら、少なくとも百貨店業界はもう100%休業なんてしない方が良いでしょう。

さりとて、百貨店やそれに入る高級ブランドはイメージが最重要。行政から休業要請が出るとすれば、それに従わないという「ダーティな(印象が悪い)」選択が取れるはずがありません。

特に百貨店は何千人も雇用を支えているのに、この協力金の規模では文字通り経営が傾きかねない。

それでも休業要請には従うだろうと、業界側の誠意・事情に「甘えて」負担を転嫁する政府・社会は、近い将来に手痛いしっぺ返しを受ける気がしてなりません。

財政規律を全放棄して良いわけではありませんが、今はまだまだ大規模な財政出動を決断・継続するべき時です。

強い自粛には、十分な補償。業界と社会を守るため、政府与党に再考を強く求め、明日以降も提言を続けていきます。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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