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五輪組織委員会の見切り発車で、日本がサマータイムを導入しても競技時間はズレない大問題

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

Twitterだけでブログではきちんと報告していないことを気づきまして、先日のオリパラ特別委員会で質疑した「サマータイム」についてです。

先ごろ、欧州委員長がEUでサマータイム廃止を検討する方向性を正式に表明し、大きな話題となりました。

EU、夏時間廃止の方針=市民調査で84%希望-欧州委、加盟各国に提案
https://newspicks.com/news/3284220/body/

サマータイムのメリットよりデメリットのほうがはるかに大きいことが証明されつつあるわけですが、五輪に関連しては問題はそれだけに留まりません。

前回のブログでも触れた通り、7月18日は五輪東京大会の「セッションスケジュール(競技日程)」が正式に発表されています。

セッションスケジュール詳細資料
https://www.2020games.metro.tokyo.jp/1aaa7c00e91709e094045a8c93001baa.pdf

これはIOCや国際競技団体(IF)と協議の上で決められているものです。

もちろん世界的な標準時刻に合わせて設定されているわけですから、日本がサマータイムを導入したからといって、自動的に協議時間をズラすことなんてできるのか??

…という疑問が、多くの人の中で激しく浮かんでいたわけであります。

そこで、この点を五輪組織委員会に対して質疑した結果が以下の通りです(五輪組織委は委員会質疑に出席しないので、都の職員が伝聞で答弁…)

質問:
では今から仮にサマータイムが導入された場合、本セッションスケジュールの取り扱いはどのようになるのでしょうか。例えば朝7時開始のマラソンは、現行の朝5時となって2時間ずらされるのか、それとも決定されたセッションスケジュールはIOC・IFが承認した国際的なものなので、ずらすことはないのか、組織委員会はどのように想定しているのかをお伺いいたします。

答弁要旨:
○ サマータイムについては、現在、国において検討がされている。
○ 組織委員会からは、「サマータイムの導入は、2020年の東京大会時における暑さ対策としてのみならず、今後日本全体として取り組むべき環境政策や低炭素社会実現のための1つの方策としても意義のあることであり、制度が導入されれば、東京2020大会のレガシーになると考え、サマータイム導入の検討を国に提案した」と聞いている。
○ また、組織委員会からは、「セッションスケジュールは、IOCや国際競技連盟(IF)などの関係者と調整して決定したものであり、サマータイム導入による具体的な対応については、国における検討状況を踏まえて検討していく」と聞いている。

色々と言っておりますが、太字の部分にご注目ください。

具体的な対応についてはこれから検討していく…だと…?!

つまり、サマータイムを導入したら競技時間が変更できるという確信がないまま、日本中を大混乱に陥れかねないサマータイムを政府に提案しているわけです。

続いて確認のために行った「サマータイム導入について、IOCやIFとは事前に協議してあるのか」という質問に対しては、

>また、「今般のサマータイムについての検討を国に提案したことについて、IOC・ IFから組織委員会に対し、特段のコメントは来ていない」と聞いている。

という他人事感が満載の答弁が。

さすがにおかしいんじゃないですか、これは。見切り発車が過ぎます。

これでは先述の通り、サマータイムの導入が決まってから、セッションスケジュールの調整問題が発生します。

すなわち、競技開始時間を日本サマータイムに合わせるのか、それとも現行の計画に合わせるのかで、IOC・IFとも再度交渉が必要になることを意味します。

となれば、人気競技の時間帯を変更してよいのか、スポンサーや放映権などの関係から、競技ごとに個別に検証・交渉することが当然予想されるわけで、もし個別に交渉となれば、サマータイムに合わせる競技と合わせない競技が出てくる可能性すらあります

すると、輸送計画やボランティアのプランなど、オリンピック・パラリンピックに関わるほぼ全てのプログラムに影響を与え、その調整コストは莫大なものになるわけですね。

もっと言えば、サマータイム導入によってすべてのセッションスケジュールが一斉に変更されるのではなく、結局個別の交渉によって競技開始時間を変更するのであれば、サマータイムを導入しなくても個別対応すれば良いわけであって、サマータイムで暑さ対策を行う必要はまったくありません。

よって、IOCやIFとの協議が不十分な段階でサマータイムを検討すること自体、まったくもってナンセンスであると言わざるを得ません。

サマータイムについては共産党の委員も質疑で取り上げて否定的な見解を示し、都の見解を質していましたが、それに対する都の答弁は

「サマータイムは一つの考え方」
「国の議論を見守っていく」

という、当初に小池知事が示した通りの玉虫色の静観姿勢でした。

しかしサマータイムが社会に与える負の影響、EUが廃止を検討しているという状況、そして競技日程変更が完全に見切り発車という点に鑑みれば、都は開催都市として反対する理由が十分すぎるほどあるはずです。

他の都議と話している感触でも、党内で検討している(させられている?)自民党以外に、サマータイム導入に積極的な会派はないようです。

引き続き都議会から、サマータイム断固撤回の声を上げていけるよう、尽力してまいります。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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