こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
レジ袋有料化がスタートして約2ヶ月間が経ちました。この間に様々な意見を目にしながら検討を続け、いち消費者としても政治家としても
「早急に見直した方がいい(無料に戻すべき)」
という想いが確固たるものになったので、改めて筆を執ります。なお現時点では党の統一見解ではなく個人の考えです。
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無料に戻すべきと考える最大の理由は、「得られるメリットに対して、支払う代償があまりにも大きすぎる」という点に尽きます。
レジ袋有料化 #primenews
小泉進次郎環境相「不便極まりないのは申し訳ない。レジ袋を全部無くしたところでプラスチックゴミの問題は解決しない。レジ袋を無くす事が目的ではない。有料化をきっかけに問題意識を持って一人一人が始められる行動に繋げてもらいたい」ちょっと何言ってるかわからない pic.twitter.com/FHmvCdVRN4
— ちぢれ麺 (@RamenReiwa) July 29, 2020
この施策の旗振り役になっている小泉進次郎大臣も認めているように、仮にレジ袋使用が100%撲滅されたとしても、プラスチックゴミの問題はまったく解決しないのです。
つまり「意識付け」という啓発活動のために行われるものであり、実際に環境問題となっているゴミのうちレジ袋が締める割合はわずか(原油使用量の0.05%、海洋放流ゴミの0.3%)に過ぎません。
こうした意識啓発のためにポスターやCMを作ったりする分にはかまいませんが(額によってはどうかと思うけれど)、あろうことかレジ袋の「有料化」が事業者に法的拘束力をもって義務付けられました。
これによって私たちは7月から1円~5円程度のお金をレジ袋に対して払っているわけで、これは消費者にとっては事実上の増税です。
コロナ禍で景気浮揚のために減税が議論されている中、まったく真逆の経済政策になってしまっているとしか言いようがありません。
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「いやいや、さすがに1回の買い物あたり数円程度でそんな大きな影響はないでしょう」
という声が聞こえてきそうですが、果たしてそうでしょうか。私はこの数円によって「購買意欲」が低迷することを強く危惧しています。
私自身、スーパーやコンビニではないものの、リテール業(化粧品対面販売)にいた人間ですから
「いかに消費者の購買意欲を刺激して、持ち帰り個数(買う品物の数)を増やすか」
ということに関しては一家言があります。その観点からすると、レジ袋の有料化はめちゃくちゃマイナスです。
ペットボトルのジュースを買いに行って、「あ、ついでにヨーグルトとお菓子も買おう」と目に入ったものを一緒に買うことを「ついで買い」などと言ったりしますが、レジ袋が有料化されたらどうなるでしょうか。
大きなカバンを持っていれば話は別でしょうけど、手ぶらだったら
「持っていくの面倒だからやめよ」
「数円取られるのバカらしいからやめよ」
「小銭が増えるのが面倒だからやめよ」
となる可能性は極めて高いと思います。だって、そもそも「ついで」で買うくらいにたいして欲しいものじゃなかったわけですから。
でも、その「たいして欲しくないもの」をいかに一緒に買わせるか、そして持ち帰り個数と購買単価をどうやって上げるかが小売業の勝負なんですよ!!(熱弁)(販売員研修時代、客単価が平均の半分以下だった敗者より)
ひいてはそうした営業努力が消費者の購買意欲を喚起し、消費を増やして景気を浮揚させていくのに、そこにレジ袋有料化は正面から水をぶっかけているわけです。
昨日のツイートを見た地元の製袋メーカーさんが声をかけてくれたので、今朝 現場に行き、ポリ袋の使用に対するマイナスイメージが先行により、受注が激減している状況を伺いました。
真に環境負荷軽減に繋がるか分からない規制で政府が市場介入→民業圧迫する現状に違和感#レジ袋の自由化を求める pic.twitter.com/tPMvb1jxZQ— 守島 正 (大阪市会議員 衆議院大阪第二選挙区支部長) (@t_morishima0715) July 8, 2020
さらにはレジ袋・ポリ袋の製造メーカーにまでこの負の影響が及んでおり、国民の「意識付け」のためだけに政府が有料化を強制するこの施策は、あまりにも高い代償を払いすぎていないでしょうか。
加えて、感染症対策の観点からも使い捨てレジ袋の方が使い回しのエコバックよりも望ましく、持ち込みバッグ方式が万引を容易にしているとの指摘もあります。
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念のため申し上げますと、もちろん環境問題は重要な課題であり、国としても政治がリーダーシップを取って解決すべき課題の一つです。
しかし国民に負担をかけて行う施策であれば、合理的な根拠に基づく効率的なものでなければいけないのは言うまでもありません。
4-6月期の悲惨なGDP値速報が流れていますが、レジ袋有料化で小売業などに影響が出るのは7月から。
そして負の影響を確認してから動くのでは遅いわけで、消費税減税の議論と合わせてこの有料化はただちに見直しに入るべきだと考えます。
幸いなことに(?)このレジ袋有料化は法律ではなく、省令改正によって断行されています。このやり方にも疑問はありましたが、これによって方針転換には消費税の減税などほどの時間はかからないはずです。
皆さまの声を集めながら、早急に国会で議論をすべきテーマの一つとして取り組んでいきたいと思います。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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