こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
2日目の講義は、憲法からスタート。日本国憲法を客観的に分析すると、分量の少ない「小さい憲法」であり、それゆえに改正の必要性を避け続けることが「できてしまった」と言えそうです。 pic.twitter.com/b38fBK7Fpa
— 音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区) (@otokita) September 19, 2019
先週行われた日本維新の会・政策研修会では、大きな柱の一つが「憲法(改正)」についてでしたので、本日はその点をまとめておきたいと思います。
まずもって、日本維新の会は「憲法改正するべき」という立場は明確にしています。
しかしながら、それは世間がイメージする「憲法9条改正」ではなく、「教育無償化」「統治機構改革」「憲法裁判所の設置」の3点から始めるべきと公約に掲げており、憲法9条をどう改正するかについては、現時点では党として確定した見解はありません。
とはいえ憲法改正論議が進んでくれば、9条改正に対してスタンスは必ず問われてきます。
そのためにまず、我々も党内で一定のコンセンサスを形成する必要があるでしょうし、この研修ではそのための立脚点となる論点が共有されました。
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「憲法9条改正」と一口にいっても、その改正内容については幾多の案が飛び交っています。
ただ大きく分類すると、以下の3つに方向性は絞られるようです。
①9条2項削除案
②「自衛隊」明記案
③「実力組織」明記案(「自衛隊」という固有名詞は書かない)
まず9条の内容をおさらい。
(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する
(2)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない
この「戦力と交戦権の不保持」を明記している2項をまるごと削除してしまおうというのが、①の2項削除案です。
簡単に言うと軍隊(戦力)を持てるようになるわけですから、もっとも明快な改正であり、それゆえに激烈な世論の反発が予想される改正案と言えるでしょう。
日本を軍隊が持てる「普通の国」にしたい人にとっては一番望ましい改正案で、石破茂氏などがこれを主張していますが、実現可能性の低さから保守派の中でも難色を示す人も多い案と言えます。
そこで現在、自民党がたたき台としているのが②の「自衛隊」明記案です。2項を削除するのではなく、内容を追加することから「加憲案」とも呼ばれています。
第9条
(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する
(2)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
(3)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
随分とボリュームがアップしました。
こちらの案ですと、あくまで「軍隊」ではない「自衛隊」を持つのだということが明確になり、また「自衛隊」が違憲か否かという論争にも完全決着をつけることができます。
また、「自衛隊にきちんとした存在意義を!」と訴える人々からの支持も厚く、自民党内の多数派もこの案でまとまっているようです。
しかしながら、「本当に自衛隊という固有名詞を記載して良いのか?」という点については、専門家から警鐘がならされています。
というのも他の省庁組織は一切、固有名詞の記載は憲法にありません。
そうした中で「自衛隊」だけが憲法に明記されれば、あまりにも特別な存在になって過剰に「神格化」される恐れや、極端に言えば省庁再編などで自衛隊を改称・改変するときに憲法改正が必要になってしまう点などが懸念として指摘されています。
そこで研修会の講師を務めて下さった井上武史先生などが提唱しているのが、③の「実力組織」明記案です。
基本的には9条に加憲していく方向性であるものの、自衛隊という固有名詞には触れずに「必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織を保持することができる」などの表現に留めるものです。
これでも充分に現存の「自衛隊」の存在を憲法で保証することができますし、憲法改正の狙いは達成できます。
難点としては「回りくどい」ということと、そもそも2項削除案を主張しているような保守派の方々が納得しづらいという点があげられますが、いわば「折衷案」とも言える穏当な改正と言えるのではないでしょうか。
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私自身、維新のスタンスと同様、憲法改正は「9条以外から進めるべき」だと思っています。
一方で、9条単体についての是非を問われれば、いずれかのタイミングで改正すべきだと答えます。
その内容については、この研修会での内容も踏まえ、自衛隊という固有名詞を明記しない「実力組織」明記案がもっとも適切ではないかと現時点では感じているところです。
自衛隊のアイデンティティをしっかりと位置づけつつ、自民党案との差別化もできるという点で、言ってみれば「政局的な位置づけ」も悪くありません。
ただ繰り返しになりますが、まだ維新全体として定まった方針はなく、以上はあくまで私なりのまとめと個人的見解です。
こうしたことを立脚点に、憲法審査会が再開した暁には日本維新の会も(9条改正に踏み込むのか否かも含めて)一定のスタンスをお示しできるよう、党内議論を加速していきます。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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