こんばんは、都議会議員(北区選出)・あたらしい党のおときた駿です。
本定例会、最初の「戦場」となった財政委員会は、予算特別委員会に先立ちすべての予算審議が終了し、関連議案についてはすべて「可決」されて幕を閉じました。
本予算については予算特別委員会で審議が続くので、まだ採決はされていないのですけど、今回の委員会質疑でもっとも質問が集中したのは「旧こどもの城」についてです。
「こどもの城」五輪でも活用へ 都が600億の予算計上:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASM2B2Q2GM2BUTIL001.html
本日の財政委員会では「旧こどもの城」について質疑が集中したが、用地取得+ハコモノ事業の新設に反対スタンスなのは私だけ。知事のやり方に賛否はあれど、みんな新規事業を始めることに大賛成。ランニングコストすら決まってないのにポンっと数百億。なんだか感覚が狂ってきますね。。
— おときた駿(あたらしい党 代表 /都議・北区選出) (@otokita) 2019年3月18日
昨日もTweetした通り、当会派以外はすべて土地購入に前向きな姿勢を見せているものの、私はかなり疑問を持っています。
そもそも「旧こどもの城」は、広尾病院の移転先として都が土地取得をする予定でしたが、小池知事が就任後に「多額の費用面」などを理由に計画を白紙に戻したもの。
支出を抑え、コストとなりえるハコモノ・土地をむやみに「買わない」という選択については十分に理解できるものであり、上記の決断についてはこれまでも支持をしてきました。
ところが今回、一転して旧こどもの城跡地を購入すると。
しかも、当時買い取っていれば約370億円で済んだ費用が、土地高騰により現在は約600億円へ跳ね上がっています。
そして、その理由として出てきた計画がコチラ。
短期的にはオリパラのボランティア拠点などに利用。中期的には様々な事業を実施する複合施設「都民の城」となり、さらに長期的には周辺の都有地と合わせて一体開発が行われる。
けど、その具体的な中身は、これから有識者会議などで決められるので一切不明!
すんごく平たく言うと、こういうものです。
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私が委員会でも繰り返し指摘した最大の懸念は、これはいわゆる「ハコモノ事業」であり、そのランニングコストがまったく不透明なことです。
こちらもまだ具体化されていない、中期利用計画の「都民の城」については、
■100歳まで学べる環境
■コンテンツ産業での創業を支援するインキュベーションセンター
■女性の起業・創業を支援する女性経営者等の活躍促進施設
■福祉サービスを支える人材の確保・育成・定着を推進する場
■芸術・文化などの活動の場
■女性、高齢者、障害者等の活躍を促進する就業支援施設や働き方改革支援施設
■障害のある人もない人も、誰もが利用できるスポーツ活動の場
という項目がずらりと並び、パッと見ただけですでに実施していたり、区が行っている事業といわば「二重行政」になりそうなものも散見されます。
しかも都が事業主となってやる場合、多摩地域や島しょ部の方が利用しづらいなど、エリアによって制限がかかりますので、こうした「ハコモノ」を持つことは望ましいとは思えません。
そして、これだけのコンテンツを格安または無料で提供すれば、そのランニングコストは膨大なものになることが予測されますが、その計画案は…一切なし。不明。
民間であればまず考えられない、「見切り発車」で600億円もの土地を取得して良いのか。
また「長期計画」についても、どこかで見たことあるスキームなんですが、築地再開発とまったく同じですよね。有識者会議で議論して検討って。
そうしている間にも、また知事の方針が二転三転するのではないか?という懸念が払拭されていない状態では、この長期計画も是とすることは困難です。
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今回、予算案に計上されているのは、あくまで土地取得にかかる金額のみ。そこにさらに建物のリノベーション費用、そして毎年のランニングコストがかかってきます。
現在示されている中に、収益化できそうな事業はありませんから、完全に「都民福祉のために全力投資!」という方針なのでしょう。
それはそれで、まあ一つの考え方ではあります。何かをやったことが評価される政治の世界ですから、喜ぶ政治家・議員たちも多いのでしょう。
しかし他の自治体であれば、こうした新たなハコをつくるときはPFI(民間資本との連携)などを模索してなんとかコストを抑えよう・収益をあげようとしている中で、東京都はお金があるなあ…とため息が出るばかりです。
言うまでもないことですが、今は税収が好調な東京都も、このままとは限りませんし、これから史上最速で超少子高齢化が進んでいきます。
「地域でできることは地域で、民間でできることは民間で」
という基本原則に照らしても、これから多額の費用がかかる「ハコモノ」は軽々に新設すべきでないと考えます。
また今回、この「都民の城」計画は議会には示されているものの、今日19日時点で東京都HPなどで都民には情報公開されていないことも発覚しました。
税の使い道を決めるにあたり、情報公開が不十分だと指摘し、下記に詳細版・概要版のデータを掲載しておくものです。
●旧こどもの城の活用の基本的考え方(概要版)
●旧こどもの城の活用の基本的考え方
以上を踏まえて、引き続き予算特別委員会での議論に注目していき、予算案への賛否を決めたいと思います。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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