こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
地方自治の原則があるとはいえ、「財源は国や都にも強力を求めたい」と区長がおっしゃっている以上、こちらの政策については疑問を呈さざるを得ません。
【独自】世田谷区の保育士ら2万人、一斉PCR検査へ…症状の有無問わず
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200824-OYT1T50054/
「誰でもいつでも何度でも」
とぶちあげて始まろうとしているPCR検査の「世田谷モデル」ですが、その第一弾の概要が明らかになりつつあります。
世田谷区内の保育士や介護士などの「エッセンシャルワーカー」約2万人を対象に、4億円の予算を使って一斉検査をすすめるという計画ですが、いくつもの「?」が浮かんできます。
端的に申し上げて、費用に合うほどの効果が見込めない、というよりデメリットのほうが大きいのではないかと思えてなりません。
市中感染を抑える一斉検査なら定期的(10日おき)にやらなければ意味がない。必要な範囲で検査を拡大するのはいいが、検査の目的が曖昧だと何のための検査拡大なのかが分からなくなる。保坂氏は市中感染を抑えるためという当初の検査目的を修正すべき。無症状陽性者をすべて炙り出すことは不可能。 https://t.co/4DNQKfYGdu
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) August 24, 2020
エッセンシャルワーカーに検査をするというのは一見すると良いことに見えますが、そこを起点とする市中感染を抑えるという目的であれば、かなりの頻度で定期的にやらなければ意味がありません。
まさにご指摘の通りで、学術調査としても感染対策としても、最大の問題は「二ヶ月」かけることだろう。やるなら唾液型でいいのでどこかの時点で一気呵成にやらないと横断調査として意味がない。
>二ヶ月かけて順繰りに1回ずつ検査することに、どこまで意味があるのだろうか。 https://t.co/xoFVThzgis— 依田高典 (@takanoriida) August 24, 2020
あるいは市中の感染状況を把握するのだとすれば、ランダムサンプルで文字通り「一斉に」行わなければ、やはり意味のあるデータは取れません。
現状の計画の通り「2ヶ月かけて」「1回だけ」やるのでは、「私は宣言通り、頑張ってやりました!」という区長の実績作りで(4億円をかけて!)終わる可能性が高いと考えられます。
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そしてこの「一斉検査」が行われるデメリットですが…対象の保育士・介護士に陽性者が出た「後」の対応が、どこまでリアルにシュミレーションされているのでしょうか?
この一斉検査で無症状者から一定の陽性者が発見されれば、その職場では多数の「濃厚接触者」とともに出勤が停止されます。
その人的資源が止まった保育・介護の現場を支えるだけの人材を世田谷区が手当できるのでしょうか。
人権問題どうするんですか?
差別対策どうするんですか?
休業補償どうするんですか?
隔離方法どうするんですか?
濃厚接触者どうするんですか?
効果を立証できるんですか?
会計検査通るんですか?
そもそも医学的意味あるんですか?全部答えて下さいhttps://t.co/vQYzX1XgdE
— 藤原かずえ (@kazue_fgeewara) August 24, 2020
陽性者を見つけたら現場が止まるから、「臭いものにフタをしておけ」というわけではありません。しかし一方で、検査には必ず偽陽性・偽陰性の問題がつきまといます。
そうした中で、あえて無症状者まで対象にしてPCR検査を施すのなら、「事後」の対応を整えて実施するのが最低限の責任ではないでしょうか。
PCR検査は病院や療養施設などの受け皿、医師や看護師など医療リソース、また保健所体制も含めた総合的なバランスから成り立っているもので、増やせば良いというものではない。政策的効果や財源の裏付けもなし、都との調整もなし。保坂世田谷区長のパフォーマンスでしかない。https://t.co/EBcjLxV7h5
— おじま紘平(東京都議会議員・練馬区) (@ojimakohei) August 24, 2020
地方が独自の施策で国や広域自治体を引っ張り、先例を作る。それは素晴らしいことである反面、その地域で責任をもって完結できる体制を整えるか、きちんと関係各所と連携を取っておくことが前提だと思います。
世田谷モデル、「鼻腔拭いを自己採取」ってのも凄い。 https://t.co/4SOXLxKkBv
— 桑満おさむ (@kuwamitsuosamu) August 24, 2020
加えて検査方法についても指摘が入っており、この点も大丈夫なんでしょうか…。
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こうした不安な動きが都内で生じている一方で、少し明るめ(?)のニュースもあります。
かねてから梅村さとし議員を中心に提言してきた、指定感染症の見直しについて動きが!動き出すと早い…のかも。注視していきます。 / 感染症法上の措置・運用について厚労省ワーキンググループで検討へ 新型コロナウイルス(ABEMA TIMES) (Yahoo!ニュース) #NewsPicks https://t.co/bUlAHPYtJh
— 音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選出) (@otokita) August 24, 2020
これまでたびたび指摘・提案をしてきた新型コロナの「指定感染症」に対する扱いが、とうとう検討の遡上にのりました。日本の行政は動き出すまでは遅いですが、このステージからはトントン拍子に進む場合もままあること。
決してコロナを甘く見るわけではなく、PCR検査を拡大し一人でも多くの方を救うためには、感染症法上の措置・運用の変更がまずボーリングのセンターピンです。
こちらの議論に注視するとともに、事態が動き出すように引き続き建設的な提案を続けてまいります。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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