もっと、新しい日本をつくろう

あいちトリエンナーレへ補助金「全額」不交付は、いくらなんでも踏み込み過ぎでは…?

日々のこと

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

騒動を巻き起こした「表現の不自由展」を開催したあいちトリエンナーレに対して、文化庁が補助金の全額不交付を決めたことが大きな波紋を呼んでいます。

本件、私も本日文化庁の担当者からヒアリングを行いまして、率直に現時点では「全額不交付は踏み込みすぎであり、表現活動を萎縮させる可能性がある」という大きな懸念を感じます。

※私個人の見解であり、党や所属組織を代表するものではありません。

まず前段として、私の「表現の自由」に対するスタンスは、以前のブログに書いた通りです。

「表現の不自由展」に展示された作品群には一切共感しないどころか嫌悪感を最大限に覚えますし、運営サイドの対応も終始不適切なものだったと思っています。

過去記事:
「表現の自由」と責任と。脅迫犯を検挙し、自由を後退させないための議論・対応を

https://otokitashun.com/blog/daily/21271/

それでもなお基本的に表現の自由については、最大限に配慮を行うべきという立場を取っています。

そうした「表現の自由戦士」という立場を差し引いても、今回の全額不交付決定はかなり不可解です。

【理由】

補助金申請者である愛知県は,展覧会の開催に当たり,来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず,それらの事実を申告することなく採択の決定通知を受領した上,補助金交付申請書を提出し,その後の審査段階においても,文化庁から問合せを受けるまでそれらの事実を申告しませんでした。

これにより,審査の視点において重要な点である,[1]実現可能な内容になっているか,[2]事業の継続が見込まれるか,の2点において,文化庁として適正な審査を行うことができませんでした。

かかる行為は,補助事業の申請手続において,不適当な行為であったと評価しました。

また,「文化資源活用推進事業」では,申請された事業は事業全体として審査するものであり,さらに,当該事業については,申請金額も同事業全体として不可分一体な申請がなされています。

これらを総合的に判断し,補助金適正化法第6条等により補助金は全額不交付とします。

引用元(強調筆者):
あいちトリエンナーレに対する補助金の取扱いについて(文化庁HP)

http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1421672.html

文化庁の言い分としては、今回の決定は展示内容には一切関係なく、適切な申請(報告・情報共有)がなされなかったため、補助金交付の条件のうち

[1]実現可能な内容になっているか
[2]事業の継続が見込まれるか

この2点において適正な審査ができなかった=手続きに重大な瑕疵があったことをその理由としています。

すでに山田太郎議員が

・既に補助事業としての採択(「内示」相当)をしているにもかかわらず、「危険予知が出来ていなかった」ことだけを理由に補助金不交付の決定をした
・開催前に補助金交付決定がなされるべきであったと思われるが、補助金交付申請の標準で審査にかかる30日を超えて、事業開始までに交付決定がされていなかった

という問題点を指摘されており、後者の理由については要約すれば「業務過多であった」「申請後、先方からの訂正が相次いだ」旨の説明がありましたが、腹落ちしません。

それに加えて私としては

1.
「安全を脅かす事態であることを認識していた」根拠を、運営サイドから警察への相談などとしているが、そもそも大規模イベントであれば警察との事前協議は普通にありえるし、見通しの甘さ・認識不足ではあっても「瑕疵」とまで言えるのか?
2.
審査できなかったとする「実現可能性」「事業の継続性」について、その審査基準に明示がなく、そもそも曖昧である
3.
報告が不十分であった点に落ち度はあったとしても、それに対して「全額不交付」という措置は適当か(ミスに対してのペナルティが大きすぎる)
4.
手続上の瑕疵が理由で内定されていたものが全額不交付となった前例はなく、今回の一足飛びな決定への違和感が拭えない
5.
「申請金額も同事業全体として不可分一体な申請」としているが、現時点では中止となっている「表現の不自由展」だけを切り出して「一部不交付」とする対応もありえたのではないか

等が強く引っかかりました(私の主観を含む)。

とりわけ、前例が一切ないにもかかわらずこの踏み込んだ対応。「政治的な影響は一切ない」と断言している文化庁ですが、果たして前例踏襲主義の官僚組織がここまでの判断を独自にするのかどうか。。

「表現の内容とは一切関係ない」のであれば、なおさら手続き論だけでこの対応には違和感が拭えません。

この交付金事業はその目的に「文化による『国家ブランディング』の強化」とありますから、結果としてこの展示内容は、それに資さなかった不適切なもの(が含まれていた)と思います。

それでも内定後に交付金を取り消すということはかなり強い意味を持ちますし、だからこそ文化庁も「内容とは関係ない」ことを強調しているのでしょう。

ですが今回のこの対応は、まさに検証委員会の報告書で一段落する気配を見せた「表現の自由」問題を蒸し返しますし、国際世論からもどのように評価されるかわかりません。

愛知県は異議申し立てを行うとのこと。係争になれば、政府(文化庁)側の方が分が悪いのでは?とすら思います。

愛知県の反論・対応を注視しつつ、国会審議を通じて双方の対応について改めて検証できないか、私も調査と働きかけを継続していきます。

それでは、また明日。

個人献金のお願い
ボランティアスタッフご登録のお願い
音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

友だち追加
twitter @otokita
Facebook おときた駿
Instagram @otokitashun

ページトップへ